社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年06月05日

市場流通ビジョンを考える会 令和5年度第2回全国研究会開催


 6月3日(土)、東海地方における線状降水帯の豪雨によって東海道新幹線がストップした。東日本の消費者にとって、徳川家康の出身地である東海地方は、最も重要な花の供給基地である。スプレー菊やバラ、露地栽培のいくつもの花、そして山間部の枝物等、被害は大きい。日曜日時点では詳細な調査結果が出なかったが、今後かなりの被害が出てくるのではないかと心配だ。そして関東地方も同様で、水害による花の生産物の被害が出ている。心よりお見舞い申し上げるとともに、これからどうすべきかを産地と一緒になって検討したい。苗の手当てでお手伝い出来ることはあるか。或いは一作休むとして、次作で苗の手当てが間に合い、収益の上げられる品目は何か等、相談しながら復興のお手伝いが出来ればと考えている。

 さて、3日(土)の午後は「市場流通ビジョンを考える会令和5年度第2回の全国研究会」が開催された。「市場流通ビジョンを考える会」は東京聖栄大学の藤島先生が中心となり、青果・水産・花きの卸・仲卸有志が幹事になって進めているものだ。当会には個人会員も含め約100社余りが入会しており、会員へのアンケートによると、以下3つの目的をもって会員は会に参加している。
① 業界の動向に関する情報収集のため
② 業界内での繋がりを作るため
③ 自社の社員教育のため

また、会で学びたいこととしては、以下の5つが上位に挙げられている。
① 市場流通の今後の展望・将来予測
② 先端的卸売市場、好運営卸売市場の紹介・解説
③ 卸売市場制度・卸売市場法とその改正などに関する解説
④ 市場外流通の動向等についての解説
⑤ 時事問題(例:インボイス制度)に関する解説と対応策

今回の全国研究会では、相対取引が中心になっている卸売市場における、情報処理の方法について議論が行われた。出荷情報と物流情報、取引情報をどう効率よく繋ぐかだ。JAの集出荷場だけでなく個人の生産者まで含め、どう取引時間に間に合うよう市場へ情報を結ぶか。また、買参人の取引情報をどうしたらスピーディーに繋げられるか。クレームや決済時の処理はどうするか。買付や委託の場合の情報処理はどうするか等々、広く言えばデジタルで重複作業をなくす、タイムラグをなくす、生産性を上げる事務処理について検討された。会では、既に大手市場、あるいは農協県本部に導入実績のある三社から以下の話を聴いた。

1、 日本事務機器(株)様
fudoloop(フードループ)アプリの紹介
入荷情報のデジタル化によるコスト削減方策から考える事業変革マインド

2、 (株)kikitori様
産地からの入荷情報のデジタル化及びオンライン受注による集計業務の簡素化
~産地及び販売先とのデータ連携の取り組みについて~
 産地からの出荷情報、および販売先との受注情報のデータ連携についてご紹介いただいた。

3、 都築電気(株)様
事務担当作業の軽減方策の検討
営業事務作業である入荷の手入力や取引先との相互確認作業、また経理事務の請求・入金照合作業等、卸売会社には人的負荷のかかる場面が多くある。これを取引先と連携することによって負担を軽減するシステムをご紹介いただいた。

生産地からFAXで来た入荷情報を卸売会社が人を介して入力する。この人件費だけでも膨大だし、人なので間違いは起きる。取引時間までにその情報を間に合わせるために急がなければならない。情報がFAX用紙の場合、先に来た情報順に順番にコンピューターに入力されているか分からない。卸売会社のコストを上げていくばかりだ。この合理化欲求が会員からなされたので、今回の勉強会の運びになった。今後、システムを使って事務処理を合理化することを会として提言した

 3日(土)の午後は晴れたが、東海道新幹線は止まった影響でリモート出席の方が多かった。これも合理化の一つだろう。そして研究会開催後、事務方部会を立ち上げることが決定された。事務処理は水産・青果・花き市場のそれぞれの業界で共通化できるのではないか。特に青果市場と花き市場業界は出荷形態、小売形態がほぼ同じであるため、共通で括れやしないか。ソフトウェア開発にしても仕事の仕方にしても共通する点が多く、合理化を図れるのではないか。営業や商品開発等の有意義な競争の分野でしのぎを削ればよい。この考え方で卸売市場全般、あるいは部類を超えて協力して取組んでいこう。こうして、リンゴの産地市場である弘果弘前中央青果(株)の大中常務に座長になってもらい、勉強会を始めることにしたのだ。これをお読みの皆様におかれましては、色々なお立場があるかと思うが、興味のある方はぜひご参加いただきたい。また、卸売市場業者だけでなく、サプライチェーン上にある運送会社の方も情報共有すべきと思っているので、ご参加をお待ちする次第である。

 市場流通ビジョンを考える会に関するお問い合わせ
市場流通ビジョンを考える会 事務局(株式会社kikitori)
mail:info@kikitori.jp

投稿者 磯村信夫  15:02