社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年08月17日

未来を予測する情報に、気象予測は確実だ。


 未来を予測する時に、人口動態の推移もそうだが、気象予測も欠かせない。気象予測も人口動態と同様の精度で、未来が予測出来るとされている。
 
 現在の二酸化炭素濃度は、約408ppmだ。21世紀はじめでは、世界平均で約370 ppmだった。今後、太陽光エネルギー等のクリーンエネルギーを増やしたり、電気自動車の普及、省エネ機器を使ったとしても、2100年には地球温暖化ガス濃度が700 ppmに増え、平均気温は4.2度上昇するとされている。また、その途中の2040年では、平均気温が2度上昇するそうだ。これは2000年、スーパーコンピューターを使って地球の気象状況を予測した時の通りに進んでいるという。今夏が特別暑いのは、チベット高気圧と太平洋高気圧が重なっているためだと言われているが、大元の原因は、温暖化が進んでいることなのだろう。そして、集中豪雨や大きな台風は今後も予測されている。農産物を扱う仕事に従事している我々は、天候異変に強い国土を作り、現在の地域でも作り続けるにはどうしたらよいか、より一層、考えていかなければならない。品目を変えるか、思い切って生産地を移転させるかの決断、生活者は健康志向やエシカル消費で、有機農産物や特別栽培作物を好む傾向にあるので、生活者が必要とする作物を作る技術、天候異変で作柄がズレるので、鮮度保持出来る保管技術の開拓等、沢山の新技術が必要になる。その中には、当然にDX※1も含まれる。花は部屋にクーラーが入っていたとしても、常温に近い温度でも鑑賞出来るよう、切花も鉢物も常温でも“花もち”の良いものを作る。庭に植える苗物等は、暑くても次々咲いてくる品種が必要となる。  

 暑いことを前提に生活をしていく。これがこれからの1つのライフスタイルとなるのだろう。クールビズは、4月から10月いっぱいの七カ月ということになってしまうかもしれない。もう一度、家庭の中での花との生活を考えたい。室内イベント、お墓参りの花で必要とされる“花もち”期間や種類等、真剣になって検討するのだ。今までの日本人が持っている季節感と、体感に合わせた季節の花をどう作っていくか。これも産地と一緒に変えていかなければならないと思うのである。花き産業の各自は、ESG※2経営をしていこう。  

 ※1
DX:デジタルトランスフォーメーション
  デジタル技術の革新で、生活をより豊かに変化させること。

※2
ESG:Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の三つの言葉の頭文字をとったもの。企業の成長には、この三つの要素が必要だという考え方が広がっている。  

投稿者 磯村信夫 10:00