社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年12月11日

卸売市場法、残る


 今月の8日(金)、農林水産業・地域の活力創造本部(本部長=安倍内閣総理大臣)において、「農林水産業・地域の活力創造プラン」の改訂が発表された。これによると、卸売市場法は残り、食品流通構造改善促進法と共に改訂される。卸売市場法は残るが、新しい市場法となるのだ。更に、今まで卸売市場は「認可」されていたが、新市場法では「認定」されることとなる。私の解釈だが、「認可」は『これ以外は駄目』ということだが、「認定」なら、複合的な機能があったとしても、ポイントとなる卸売市場の機能があれば、「卸売市場」として「認定」されるということである。多様な顔を持つ「卸売市場」も、国からの認定対象となるのだ。そのポイントとは、江戸時代の問屋卸売市場制ではなく、大卸と卸による卸売市場制度、現行の制度でいえば、「卸と仲卸」の機能が共存することだ。この取引ルールのある所が「卸売市場」ということである。よって、まず「差別的取扱いの禁止」があり、次に「受託拒否の禁止」がある。そして、扱うものが生ものだから、支払いを早期化する。この三つのポイントが出てくる。

 日本農業新聞によると、一定規模の中央卸売市場と、それより規模の小さい卸売市場に分けて認定を行うようだが、公明党農林部から、手続きの簡素化を農林水産省の井上食料産業局長が求められ、スピーディーに行う旨の答弁があったそうだ。現在、「中央卸売市場」、「地方卸売市場」という言葉の使われ方がされているが、以下のように分けてみては如何か、というのが私の意見だ。まず、一般的な卸売市場を、その取扱金額や対象、規模の大きさによって、第一種卸売市場、第二種卸売市場、第三種卸売市場(第三種は、道州制において拠点になるような規模の大きい卸売市場、東京の中央卸売市場等)の名称に分ける。更に四番目に、第四種とするか、第三種の特殊化した市場にするかだが、現在の築地、大田、大阪の本場のような市場がある。流通量や規模によって、日本社会における役割が異なる卸売市場を、このように分けるのだ。「第三者販売の禁止」、「商物分離」、「直荷引きの禁止」については、卸売市場によって異なるが、規模別に分けても、同じルールに沿って業務を行う。

 新活力創造プランにおいて、最も肝心な卸売市場の機能と役割については確保できた。従って、今後の卸売運営は、大変良い形になると思う。花き市場のみについて言えば、ここ1年半、現在の農業改革、卸売市場改革で、「今後、卸売市場は一問屋化する」、今風に言えば、「商社化する」のが良いと、業態変更を行った(一社)日本花き卸売市場協会会員市場があった。しかし、新市場法の下では、それではいけない。問屋化は差別的な取り扱いになりやすい。問屋化の方向に向いたものを、もう一度、江戸時代からの名称で言えば、「大卸」の役割と機能に直していかないと、新しく制度化される「卸売市場」になっていかないと注意したい。

 ここ1年、「卸売市場は社会インフラだ」と、存在意義を叫んできた。農業関連では重点的な改革が2019年5月まで続くが、卸売市場改革の最終の詰めはあと半月、殆ど固まったので、皆様方に報告させて頂く次第である。

 


投稿者 磯村信夫 : 17:03