社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年10月03日

農業に若者を参入させるための大田花きの解決策


 10月からの下半期の前に、上半期でPDCAを見直している。今期の目標に届かなかったことで、一番多いのが、少子高齢化による生産減と、コロナが落ち着いてきて需要復活があり、単価が高くなっているのに、生産が増えていかない事が基調にあって、特に問題視されるのが、うまくいかなくなった卸売会社や仲卸、小売店が出てきたという事だ。これは一応は推定されていたことなので、大田花きとしては4月から、買参人を会員制にした。花き業界のお客様は、唯一そのお店の生活者であり、量販店であればその地域の売り場を繁盛させる。売れ筋情報をサプライチェーンを組んでいる産地に伝え、来年もその生産者の所得を確かなものにするその活動を卸売市場として大田花きは行う。安心して作れる、安心して販売できるように卸売会社大田花きが、仕事をすることで、花のマーケットを大きくし、花き産業をより発展的にする。これが目標で買参人を会員制にしたが、今までの仕事のやり方と違うために、まだ緒に就いたばかりだ。だが、是非ともこのやり方を成功させたい。

 それを販売すれば仕事が終わり、という様な、サプライチェーン上の一部しか自分の仕事と思わない仕事は今の花市場の仕事ではない。同業の花市場の人達に、今の花市場はこういうものだと見せ、みんなで花のマーケットをもっと大きくする仕事が出来ると考えているためである。

 農業全般をみても、今、基幹的農業従事者は123万人で、平均年齢は67.9歳。団塊の世代が全て75歳以上になるあと数年のうちに、100万人をきり、平均年齢が70歳になっていくと推定される。なぜ若者達が農業に入ってこないのか、それは所得がおぼつかないというのが第1原因だそうだ。僕はそれも最も大切なもののひとつだと思うが、もう一つ原因があるのではと考える。園芸農業の場合には分業ができるようになって、農家は作る人、農協が出荷する人、消費地の市場が売る人、そして消費者に渡す再販業者の小売店・・・、と進んでいくうちに、生産者は消費者を喜ばせている実感や、健康でいるのはあなた達のおかげだというその声が届かなくなってしまい、要するに、仕事上のやりがいや、生きがいが感じられなくなってしまっている事。この2つと思っている。園芸農業については国産は80%が系統農協、市場流通している。日本の近海で獲れる魚も80%は魚市場を通っている。生産者がお金が取れないというのは市場のやり方がいけないのではないか、という気持ちが僕にはある。若者が農業や漁業に入らないというのも市場の責任は大きいと思っている。それを大田花きは買参人を会員制にしてサプライチェーンを意識し、消費者に好まれるもの、或いは、なにこれすばらしい!と言ってもらえるものを生産者につくってもらい、流通させる。少なくとも確実に、情報をお渡しし、POS (Point of sales)に近い情報を生産者も見れるようにし、ビッグデータを解析し共有する。サプライチェーンごとにこれを確実におこなう、それによって生活者が支払うお金、買いたいと思うその時に支払う、そのお金が確実に生産者へいくようにする。その様にすれば、所得問題とやりがいが解決できるとみている。

 大田花きは残念だがまだスタートをしたばかりなので成果が出るところまでいっていないが、このやり方で成功するイメージを持っているので、必ずやり遂げるべく下半期、この仕事の流儀で行動をしていく。


投稿者 磯村信夫 14:38