社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年11月20日

専門店のリーダーシップに期待


 本日は、クリスマスに欠かせない「もみの木」を販売する「ツリー市」が開催された。浅間山の群馬県側にある吾妻と、富士山の山梨側が産地である。東京では特に、富士山のクリスマスツリーは葉が肉厚で姿も良いので好まれている。これら以外にも、予約相対販売ではあるが、アメリカ・オレゴン州のクリスマスツリーをアメリカの方や大使館関係の方、また、一部、ブランドショップへ特定小売店を通じ使ってもらっている。

 ハロウィーンが終わると、勤労感謝の日、そして、アメリカでは「Thanksgiving Day」までが秋であるが、我々花き業者は、一、二週間前にクリスマスの準備をする。かつては文化の日、また七五三で花の需要があったが、今はそこまでではない。子どもの数が大きく減ってしまっているのが原因だろう。しかし現在、11月22日「いい夫婦の日」に花の需要が動くようになった。お互いに花を贈り合ったり、食事をしたりすることが多いと聞く。業界の方々も、ご主人から奥さまへ、奥さまからご主人へ、あるいは子供たちからお父さん・お母さんに花を贈ってもらいたい。

 今秋、10月から11月にかけて花の相場の乱高下が激しい。天候の要因も勿論あるが、生産基盤が高齢化とともに軟弱になっていることが、出荷量増減の大きな要因になっている。また、昨年と違うことは、ギフト、業務需要などは良く動いているが、肝心の個人消費が今一つで、専門店に話を聞いても、店によってまちまちだということだ。しかしながら、今年の春から量販店の売り場よりも、総じて専門店の方が好調だ。専門店は減少傾向にあるが、もう一度、生活者は花を買いに専門店に向かっているのではないだろうか。一方の量販店の花売り場も、全国に二万箇所を超える。そこで買うことも多いだろう。しかし、この秋には売れ行きが芳しくないと、量販店はバラエティーよりも仏花が多くなる傾向であった。量販店の売り場をもう一度、花き業界の価値観をリードしている二十歳代、三十歳代の好みの売り場に変えてもらいたいと思う。

 本日申し上げたいことは次の通りだ。花の個人消費は昨年よりも振るわないが、量販店の売り場はより若々しく、若い人たちが購入したいと思う売り場にすること。専門店はコロナ禍を経て、プロの花売り場として生活者に久しぶりに支持を受けているので、この流れを大切にすること。技術や接客、花飾りも含めた知識など、プロの力を存分に発揮してもらいたい。そうすれば、必ず地域の花き装飾文化が向上し、消費拡大に繋がっていくと思われる。最後に、地域の専門店は地元のスーパーに自社のブーケ等の花束加工品を販売してもらうように交渉し、専門店のセンスで地域のスーパーの花売り場を魅力あるものにしてもらいたい。また、出来合いのブーケで物足りない人は自分の店まで足を運んでもらえるように、スーパーで販売するブーケのスリーブには、制作元である自社名を明記しておこう。

 
 投稿者 磯村信夫  13:30