社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年01月24日

来期計画を作るに際して


 先週の21日金曜日と24日今日の月曜日は、輸出のピークだ。2月1日が春節だから、中華圏へ大量に輸出している。また、アメリカへの輸出も堅調で、スイトピーを中心に去年より順調に輸出されている。大田花きでは、仲卸が輸出業務を行っている。輸出業者によっては、羽田空港から輸出する会社、成田空港から輸出する会社と別れている。円安で、輸入商社は大変だが、輸出する方からすると航空運賃がコロナで跳ね上がってはいるが、日本の花の卸売価格が、海外に比べてそこまでは高くはなっていないので、じょうずに採算を合わすことができている。国内需要をしっかり満たしているとは言えないのに、輸出振興なのかと言われると頭が痛い。日本の得意なものは、この時期だと枝もの類、スイトピー、ラナンキュラスなどで、それぞれ国によって得意なものが違っている。このコロナ禍で輸出は消費サイドではちょっと困るが、生産者は需要が多岐に渡るのでほっとしているので、これも良しとして頂きたい。今後も、輸出入は自由に出来ると、平常時には消費者も国内の小売店も満足してくれるだろう。しかし、今は、円安もあり、輸入業者の方々は花やグリーンを選んで輸入をしないといけないし、輸入業者そのものが、採算を度外視というと言い過ぎだが、海外の花を供給する責任があると考えてくれていないとコンスタントに輸入はできないので、種類も量も限られる。

 さて、来期に向けて予算を作る時期になってきた。売上計画、利益計画、投資計画、そしてそれを実行するための組織改革や、行動目標などがあるが、来期に向け計画を立てるにあたり、大切な点を指摘しておきたい。社長なり、営業担当役員が、3・5年計画を鑑み、来年は、どういう売上利益で何をすべきかを提示するが、そのとき、組織の体制と行動も再度見直す必要がある。ちょっと失礼な例で申し訳ないが、去年の野球のヤクルトやオリックスの例を見ても、出来の悪いチームなど無い、出来の悪いリーダーがいるだけだ。こういうことが事実ではなかったか。しかし、出来の悪いリーダーも、出来の良いリーダーと同じことを言っていたはずだ。では、何が違うかと言うと、そのまま見過ごしたり、あるいは劣る悪いと感じながらも容認していたりすることがあって、その容認していたことがチームの負けを呼んでいた。強いチームは、徹底している。だから苦しいときにも、基本に忠実で、その水準が高いので、踏ん張りがきいて、最後はものにしている。こういうことではないのか。日々変わるし、見る角度によって実際の姿も異なる。しかし、どんな価値観で行動し、その組織が何を大切にして、優先順位をつけて実行し実現しているのか。やはり、しょうがないだとか、出来ないせいにしているだとか、ひとりひとりの行動にだらしなさがあるだとか、集合の場所にぎりぎりに来るだとか、ものを大切にしないだとか、たくさんのことがあるのではないか。大谷翔平も日本ハムの元監督、エンジェルスの監督、そして自分自身に、これで良いだとか、しょうがないだとか、容認していくことが少なく、前を向いて努力しているのではないか。このように思った。

 花き業界でもたくさんある。最終アンカーの小売店の店員の接客は、他の小売店の接客レベルと比べるとまだ負けている。花束を作る技術はあるのかもしれない。でも、接客の知識や、商品知識をもう少しあげないと、リアル店舗でやっている価値が半減する。サブスクリプションの方は、花の種類や生産者紹介、花のもたせ方や飾り方、そこまでパンフレットで教えている。的確な情報量だ。少なくともリアル店舗は、商品についてはそこをさらに一歩踏み込んで説明したり、お客様の要望を伺うなどの接客が必要だし、小売店としてのパーパスや経営理念をきちんと伝える必要がある。

 2022年withコロナで実力が問われるとき。お互いに、他の産業界に負けぬだけのレベルを目指し、来期の計画を作ろうではないか。  




投稿者 磯村信夫 17:59