社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年08月28日

対策を講じておく。上り坂・下り坂・まさかの時


 周辺国からの軍事的脅威が迫ってきている。2020年代は日本にとって、国防費も増額され、国防を意識して臨まなければならない10年となっている。

 大田花きとアルスメール市場は、分担して中国・昆明国際花卉市場の立ち上げに協力した。そのこともあり、上海地域での花の産地化計画や消費地市場立ち上げ計画等、中国の花き産業に関わってきた。昆明国際花卉市場は、現在では産地市場として中国の花き産業の発展に大いに寄与している。上海の消費地市場立ち上げは、中国政府の食糧増産計画が発令されたこともあり断念せざるを得なかった。この食料増産計画は、極端に言えば、植林も、あるいは野菜すら穀類に代え、自給率を高めるものだ。国防意識から「穀類を輸入に頼らず国産で」というが政府の方針だ。日本も農業国産化の意識は持つべきではあるが、野菜・果物、畜産、花の位置づけをどこにするのか。中国政府のように二次的、三次的農産物と捉えるのか。明確に意識しておく必要がある。

 太平洋戦争の時、終戦前の二年間は統制経済で、花を作って良いところは極端に限定されていた。しかし、少量のみ出回ったためであろうか。取扱っていた生花店は「良く売れた」と当時を振り返って話していた。野菜は勿論だが、農産物のそれぞれの位置づけをどうすべきか。備蓄出来ない生鮮食料品花きの位置づけを明確にして、有事に備えた供給体制が続くようにしていくべきというのが、この夏の課題であろう。


 投稿者 磯村信夫  13:33