社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

[]

2023年04月03日

地方の活性化を絶えず頭に入れて、花を流通させる。


 4月1日土曜日に入学式や入社式をおこなったところが多数ある。大田花きでは今日が入社式だ。新しい人材を育成することは、会社が成長するために欠かせないと思っている。コロナ明けの今日、資本関係のある関係会社だけでなく、ネットワークを組んでいる同業者や生産・小売の取引会社から要望があり、経営を立て直したり、より早く成長してもらったりする業務が出てきている。今まで数件だったところからニーズが高まっている。今後、資本的、人的関係がある会社とは、同一労働同一賃金ではないが、給与ベースや人事考課を共通のものにしたり、情報のネットワークも共通の基盤で使えるようなものにしていくことが理想となる。重要な案件だ。

 青果市場では、産地の希望価格で産地に返し、買い手量販店の希望価格で量販店に納品する。あるいは、仲卸経由で納品する。そうすると卸売会社は差損が出てくる。これをかつては、事故処理だとか、特例としての残品相対だとかで処理していたが、新市場法下では、自己買受でこの差損を合法的な損失、すなわち経費で落ちる損失と処理しようとする卸売会社がある。国税庁からの調査でも、ある卸売会社は、この自己買受で合法的な営業損失として認められ、あるところでは、利益供与で交際費扱いで税金を支払った。特定の産地に返したのか、特定のスーパーだったのかで判断されているようだった。とにかく、そのようなことは、あってはならない。卸売市場取引としてフェアな取引ではないと思われる。

 そうなると、今、大田花きとしての心配ごとは、農協改革と運転手の働き方改革2024年問題で、たまたま大田市場は、産地からまとまった荷を出荷していただける市場になっている。 品揃えのため地方の市場は、大田花きから荷を買って地元に運賃をかけて持って帰る。地元の小売店に卸したとする、その小売店は大田に直接買いにくるより運賃がかからず安いので、地方市場が大田から荷揃えしてくれることはありがたいが、東京の小売店よりコストがかかっている分だけ高く売らなくてはならなくなる。 普通の消費財は、地方の方が東京よりも高く売られているのだろうか。大企業が作り流通させるから、内部で経費を調整し、同じ価格で売れるのだろう。この消費者にとっての当たり前を生鮮食料品花きの小売価格の当たり前に全部ができなくても、少なくとも近づけたい。 もっとネットワークを組んでいる市場の負担が軽くなる方法はないのか。産地、その市場の取引先の小売店まで巻き込んで、サプライチェーン上の解決すべき課題として取り組む必要がある。

 まだまだ考えなければならない。日本国民のため、日本中でもっと花のある生活をしてもらわなくてはならない。 少なくとも言えることは、2040年団塊ジュニアが65歳以上になり日本人の労働力が足りなくなってきたとき、三大都市圏から地方に移転をする人達や、荷物も移動しなくてはならなくなる。そのときでも、同じ賃金、同じ小売価格、同じサービス価格にするには、どうしたら良いのか。そこを今からしっかり考えて、そして、今後の格差時代に抵抗するように、今から地方の卸売市場を衰退させない、豊かにする運動を卸売市場業界を挙げてやっていく必要がある。

   



投稿者 磯村信夫  15:06