社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年09月11日

昭和から平成を経て、令和へ。平成の30年間で激しく変わったこと


 諸物価の値上がりやアメリカの金利水準の高止まりだけをみても、昭和から令和に移ってきて、「失われた平成の30年間」後の変化の激しさが分かる。この間に地球温暖化で自然災害が多発し、特に日本は多大な影響を受けている。そんな天候異変の中で、今年の日本の夏は高冷地が暖地になってしまった気象状態が続いている。自宅の周りの彼岸花も、生育が遅いような気がする。市場出荷量は切花・鉢物とも一割から二割、去年に比べて少ない。資材や肥料等の値上がりが激しいからだろうか。生産者と話し合い、需要期に合わせた生産をお願いしているのだが、天候の具合で出荷時期がブレざるを得ない。

 ここ30年間の変化は、異常気象だけではない。「ブラック・ライブズ・マター」のような人種差別抗議運動、SDGsによる目標設定等、課題解決に向けて動き出している。最近日本でも、恐らく歴史的に最もおぞましいセクシャルハラスメントの一つであろう事件が公になった。この事件のように、特に芸能界やマスコミ界で体質の古さが問題に挙げられている。東京オリンピックは1年延期になってしまったが、関係者の努力によって成功裏に終わった筈だった。汚職やハラスメントの問題が後から噴出し、何か薄汚れたものになってしまった感が否めない。しかし、こうした汚職を明るみに出そうとする価値観がこの30年で大きく進んだ。令和の時代はまだまだ力による領土侵略等の戦争もあるが、新しい方向に進んでいるのだ。みなが覚悟を持って実行しようとしている。特にZ世代が先頭に立って、社会環境を良くしようとしている。新しい価値観に進めない組織や国は、長い目で見たら繁栄することが出来ないだろう。

 我々花き関係の組織も、ハラスメントについて考えて運営する必要がある。2020年6月に「改正 労働施策総合推進法」が施行され、2022年4月から中小企業でもパワーハラスメント防止措置が義務化された。「下請けいじめ」といった問題だけでなく、社内の様々なハラスメントにおいても、経営者に真摯に受け止め改善するよう促している。現場主義の業界では、徒弟制や師弟制の風習が残っている。それがいきすぎると、自覚の足らないいじめになる。上司と部下といえども、役割別にその関係があるだけで人間的には対等だ。あらゆる人が自分の考えを持っている。その価値観を無視し、それを自分の支配下にあると考え指導するのはハラスメントになる。まず、その人の価値観を認めた上で、仕事上の役割をもっと熟達させるために指導する。上司はこの意識を持って、本人の成長に繋がるよう指導することが必要だ。また、大田花きには外国籍の社員は殆どいないが、今後、農業関係にしても、我々、物流業にしても、海外の方に働きに来てもらうことが多くなっていくだろう。その時、仕事上の役割と価値観は別であることを教え、人種・宗教まで含めてその人を尊重する。このような習慣を社内で作っていく必要がある。

 ニュースを見たり新聞を読んだりしても、いつの間にか海外の記事が多くなってきていることは、皆さんもお分かりだろう。世界の国々と一緒になって、日本も良い方向に向かっていく。ハラスメント防止だったり、あるいは適切な「2%インフレ」であったり、所得のアップ、生産性の向上目標であったりする。こういったことを念頭に、花き業界みんなで良い業界を作っていければと思う。

 
 投稿者 磯村信夫  15:48