社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2024年04月01日

年度スタートに際し確認。花き業界には大いなる可能性があるということ。


 中小企業も半数以上が賃上げを行う予定だそうだ。売上・利益とも厳しいところも多いだろうが、設備投資、そして人材投資による生産性アップで日本の発展に自社も寄与し、次の世代にバトンタッチしたいと思っているかのようだ。

 海外からの労働移入についても、人手不足のためだけでなく、優れた人たちにも日本に来て働いてもらうことが必要だ。定住や日本国籍を取得して住んでもらうことで、多様化を期待したい。その時は、差別化ではなく特性に応じた役割で働いてもらう。貧富の差が激しくないことや、仕事に貴賤が無いこと、人も動物も、植物も鉱物も、どちらが上ということなく共生して住んでいく。このような日本人の持っている価値観を、日本に住まいする全ての人に持ってもらいたい。そして、世界から賞賛される良い国を作っていく。いや、実際にその段階に入ってきたと、世の中の様々な事象を見て、また、園芸業界、大田花きで働く人たちの意識を見て感じている。確かに、世の中にはハラスメントがあったり、自民党の政治不信を招く行動があったりする。「弱きを助け、強気を挫く」といったような、幼い頃から習ってきた価値観に反する恥ずべきことだ。より良い国に向かう道すがら、このような不祥事を炙り出している最中なのだと感じている。

 新年度に入り、スタート台に立った花き業界。もう一度、花や緑の仕事の可能性、発展性についても確認しておきたい。
 生活者に花と緑を買ってもらうのは難しい。日本のような先進国でも、一年間に花や緑を一度も購入しない人たちが本当に多くいる。しかし、その人たちはお花見をしたり、森を散策したりした時、幸せを感じないのだろうか。100%、無意識にでも「生きていて良かった」と感じるのではないだろうか。花と緑の供給者である我々には、この人たちに買ってもらう新たなビジネスチャンスの可能性があるのだ。例えるなら「裸足で生活している未開の人に、靴を売る」商売だ。我々の知恵と努力で、無限は言い過ぎだが、可能性がこんなにある筈なのだ。それが、買ってもらうのが難しいゆえに行き詰っているというのが、今だ。

 勿論、今までのやり方が間違っている訳ではない。もっと的確に花と緑のある生活の豊かさ、楽しさ、そして心が整うその時間を知らせていかなければならないと考えている。ネットでも、店頭でもお伝えしながら販売促進に努める。並行して生産者に沢山作ってもらえるように、新たに花き栽培に参入してもらえるように努力する。また、輸入商社の方々に海外の良い商品をマーケットに出してもらう。これらをコツコツ、へこたれないで積み重ねていくのだ。一年間に一度も花や緑を買わない人たちが、日本中にこんなに沢山いるのだから、この販売拡大の可能性を信じないで努力をやめてしまうのは、敗者のやることだ。決して諦めない。冷静に、本来の花の仕事、すなわち「生活者に幸せを届ける」ことに、真摯に向き合ってやっていこうではないか。


 投稿者 磯村信夫 15:39