社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2024年01月01日

新年のご挨拶


 あけましておめでとうございます。

 本年初のコラムでは、花き業界の大きな課題である、国内生産高を高めることについて考えたいと思います。大田花きに生産者が来社されご挨拶させていただくたびに、私は「是非、丈が短くても構わないのでもっと数量を生産してください」「新規生産者を産地内で育成してください」と、この2つをお願いしています。

 ここ5年で特に需要が増えたのは枝物です。切り枝も、もちろん観葉植物も、グリーンとして家に飾るようになりました。しかし、枝物の新規産地を見てみると、茨城県北部の産地以外は、果樹農家が高齢化に伴い、枝物をプラスして作るようになったところくらいでしょうか。切花では大品目である菊類の次に、枝物がナンバー2の品目になっているのにも関わらずです。また生産が少なくなっている品目としては、消費者が大好きな球根切花が、球根代の値上がりもあり生産が減っています。また草花は精一杯作っていただいているけれど、「手が無いのでこれ以上作れない」と仰います。いずれも頑張ってくださっている産地が多いので、どうやったらもっと生産量が増やせるか、生産者の皆様と一緒に課題解決に尽力していきたいと考えております。例えばもう一度、人手を増やすような研修生制度の活用を検討したり、難しいかもしれませんが、事業規模を大きくして組織的に経営を行い、従業員を雇えるようにする。更には、丈が短く今まで鉢物用だった品種の切花化を試み、本数を多く生産出来るか検討する等です。いずれも手がかりますが、供給量が足りない現在、需要は必ずありますので採算が取れる筈です。

 国産だけではありません。輸入商社の皆様にも今後とも多くの商品の輸入をお願いしたい。これまで国内の不足を埋めていただいてきましたが、国内の不足分を補うだけでなく、消費が拡大できるよう、質の高いものや珍しいもの等、国産に無い価値を全面に出した販売をお願いいたします。

 今、日本の花き生産は、戦後世代の人たちが花き生産からリタイアしていっている最中です。従って生産量が足りません。この次の時代を担ってくれる人たちが十分に力をつけるまで、花き業界全体で協力が必要になります。小売店も消費者に販売する時、野菜と同じようにどこで作ったか、出来れば誰が作ったかを表示を、また、環境に配慮したことが分かる「カーボンフットプリント」等のようなものを表示して販売をお願いしたいと思います。

 今年は日本の花き生産者にますます元気になってもらう年ですので、応援していきたいと思います。元気になってもらうには、卸売市場は生産者とコミュニケーションを密に取り、需要のあるものを生産出荷できるよう、作付け品種選定のお手伝いをさせていただきます。そして天候が予定外でも保冷施設で預かる等して、サプライチェーン上の仲間である生花店から消費者に買ってもらえるようにします。こう川上から川下まで花きサプライチェーン上の花きに関わる業者の皆様と一緒になって取組んでいきたいと考えております。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。


 投稿者 磯村信夫  8:30