社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年04月25日

withコロナの花の販売


 今週末の金曜日からGWにいよいよ入る。生活者がwithコロナでもやりたいことの1つは旅行だろう。このGWで久しぶりに里帰りするというサラリーマンや学生もいる。また、先週からGW前に行っておこうと、80歳代、70歳代の小グループの旅行の人たちで飛行場は賑わっている。花市場はというと、「母の日参り」の需要が今年はしっかりあると、地方市場や地方の生花店は小菊・一輪菊から買い始めている。こちらからは、「母の日参り」は「母の日」でもあるので、仏花のイメージだけでなく、カーネーション等の販売も提案している。

 G20の中で2019年度並のGDPに届いていないのは、日本だけと言って良い。他国はいち早く立ち直り、withコロナで経済活動を行っている。日本は海外からの観光客をまだ受け入れていない。ゼロコロナ政策のために、中国・上海等の都市封鎖の状況を見ると、そうは簡単には観光客を受け入れることは出来ないとの政府の方針は、正しいようにも思える。しかし、国内旅行や移動はみんなしたい筈だ。withコロナでリモート会議や在宅勤務、ネットでのショッピングで気軽に届けてもらえたり、ネットでのイベントが広がる一方、手洗いや消毒、マスクやソーシャルディスタンス等を実施しながら、移動で実際に買い物に行ったり、公共施設でイベントを行ったりと、今は沢山の選択肢がある。それぞれが気を使ってwithコロナでもやっていこうとしている。

 さて、「母の日」需要ではもうネットがパンパン。生花店は嬉しい悲鳴を上げている。「母の日」の切り花はカーネーションが定番だが、カーネーションは需要に合わせて一斉に咲く訳ではない。例えばバラや菊はピンチして芽をいくつか出させることが出来る。一時に数本咲かせることが出来るので、普段の何倍も集中する需要にもしっかり応えられる。一方、カーネーションはお兄さん、お姉さん、僕の順に咲いていくので、需要が集中する「母の日」には集めるのが大変だ。従って、日頃の生産量だけでは足りないので、海外からも多く輸入することになる。海外産といえども、花もちの良いものでないと困る。そのため、信用のおける産地からの輸入が大切だ。例えば、どこの農場かが特定出来るコロンビアの花き輸出団体に加盟している責任を持った農場の商品。もちろん、コロンビア以外にもスプレーカーネーションでは、エクアドルそしてアジアでは中国の雲南、ベトナムのダラット高原、一部スリランカや中東、更にトルコ、エジプト、そしてケニア等でもカーネーションを作っている。

 生活者が「母の日」に購入してお母さんまで届け、どんな切花でもそこから最低一週間は花持ちする。花き業界は、そこまで責任を持たなければならない。小売店の責任、小売店に納品した卸売市場の責任、荷主である生産者や輸入商社の責任、そして海外から物流させた業者の責任、と各所で責任があるが、これらを生花店と卸売市場が代表して負うことになる。

 カーネーションの鉢物は日の光が沢山必要だ。不足すると蕾が咲かないで終わってしまうこともある。こうしたカーネーションの特性やケア方法と一緒に、〇〇産のカーネーションであるといった情報を明記して小売店はお客様に販売をしてもらいたい。

 最後に、心配しているのはネットでの取引についてだ。ネットだとどうしても人間関係が上辺のものになりがちで、その分責任が薄くなりがちだ。一方、アメリカのネット会社の例を見ると、あたかも本当に自分がその店に行ったように親切にしてくれて、最終的にアメリカから家に届く。この親切さが本当に嬉しい。この域まで到達している日本のネット会社もあるが、そうでは無いところも多い。ネット販売であっても、最低でも産地情報や出荷者情報等を明確にして販売する。これを今年はお願いしたい。





投稿者 磯村信夫 18:27