社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年03月20日

賃上げを必ずする。そして健全経営をするためには


 コロナの終息から日本は、活動を2019年までの様に戻そうとしている。飲食店などはアルバイト募集の張り紙がどこにも貼ってあり人手不足感がある中で、政府や経済界は賃上げをしましょうと叫んでおり、既に実行するとした会社が多数ある。研究者や経済評論家などは、今年は上げていく企業が多いでしょうが賃上げと、会社に良い人が集まるかどうかは来年こそが勝負です、などと言っており、話題はもう来年の給与水準のUPについて言及している。人件費を上げて、エネルギーコストの上昇等と労働人口減少、ロボット化・AI化等DXシフトを頭に入れ、企業経営者にとっては節約と投資と利益、即ち経営力について真剣に考えないといけない時代となってきた。

 花き業界では生産者から卸売市場の卸までは、花の単価が上がったので収入は増えた。卸売市場の仲卸から小売りに至っては、単価が上がった花を買って最終的には消費者に買ってもらおうとするのが商売であるからここで値上げは難しくなる。1割はできても2割以上となるとそう簡単にできる事ではなかった。小売価格1000円の花束で考えた場合、自社所有のお店でそれを売るのであれば小売りの取り分は500円、もしテナントで一般的な場所での家賃を払うとすると600円の取り分が普通。これで生産者に300~400円のお金を渡すことができる。(因みに卸と仲卸で100~120円)良い所に出店すると売れるけれど人通りの多い所はやっぱり家賃が高いという事は生産者の皆様も理解して頂きたい。(勿論良い品物を高級品として売る)経費をかけてでも良い所へ出て花をたくさん売ってくれようとする小売店があるから、花が人気となるわけで、また、見るから欲しいと思うわけで、バーチャルだけではそうはいかない。今は、結婚式やお葬式、法事も小さいけれど復活し、イベントも然りであるので、後は手軽に花をプレゼントし合ってもらったり、庭先や玄関先のコンテナガーデンなどで花を楽しんでもらう事だ。

 今言った通り仲卸から小売りは生活者に納得してもらう価格をつける事で苦しんでいる。そして、荷が少なくなっているから、足りないものを中央中核の市場で手当てして地元のお花屋さんに供給する地方の市場もなかなか値上げが充分にできずに苦しいところだ。そこをまず生産者の方々には理解して頂きたい。ではどうするか。広報として消費者に資材、運賃の値上がりからエネルギー売価の値上げを理解してもらう。業界内では、供給サイドの生産者や仲卸の様に卸から荷を揃えるという再販業者であれば卸と、そしてその仲卸の先の小売店と充分に商品政策や販売戦略を練るという手続きが必要という事である。そういったことをせず勝手に今まで通りというのは、まず小売店が消費者から期待されなくなり、その結果花き業界が縮小均衡する。これでは何のために仕事をしているか分からなくなる。商品政策と販売戦略、これをサプライチェーン上で特に重要な小売店で必ず行う事を2023年の課題として頂きたい。そうすれば花き業界は消費者が味方になり、でっかくなる。

 



投稿者 磯村信夫  16:20