社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年06月11日

2018年度の花き団体


 6月は総会時期だ。先週の6日(水)には、(一社)日本花き卸売市場協会 第59回定時総会が開催された。新卸売市場法や新食品流通構造改善促進法、あるいは、運送事業改革、働き方改革等の国の施策に合わせて、協会で新たに取り組むべき話題を取り上げた。消費の拡大や輸出は最も重要なことであるが、一朝一夕に出来ることではない。地道に、確実に一歩一歩やっていくこととなる。

 生産も消費も、高齢化と人口減の影響を強く受けている。花の場合には、特に団塊の世代の消費が多く、また、その世代に花き産業に携わる人が多い。高齢化や人口減に対する国の施策と一致するので、共に歩んでいくことが重要である。また、花き卸売市場は、地方独特の花飾り文化を支援する役割がある。大手ナショナルチェーンだけでなく、地元の専門店やスーパーマーケットが地域文化を守ることで、「この地に住んでいて良かった」と生活者に思ってもらえるようにすることが大切だ。その素材を供給するためにも、生産者と協力し、花き卸売市場はやっていかなければならない。そして、花きの生産、消費まで含めて、どう地域を活性化させることが出来るかを考えなければならない。これらの主たる課題に向けて、(一社)日本花き卸売市場協会は新たな役員体制となった。鉢物市場としては初めて、豊明花き(株)の福永社長が協会の会長に、また、副会長には(株)宇都宮花きの青木社長、そして、札幌花き園芸(株)の田嶋社長がそれぞれ就任された。

 (一社)日本花き卸売市場協会は、全国花き振興協議会(以下、全花協)の一員である。全花協は農水省花き室の下、下記の生産から小売に渡る六団体で構成されている。日々、花きの生産・流通の仕事を通じ、消費者に花や緑を買ってもらい、生計を立てている仲間だ。

・(一社)日本花き生産協会
・(一社)日本花き卸売市場協会
・(一社)全国花卸協会
・(一社)日本生花商協会
・(一社)JFTD
・(一社)日本インドア・グリーン協会


 また、これらサプライチェーンを構成している仲間に併せて、下記の花き文化を振興する団体を合わせた九団体で、「日本花き振興協議会」という団体を設立し、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの「花でのおもてなし」を推進させていく活動を行っている。

・(公益財団法人)日本いけばな芸術協会
・(公益社団法人)日本フラワーデザイナー協会
・(一般社団法人)花の国日本協議会


 全花協の会長は、今まで(一社)日本花き卸売市場協会の会長だった私が務めさせて頂いていたが、今期から(一社)日本生花商協会の寺井会長に移った。2019年の北京国際園芸博覧会への出展をはじめ、いくつかの重要な課題に向けて手腕を振るうことになる。一方、日本花き振興協議会の会長は、2020年東京オリンピック・パラリンピックが間近に迫り、地方自治体や東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会等との折衝やコミュニケーションが本格化することをふまえ、継続して(一社)日本花き卸売市場協会の顧問となった私が留任し、市場協会が事務局となって折衝や連絡を行っていくこととなった。

 4月に理事長が代わった『東京都花き市場協同組合』、そして、そこが事務局となって動く『東京都花き振興協議会』、『(一社)日本花き卸売市場協会』と『全花協』、さらに、オリンピック・パラリンピックにおける、花でのおもてなしを目的に設立された『日本花き振興協議会』等々、花きだけでも、弊社も会員のこれだけ沢山の重層化した団体がある。これらを無駄のないように運営していくには、ガバナビリティーの高い日本人だから、国レベルで、あるいは、最上団体が決めて、順次ブレイクダウンしていくのが基本であろう。そして、縦軸はそうでも、横軸はその組織や会社が、商店街がかつて「何とか銀座」ばかりになったように、あるいは、一定規模以上のターミナル駅がどこも同じような風景になってしまっているような、没個性なものではなく、地元の文化・風土を特徴に出して、個性的であることが望ましいと思う。

 さて、新年度が始まったが、花き業界はこのまま放っておくと、日本全体の売上高が、下りのエスカレーターに乗っているような状態が続いてしまうだろう。これを反転させる為には、自ら変化を起こす。自ら良いと思ったことを行動に移す。そのような人たちに活躍してもらわなければならない。そういう組織や社会こそ、溌剌とした花き産業を作り出すことが出来るのである。

投稿者 磯村信夫 16:23