社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年09月26日

商品力とは


 24日土曜日に、東北の被災地を励まそうと立ち上がったいけばなグループの展示会を、芝の増上寺へ見に行った。各流派の家元が、自分の流儀に則って作品を展示している。僕は花市場だから素材提供や、素材の良さに関してよく分かるつもりだが、その花の特性を活かしながらも、組み立てと言うよりも、取り合わせて、造形する芸術作品として我々に訴えかけていた。やはり家元の力というものは、恐ろしいほど強い。そういえば、ファッションブランドでも、自分で作り、チェックして納得したものしか世に出さないカルティエは、特別の地位を得ている。ここのところトヨタ自動車も、社長自らがプロのドライバーであり、自身が乗ってわくわくするもの、感覚的に優れているものを世に出し始めた。話に聞くと、それが人気のヤリスのRSという車らしい。イメージがすっかり変わり、日本ではドイツ車が多くなってきたが、あのトヨタは合理性を乗り越えて、直覚的に素晴らしい、そして面白い車を出し始めたのだ。花市場は素材屋だが、プロのいけばなの先生やデザイナーが使いたくなる花を、生産者にお願いし、作ってもらって流通させなければならない。機能合理性を乗り越えた、感覚的に優れた製品こそ日本が作るべきものがあり、生活者がよりお金をたくさん払っても欲しいと感じ、買ってくれるものである。もちろん機能が優れていないといけない事は申すまでもない。


投稿者 磯村信夫 14:43