社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年04月06日

卸売市場はストップしません


 本日は大田区大森近辺にある小学校の入学式だ。新入生が帰る時に、校長先生が一本ずつ「入学おめでとう」と花をプレゼントする小学校もある。需要が減った花を活用し、新入生に家で飾ってもらおうとするものだ。「今年はおうちで お祝い & お花見!」を楽しんでもらいたい。

 私事だが、家できちんと夕食を取るようになり、体重が確実に増えてきた。ちょっとした近所の散歩も日課になってきた。こんな「すごもり消費」の中に、花も入れて欲しい。我が家では、妻が花を買ってきて飾っている。チューリップやフリージアは今が最高だ。業界人の皆様方も、是非とも「家庭に花を!」のプロモーションをお願いしたい。「禍を転じて福と為す」で、家に花を飾る習慣が増えることを期待したい。
 
 人には、「他人に良くしてもらった」ことを返したいという気持ちがある。今はお互いに協調して「うつさない」「うつらない」を一義に生きていく時だが、その中でも、卸売市場をストップさせるわけにはいかない。生活者に不安を与えてはいけないし、心身ともに健康な生活を送ってもらうため、生鮮食料品花きの社会インフラとして、卸売市場を開場し続ける必要がある。日本では、社会インフラをきちんと回そうと、医療を先頭に必要と思われるものは不眠不休で、毎日仕事をしている。もちろん、卸売市場も同様だ。政治家や行政府の方々にも頭が下がる。しかし、日本は良いにしても、アジア諸国、あるいは、中南米、アフリカのそれぞれの国では、生きる上で必要な社会インフラが整っていない場所もある。社会インフラが整っていているから、そして、それが正常に動いているから、全体のために協調し、自分が我慢することが出来る。しかし、社会インフラが整っていない国々のところに新型コロナウイルスが襲い掛かれば、まさに戦争状態で悲しいことが沢山起こってしまう。これを、我々日本も防がなければならない。人類は知恵と協働によって、食物連鎖の頂点に登りつめた。それが、こんな時に全員で力を合わせることが出来なくてどうするのか。
 
 花き産業においても、この深刻な状況の中でどうしていくかを考えなければならないが、新型コロナウイルス問題について最初に書いた通り、当社は社会インフラの卸売市場として、「本業に徹する」ことだろう。そうすると、例えば、日本の生活者にとっても大切なコロンビアからのカーネーションはどうするか。今や、国産カーネーションと同じくらいに頼りにしているものだ。コロンビア最大の輸出先であるアメリカの需要が急速に衰える中で、日本にはマイアミ経由での輸入が多いが大丈夫か、ロジスティックをしっかりサポートしなければならない。
 
 日本政府の対応には色々な批判があろうが、強い勧告レベルのメッセージを出している。我々日本人の慎み深い、人間としての思慮によりそれに協力しようと、みんなで今までとは違った日常を送りながらも、一定レベルで病気の拡散を抑えている。このやり方がしばらく続いていくだろう。今日の相場も例年より安く、特にイベントや人が集まる冠婚葬祭、ホテル需要、レストラン需要等々に使用される花の安値が大きい。一番痛かったのは、結婚式はやむを得ないと考えていたが、葬式が新型コロナウイルス感染場所となってしまい、葬式が本当に小さく、身内だけのものになってしまったことだ。使われる花も大きく減少してしまった。この状況もしばらく続くだろう。しかし、一方で家庭需要の花はそれなりに売れている。このような状況にあっても、親しい人に花をプレゼントする需要がある。直接渡さなくとも、ネット販売でのお届けサービスもある。気運は十分盛り上がっていると感じるので、これらの需要に向けて集中してやっていく。4月中はどうもそんな感じになりそうだ。そう思いながら、今日のセリの立ち合いを見ていた。
 

  投稿者 磯村信夫 12:09