社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年12月19日

物日に大田花きを担う人材を発掘する


 今日から暮れの取引となってきた。しかし、東北勢の買いが1週間ないし4、5日遅い。量販店の納品業者であるブーケメーカーも同様だ。今まで暖かかったのと店頭の売れ行きが鈍かった事がその理由だ。東京の中央卸売市場は21日に千両やコケ松コケ梅の市だ。そうなると、小さな首都圏の千葉埼玉東京神奈川は23日以降、それより外郭はその前の今日から買い始めている。今年の日廻は一番正月休みが少なくなっているためクリスマスの花の販売と正月用の花の仕入れで花屋さんは大忙しだ。こういう時だからこそ僕は早めに会社に来て、MBWA(Management by Walking Around)をしている。目的は、大田花きは地方の卸売市場やそこの仲卸さんとの取引があるため、今日の様に大雪だとすると、定時に先方の市場に荷が着くようになっているか、大田からの出発時間は大丈夫か、など荷の動き、社員の働きをチェックし、各運送店の運転手さんへの労いとお願い、などをしている。 

 そしてMBWAにはもうひとつ実は目的がある。平常の入荷からすると少なくても3割か5割多くなる物日に、指揮命令系統はきちっと発揮されているかどうか。疾風に勁草を知る如く、特に30歳代前半、20歳代後半の社員で、将来大田花きのリーダー或いは執行役になる人物は誰か。特にこの頃女性の役職者登用が会社の重要な課題になっているから、女子社員の動きや周りとの協働、リーダーシップなどを見ている。商流の営業本部でもそうだが物流のロジスティックの動きほどサッカーやラグビーと同様に全体の仕事の流れをイメージし、仕事が集中してしまう時、少し手があくなどの潮目があり、その中で自分の任されているエリアの事を完璧に行わなければならない。そういった全体の流れを、鳥の目と魚の目、そして虫の目で注意深く見る事を同時にしながら仕事を行っていかないといけないのは特にロジスティックの仕事だ。もちろん営業も然りで、セリ前取引或いはその前に行う予約相対注文取引について、全体の出荷量や消費者が欲しがる日、価格などのスペック、代替品やライバルの出方、去年からその商品に飽きが見られたとすれば、新規性の味付けをする等、虫の目鳥の目魚の目と、これらを使わなければ仕事にならない。ここが出来ている人間がティームリーダーであり、そこのセンターの長であり、本部長であり執行役となる。もちろん35歳くらいまでどこの分野でプロになってもらうかその方向性を本人も我々も見つける。その頃その道のスペシャリストになるのかマネージャーになっていくのかを、おおよそ方向性を出しながら、40歳になっていよいよスペシャリストかマネージャークラス管理職になってもらうかを決めていく。もちろん上司の推薦も毎年1月下旬からあり、2月の昇格試験の時に将来の方向性を朧気ながら決めていくのだが、この12月の物日の時、その人の実力が出る。忙しい時その人の本質的な所作が現れてくる。考え方も同様だ。そのために物日にMBWAをしているのである。普段僕が事務所に居て見えなかったところも、現場に行くと見えてくる。こういう上司になりたいと若い人が尊敬しているのが或いは憧れているのがよく分かったりする。あとはその人をどのように自分自身を鍛えて育てていってもらうか。学習の習慣で欠けているものがあればアドバイスをしてやってもらうことになるだろう。それ故僕にとって物日は、大変勉強になる将来の大田花きを担ってもらう人材の発掘の場でもあるのだ。  




投稿者 磯村信夫 14:33