社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年03月06日

農業と農業組織そのものをサステイナブルなものにしていく大澤JA群馬中央会会長から学ぶ


 JA群馬中央会・各連合会会長大澤憲一氏が、群馬県功労者表彰を受章され、3日(金)に祝賀会が開催された。前橋のバラを全国有数の銘柄に仕立てた大澤氏は、現在、群馬県の農業人のトップとしてご活躍されている。花の関係者として大澤会長を想う時、サステイナビリティ(持続可能性)を一義に考え、実行なさって来た方だと改めて思う。

 サステイナブルな農業は、今後の日本農業に必要な観点だ。大澤会長は、エネルギーから始まり、肥料、農薬、労働環境、後継者の育成等、前橋バラ産地がますます発展するよう尽力された。つまり、農業面で言えば、グローバルGAP(花の場合MPS-GAP)をいつでも取得出来るような環境づくりに努めてこられたわけだ。今、農業高校にグローバルGAPを取得してもらうよう、自民党の小泉農林部会長は推進している。また、イケアは同業他社との競争から、本格的に「サステイナブル」を打ち出し、eコマースだけでなく、家具下取り・還元サービスを行い、買い替えた古いものも、決して無駄にしないようにしている。このように、地球環境だけでなく、人の働く環境、地域社会の諸活動まで「サステイナブル」であることが必要とされているのだ。

 では、大澤会長が望んでいる「サステイナブル」が、日本農業は本当に出来ているだろうか。また、日本はその方向を目指そうとしてきただろうか。そうとばかりとは言えないのではないか。2000年のオランダでは、農業廃液を自然が耐えうるレベルまで下げて、運河に流すことが規定された。すなわち、メーカーとして、自然に優しい範囲内のものをつくるよう責任を持たなければならなくなった。従ってコストがかかる。この規制が嫌で、オランダを逃げ出した農場経営者を私は多数知っている。しかし、オランダはこれをやり通した。オランダの市場や小売店も、流通上やり通した。プラ鉢や陶器、土の廃棄の問題等に真剣に取り組んだのだ。

 花き業界も大澤会長に見習い、サステイナブルなものにして発展させていかなければならない。流通上の再利用の問題や、結局短くして使われる花を長く仕立てなければならない生産コスト、小売店で短くする為に切られた茎や葉のゴミの問題。そして、大田市場でも不法投棄が絶えない大鉢や植物の土の問題。様々な問題があるだろう。また、リサイクル率の高い段ボールも、こんなに様々な種類の規格箱があっては駄目だ。アマゾンや楽天の物流箱を見れば分かるだろう。そこで、(一社)日本花き卸売市場協会が提案する箱に是非作り替えてもらいたい(トラックの内寸を考慮した「1100㎜×360㎜×260㎜」、「1100㎜×360㎜×130㎜」、「1100㎜×360㎜×173㎜」の横箱、パレットであれば「1100㎜×1100㎜」のサイズを提案している)。いずれも「サステイナブル」を一義に考えたものである。もう一度、見過ごしたりやり過ごしたりしてきたことを改善していこうではないか。



投稿者 磯村信夫 : 17:08