社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年06月27日

専門家がチームを作る人事制度を志向すること


 6月というのに猛暑となっている。虫がまだあまり出てきていないし、セミも鳴いていないので、夏といっても何か変な感じがするが、とにかく暑い。そういう中で、先週25日(土)、大田花き株主総会が開催された。業績は2019年度を上回り、順調に回復してきているので、株主の方々から質問というより応援をいただいた。総会が終わると、7月から本格的に新しいメンバーで、各団体や会社が今年度の目標に向かって進むことになる。4月から3月末を年度としている日本の会社では、新入社員の3ヶ月の見習い期間、正式な配属、総会が終わり正式に新役員の人事、それに合わせる形で管理職の配置換えなどが役所等を含め行われる。4月・7月・10月に変更されるのが一般的だが、この頃は外資系と同じように、12月に人事異動が発令されるところが出てきた。

 日本の場合には、デフレが止まりインフレで、賃金が実質目減りしているから、賃上げを行わなければならない。これが、現在の各組織での最大の課題である。このことを何か不甲斐ないように思ってはならない。G7の日本以外の国ではインフレが酷く、確かに賃金は過去30年間で2倍、2.5倍等上がったところもあるが、日本は30年経ってもほとんど100%だ。だから暮らしにくいかというと、相対的なものとして、決して暮らしにくくない。格差が出てきて、貧しい人たちも増えたのは事実だが、そこまで極端な状況ではない。今後とも人手不足だから、まず賃金を上げ、そして生産性も上げてもらわないと国が立ち行かないし、お互いを思いやる気持ちの強い日本の良さが、労働の面においても私生活の面においても出てこない。

 ここで一つ思い切った改革として考えたいのが、専門性制度をどのような形で社会の中で確立していくかだ。現時点の人事異動でわかる通り、コロナでリモートの在宅勤務を経験したというのに、人事異動等によるジェネラリスト育成の道を日本の官公庁、会社の組織体はいまだ試行している。これを、経理やら総務やらマネッジメントがそうであるように、大田花きであれば営業もロジスも情報も、もちろん先程言った管理本部それぞれが専門職化していけば、かなり労働していく環境は自由になる。どの機能が足りないか、余っているのかわかる。例えば、女性が産休で休み、出産後職場復帰をする時にも、その女性でも決して休んだブランクを感じさせない働きが復帰後も出来るようになるはずだ。もちろん、その専門分野に関する法改正や状況の変化等が起きているが、休暇中に必要な勉強は行い、復帰後に会社は早速研修制度を用意して、復帰の現況にふさわしいような法律や働く状況の認知をしてもらい、実践に入ってもらう。このようになるであろう。そしてミーティングではクロスファンクションで、消費者の立場に立って、その商品やらサービスをどうするか等考えたり、会社の課題を解決したりすればよい。

 こういう組織体に変えていく必要があり、まだまだ一部の会社だが、この7月から本格的に専門家集団のチームを作ろうとする動きが出てきた。転勤しないだとか、週休3日の条件でだとか、出来るところから専門職制度に切り替えていこうと動いている。花の仕事は、その意味で出来ないわけではないのではないか。確かに、規模が小さく、家族でやっているところも多いので、一人で何役もやらなければというのであれば、それはそれで素晴らしい。規模が小さければ、全てを我がことと捉え、生産性が上がるはずだ。ただ、一定規模になったところで今のような組織体を作るということが、日本の中で必要になっていく。そのことが国際競争力の強さになって現れてくる。それは、サッカーやラグビー、バスケットボールも含め、強い組織とはどういうものであるかを見た時の組織体の作りであり、花も同様である。




投稿者 磯村信夫 11:12