社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

[]

2022年08月29日

物流改革のインパクト強い


 今週から9月が始まる。今朝、花ステーション3階を訪れたが、青果と花を扱っている場外仲卸の社員が、相対品を台車からパレットに移して積み込み、ラップを巻いてよく見るパレットの荷姿に整え直していた。「今週から運送会社に言われて荷姿を変える様にしました。大田花きさんのパレットを使えると良いのですが、台車と同様にパレット交換の仕組みができますか?」と言うので、「ロジスの担当者へ相談してみてくてださい。今までやってきた様にお互いに持ち合って交換するか、パレットをレンタルする様にしていきますか?」と、このように立ち話をした。

 荷姿の改善は各所で行われている。バケツ輸送を裸のままだと拒む運送業者や、運賃をそれ相応の値段に引き上げてくれと言う運送店も出てきた。縦箱の湿式輸送で、中に水が漏れないようにプラスチックの簡易バケツが入っているが、飛行機においては水濡れは許されないため、全部水を抜いたり、簡易バケツを除いていた。宅配便でも同様に水漏れは困るのだが、この頃は色々な運送店において、水はもちろん水入りの縦箱を取り扱わない、あるいは金額を高くする、という事が起こってきた。

 2024年の運送業界働き方改革での物流の制約が大きく我々に迫ってきているのだ。その一環で、青果、花、両卸売市場において、人口の多い都市部の卸は良いものの、その周辺の卸売会社は軒並み取扱数量を減らしている。それは、今まで猶予期間が定められていたトラックの運転手も、2024年より時間外労働の上限規制が適用されるからである。北海道の荷が東京へは来ても関西に行きがたい。九州の荷は関西まで行けるが関東にまで出荷しがたい。そして出荷する場合は、できれば満載にして運賃コストを落として、立寄る件数は出来るだけ少なくし、合理的にバースを予約して時間通り降ろして、そのすぐ傍で帰り荷を積み、自社あるいは自宅へ帰りたい。この様になっているため、大田花きとなにわ花いちばが中心になり、勉強会を開いている。

 その趣旨は、地域広域市場にも必ず大産地の荷が行く様にし、地産地消が一番大切な地元の花き生産を活性化させて、余るほどの花ができたら、それぞれの市場へ出荷してもらうのだが、その時の取扱規模の目安を20億円としたい、というものである。これは、全農が花の卸売市場の場合において仮に設定しているものであり、輸送して利益が出る、運賃倒れにならない卸売市場の一つの目安である。ちょうど青果卸売市場が200億円の取扱金額を一つの目安としているものと同様である。現在の大都市卸売市場人口は、老齢化こそしているがそれほど減っていないので、取扱金額をそれほど落としていないが、各県の県庁所在地の有力花市場も20億円の取扱金額を割り、15億円になっている。地域の経済事情により15億円も割り、10億円に近づいているところもある。

 卸売市場としての役割は、生産者に向いてる目と小売店消費者に向いてる目の二つがある。仲卸が、大手市場から足りないものを買って揃えて販売するように、今後は、地元の生活者のために品揃えする15億円未満の市場が多くなる。しかし、広い場所を使っているので物流上は集荷、分荷など物流センターとしての役割を得ることができる。そして、売上げを作りながら大手市場とも相談し、商流は直接産地と、物流は大手市場経由として、取扱金額を20億円に持って行き、2050年に向けて、仮に日本が8,000万人の人口になっても、地元の花のセンターとして卸売市場が機能を発揮できるようにしないといけない。これが今のところ、日本の各花市場に課せられた課題である。これを遅くとも2025年まで、できれば2023年2024年に見える形にしていきたい。そうすると、コロナ禍で家庭需要が増えて若い人も花を買う様になっているので、そこへ向けてスーパーの売場だけでなく、フローリストが仕入れに困らないだけの卸売市場を作っていかなければ、地元の生活者を満足させることはできないだろう。魚市場も青果市場ももちろん花市場も、地元の食文化花飾りの文化のメッカである。

 


投稿者 磯村信夫 18:27