社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

[]

2022年12月26日

市場業界の今年の潮流


 今年の卸売市場業界では、野菜の価格が前年よりも下回る事が多かった事、魚と花きの価格が前年を二桁ほど上回るものが多かった事、が挙げられる。

 取引の関係では、青果市場が集荷しようと産地の希望価格で仕切り、販売には買い手の希望価格で仕切って逆ザヤになり、その差額分を寄付金として国税から指摘を受け卸売会社は税金を支払う事になった。

 生鮮食料品花き卸売市場業界の間では、地元の人口減そして将来を見た時、今年の出生率の低さから、2極化で合併するところ、廃業してしまうところがあり、中には地方自治体が卸売市場を閉鎖する所も出て来た。2極化の中で地方の強者は都市部の大手会社とネットワークを図り生きて行く道を探る事になった。卸売市場ネットワークの時代である。こういう動きはいずれも卸売市場が地域の食文化や花飾り文化の発信者であり、地元の生鮮食料品花きのインフラだと意識をしている経営者によるものだ。
 以上が今期から誰の目にも明らかになった潮流である。

 花だけに限って言うと、20歳代の人で花を買った事がない人も、花や緑の生活をしてみたいと色々なアンケートから報じられている。花や緑は素敵な生活には欠かせないとビジネス界では認識が進んだようだ。それ故他業界で花を売ることが多くなってきた。リアル店舗だと分かり易いが、ネット販売の所は実はこの会社がやっているのだ、といづれも有名な生活関連会社や食品会社であったりする。花店をやめる戦中の世代、団塊の世代が店主の店も多く、地元の年配者は寂しいだろうがトータルとして花の小売業者の数はマイナスにはなっていない。むしろ増えているのであろう。そうなると仲卸や地方市場の場合、卸売会社がそれらの新しい販売者に花や緑を供給する事になる。

 以上の事から大田花きとしては花き生産を振興したい。特にCO2規制もあるので地産地消型、少なくても国内の生産者に頑張ってもらえるようにしたい。生産の段階で小売りの業態別に扱いやすい花を作ってもらいたいのだ。そしてもっと具体的に生産者にお金を取ってもらい生きがいを持って生産してもらうには、どこのお店でどこの地域で販売されているか、小売りの現場でどの様に買われているか誰を喜ばせたか、をお金と共に的確に情報も渡したい。サプライチェーンが固まっていくので卸と生産者は一緒になって小売店を支援する、小売店にもっと自分の花緑を売ってもらえるように小売店の商売繁盛を支援する。こういうチームを組んで販売し、売っている人の意見をよく聞いて次作の花緑を作っていく。こうすれば必ずお金と生きがいを生産者に確実に渡すことが出来、生産は振興する。

 生産資材が高くなり、天候もおかしい。そんな中での花き農業だから我々消費地にいるものが売れるものを作ってもらえるようにしなければならない。そのためのその地の消費者に買ってもらう事を目的とするチームで花き産業を振興しようと思っている。大田花きはこの仕事の仕方を今年の4月から始めたが社長としてはまだまだこれからだと認識している。これは流行り廃りではない。仕事の正しい仕方だと思うから、これを愚直にやっていく。

 読者の皆さんもサプライチェーンを意識して、その地域の生活者の幸せを思い花き生産、流通をして下さい。
我が花き業界はいつも日本国民に花で幸せになってもらう為に働いていることを自認して、楽しくやろうじゃありませんか。




投稿者 磯村信夫 14:45