社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年05月15日

速報値、今年の「母の日」


 今年は、夏までにエルニーニョ現象が発生する確率が80%だとか。4月から週末の度に雨が降るのでツイていない。この14日の「母の日」需要では「とにかく在庫を残さないように販売するしかない」というのが、花き業界人の気持ちだっただろう。

 今年の「母の日」需要を速報値(15日付)の形で振り返ってみる。まず、去年の「母の日」と本年の「母の日」には違いがいくつもあった。GWに続けてあった「母の日」の去年と、GWから一週間も離れた本年。天候に恵まれた去年と恵まれなかった本年。コロナ下で直接会いに行くのを控えたほうが良いとする雰囲気のあった去年と、「3年も我慢していたから今年は家族で外に出たい」といった今年。物価の上がり気配はあるものの、そこまで高くなったと感じなかった去年と、お金を払う度に一、二割は高いと実感した本年。このような違いから、事前のネット注文も店舗での予約も、出だしは良くなかった。

 地域によっても売れ行きが違った。団塊ジュニアとその子どもたちのZ世代がいる都市部では、花の消費は活発化しているが、高齢者が多い地方都市の花き需要は落ちており、仏花まで前年を下回っている。また、洋花や草花、枝物などの自然調なものに、売れ行きが二段階くらい寄ったように思われる。このような違いがあるので、極端な例だが、三割以上取扱い金額が減少した店舗や地方市場がある。一方で、日頃から上手にマーケティングをしているところでは、前年比100~110%を売上げたところもあった。しかし、このような小売店は例外で、殆どのところが前年比90%以下、平均値で85~87、88%といったところではなかっただろうか。

 今週はクレーム処理の週でもあるが、反省会の週でもある。リアル店舗にしてもネット販売にしても、小売商の方たちが生活者に販売して、花き業界にお金を入れてくれている。リスクを取って花を販売してくれているから、花き業界が成り立っている。花き業界人はこれを再認識し、小売店に感謝と敬意の気持ちを持つことが大切だ。また、市場人であれば、その気持ちを持って小売店をサポートしていくのだ。「母の日」の反省会から実際の行動に移し、もし、マーケティングや商品計画が出来ていない小売店があれば、市場人は一緒になって考え、生産者も巻き込んで来年の「母の日」商戦の準備をしていきたい。最後に、どの世代をターゲットにして「母の日」の商品構成や上代設定をするかは、店舗によって異なる。地域を大切にし、子どもたち向けに一本束や千円以下のカーネーションの花束を用意している店も一定数あったようなので、小売業者として大変立派だと感じた。

投稿者 磯村信夫  12:36



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2023年5月16日
上方修正の可能性あり

 ここ数年で定着してきた母の日参りまでいれた母の日需要は85~95%弱というところ。そして、お母さんへの花のプレゼントは、平均して90~110%。専門店では100~120%以上というところもある。鉢物では、定番のカーネーション、アジサイにプラスして、寄せ植え鉢を贈る人が多く、切花でも花束からアレンジが多くなってきている。より専門店化したギフトの花と言えよう。

投稿者 磯村信夫