社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年09月04日

供給を増やす ヒントの芽はあちこちにある


 本日、磯村はお休みをいただいておりますので、シンクタンクである
(株)大田花き花の生活研究所 桐生所長のコラムを掲載させていただきます。



供給を増やす ヒントの芽はあちこちにある


 花き業界では供給不足が顕在化し、一年以上になる。花き相場は品薄単価高が続いている。この状況は、経済における需給・供給の動きそのものだ。『図解経済学入門』(高橋洋一著)という本がある。経済は需要と供給で決まるということをただ一つの図(※1)を用い、200ページぐらいを割いて丁寧に説明した本だ。
 その図は右肩上がりの供給を示すグラフと、面対称の需要のグラフが一点で交わっている。この図から花き業界の状況を示せば、現在は供給が足りない状況で価格が上がり、その状態が続くと将来的には需要、つまりマーケットが縮小するということだ。
(※1)
サンプル図


 相場がいいのは出荷者目線では決して悪いことではないが、その理由を考慮すれば、長期的にはプラスに働かない。今後の業界の進展を望むには、単価高の継続よりむしろ供給を増やすことにほかならない。

 次に、供給のうち何を増やすべきかということがある。
 常にあらゆる品目にチャンスはあるが、一つは取引先にヒアリングする方法だろう。あるいは日本農業新聞の市況欄を見るという方法がある。ここに掲載された品目は各市場で重視しているアイテムであり、すぐに需要がなくなる可能性は低い。

 これらとはまた別の方法もある。日頃の生活圏からヒントを得るのだ。例えば、公園や散歩道の植栽や生花店の店頭を見て、目についたものを心に留めておくのだ。週末、代々木公園のパークガーデンアワードを見て回ったが、酷暑の中でも華やいで見えた植物は、三尺バーベナやグラミネ、ルドベキア、シソ科色々、エキナセアや一部のベロニカ、夏に強いアリウム(サマービューティーという品種)といった類だった。
 カラーバランスとしてはややくすんだグラミネが全体を覆い、秋めいた感じがよく出ていた。その足で、エキナカの生花店を見ると、グラミネ、ヒオウギの実、ワレモコウ、ノバラなどがあり、花物ではバラが並んでいた。バラは酷暑でさすがに花はコンパクトだが、オレンジ系の花弁の分厚い品種などは秋らしい存在として光っていた。このように実に多様な方法で売れ筋を見出すことができる。

 まだまだ日中は蒸し暑い毎日だが、木々は再び成長を始めている。ヒットの芽はあちこちに隠れている。秋に向けて様々な商品を生活者に提供していきたい。


株式会社大田花き花の生活研究所
代表取締役 桐生 進

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