社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年08月21日

次のステップへの変化


 新型コロナはまだ完全に収束していないものの、インフルエンザと同じ扱いになり、旅行や外食が普通に行われるようになってきた。そういう町の様子を見ていると、次のステップに向けたスクラップアンドビルドの諸活動が見えてくる。

 ベースにあるのは、今後とも人口減で、需要と供給が少なくなっていく日本だ。その中で新たな需要、例えば医療、そして幸せに過ごすことをフォローする産業等、そういったものが増えてきている。スクラップアンドビルドの中でも、働き方改革でワークライフバランスの取れていない業種や会社は、この世で継続することは出来ていない。そして、世界では人口が増えて経済が活発化し、国際経済の中でも力をつけてきている国もある。相対的に日本がその競争力レベルに達しないと、人口減どころではなく、国そのものが立ち行かなくなる。そうならない為にも、日本は半導体の産業、AIやロボットに関する産業等、世界に追いついていかなければならない。そういった分野の力をつけるために、国も動き出した。

 少子高齢化の需要減の中で、国際競争力の強化が叫ばれる日本。その中で、将来に向けて各企業がどのように生きていくのか。この視点に立って、全ての業種でスクラップアンドビルドが行われている。今はその最中であるから、倒産件数が増えたり、転職等による労働移動が活発に行われたりしている。地域によって消滅する町や、それを支えていた公共インフラが古びて、そのまま直されないで放っておかれたり、逆に新しい町が出来たりしている。もう後戻りは出来ない。日本は穏やかな国民性なので、急な変化は好まず、ゆでガエル※のように見えているところもある。新型コロナ騒ぎや、新しい国防上の危機、新興国の台頭等、すごいスピードで変わっている世界を鑑みると、もう一度、失敗をしても新しい姿に生まれ変わるというチャレンジ精神が、この国のあらゆるところに必要なのではないかと思われる。

 卸売市場業界・花き業界もスクラップアンドビルドが行われている。従って、自分の会社も含めいつ倒産してもおかしくない状況にある。それは需要が少ないため、業界や会社に入ってくるお金が今までのやり方だと減るだけで、収支が逆転するからだ。従って、次のステップを踏んで需要を取りこむ、利益を取り込むことが必要だ。また、全ての会社が生きていけるだけの需要や供給物がもうないから、生き残って強い者同士が補完し合い、新しい形を作っていかなければならない。或いは、新しい形を作って生き残る。どのぐらいスピーディーにことが行われるか。日本の場合はここが下手だ。自戒も含めて「チャレンジとスピード」をキーワードに、日本や、或いは、私たちがいる花き業界を活性化させることが出来るよう、自らを変化して力をつけていきたいと思う。

 ※ゆでガエル(理論)・・・穏やかな状況下では、危険が迫っているにもかかわらず変化がゆるやかなため気がつかず、気づいたときには手遅れになっている、という状況を表す警句。


 投稿者 磯村信夫  11:24