社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年12月31日

来年は縮小均衡をストップし、反転の年にする


 2015年以降、切花・鉢物共に生産、消費金額が目立って減少してきました。切花は国産品が少なくなった分を、輸入商社の働きで輸入品が補完しました。一方、鉢物は輸入品という訳にはいかず、切花よりも全体のパイが減ってしまいました。業界全体に行き渡る、消費者から頂くお金の総量が減ったのですからたまりません。

 この現況において、中間流通業者の卸・仲卸はお取引先にどう繁栄してもらうかを一緒になって考えなければなりません。中間流通業者は、取引先が繁盛するから廻りまわって儲けを頂けるのです。小売店にもっと繁盛してもらうにはどうすれば良いか。いけばな教室やフラワーデザインスクールに、もっと多くの生徒さんに通ってもらうにはどうすれば良いか。ホテルやショーウィンドウ、イベント等で、花や緑の装飾をもっと取り入れてもらうには。このように業態別のお取引先に儲けて貰い、それを通して生産者がもっと儲かるような仕組み作りをしなければならないのです。生産者にはニーズを的確に満たせるよう、今売れている花を生産してもらいます。そして「あなたの欲しい花はコレでしょう」と、新しい品種や仕立てのものをフローリストやデザイナーに提供する等といった取り組みです。消費者と直接接点を持つ小売やお教室が繁盛しない限りは、花の消費が増える筈がありません。

 人が幸せになるためには、「お金」、「衣食住」、「認め合う人間関係」、「健康」、「自然」、「文化」、これらの要素が必要です。そして花き産業や“いけばな”、“フラワーデザイン”、“ガーデニング”等は、その内の「自然と文化」を人々に感じさせてくれます。しかし、食料品とは違い、あらゆる支出の中で花と緑を選んでもらうことは本当に難しい。これをどうやってお金を出して消費者に購入してもらい、幸せを届けていけるか。花を実際に買ってもらうことが消費者の幸福に繋がります。「買いたくなる」、「売れるようにする」ことこそ、花に関わる仕事をしていく者の使命です。繰り返しますが、消費者との接点である小売店を、学校を繁盛させる。そして生産者も儲かるようにする。ここに注力するのです。これが日本の花き業界が反転する要です。店を支援する意識が無ければ、即ち、消費者の目線に立っていけなければ、花き業界の反転はありえません。
 
 ラグビーワールドカップ2019や、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会において、花で盛り上げたいと業界で団結し取り組んでいます。世界の人々に、特に日本国民に花と緑に関心を持ってもらい、花と接する喜びや幸せになる体験を、たとえテレビを通してでも実感してもらいたいからです。そして、「お金を出してでも花との生活をしたい」と思ってもらいたい。ここに集中して、花き産業、そして文化であるスクールが隆盛を極められるようにしていきましょう。
 
 
投稿者 磯村信夫 10:05