社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2021年08月02日

幸せにつなげる


  年を重ねてくると、見えてくることがある。オリンピック選手の試合後の言葉を聞いていると、勝った人は勿論だが、負けた人にも「この人は本物だ」と感じることがある。”本物“とは、後味が良いことだ。人物にしても料理にしても、酒まで含めた飲み物にしても、後味の良さが「本物か本物じゃないか」に繋がっている。そういえばいつだったか、素手でトイレを磨くことで有名なイエローハット創業者の鍵山秀三郎氏が、そのようなことを言っていた。

 幸せには4つの要素がある。1つ目は自己実現と成長。これに関わっているかどうか。2つ目は人との繋がりと感謝の気持ち。3つ目が前向きな思考と楽観性。最後に4つ目が、自立とマイペース。この4つが、その時の気持ち「ハッピー」と、本田宗一郎氏の「私の人生、まあまあだったな」という、「ウェルビーイング」に繋がるのだ。花き業界でも、取り扱い規模ではなく、地域の中で輝いている生花店や卸・仲卸の流通業者、あるいは、生産者に、オリンピックの選手と同じような、「ウェルビーイング」があるように思う。  

 幸せだと感じることは、人との繋がりや感謝を、神様に垣間見させて貰っていることではないだろうか。一転して、その後に奈落に突き落とされた人間は、いくらでもいる。悲劇の英雄もそうだろう。名を成した人が晩年に間違いを犯して転落することもある。即ち、死ぬまで「ウェルビーイング」でいる努力をすることが必要なのだ。先ほど申し上げた4つを絶えずチャレンジし、日々実践していくことだ。  

 新型コロナの第5波で、知事会が帰省中止を求めているため、最悪の場合も想定し、2回のワクチン接種を終えた両親が待つ実家に帰省するか迷う方も多くいるだろう。従って、お盆の花の売れ行きもどうなるか、これからの見通しが立たない花き業界の人たちも多いはずだ。しかし、そんな不安の中でも、実家に帰れないとしたら、リモートで会ってお盆を一緒に過ごす。墓参りの習慣があるところは、帰ってこられない人の分も墓参りをしてもらう。あるいは、帰省出来ないから花贈りを行う等、その状況に合わせてベストなものを選んでもらいたい。また、選んでもらえるよう、花き業界でもPRしていく。「こんなこともある」と腹をくくり、繋がりと感謝を感じ、困難な状況でも前向きに、そして、最悪の場合も想定しながら楽観的に考えていくことが、「ウェルビーイング」であることに繋がっていく。

 



投稿者 磯村信夫 10:56