社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年12月25日

人口減少について


 先週の20日(水)・22日(金)の市(いち)では、赤バラの相場がピークを迎えた。クリスマスに合わせてプロポーズをするのだろうか。「大田市場で一番良いバラを渡したい」と仰るお客様からオーダーを受けた生花店の方が何人もいらっしゃり高値が出た。赤バラは特別な意味があるのだろう。また、社員二人がTVやラジオ、雑誌等で活躍しているからか、「大田花き」をご存知の一般の方がいるのも有難い。クリスマスには家族や友人でホームパーティーを開いたり、ホテルで過ごしたり外食をしたり、プレゼントを贈り合ったりする。花もプレゼントのうちの一つだ。ケーキ屋さんほどではないが、花屋さんも良く売れていた。

 こんなワクワクする楽しい日々の中で、未来の暗いニュースが流れた。国立社会保障・人口問題研究所が22日に発表したものだが、2050年の日本では、東京も40年をピークに減少に転じるが、11の県では20年比30%以上人口が減るという。頭では分かっていたことだが衝撃だった。去年、今年に生まれた子どもたちは22世紀で老後を迎える。人口が減り生活が貧しくなって、社会インフラはボロボロ。耕作放棄地も目立つ。そのような中で一生を過ごさせるというのは、あまりにも今の子どもたちに申し訳ない。大人として何かしなければならない。こんな思いが湧き出てきた。少なくとも70歳まで元気であれば、ボランティアでも良いし仕事でも良い。何か社会に役立つことをする。女性も働く。子育てをしてもそのままに会社に勤められるようにする。社会全体で子育て世代の面倒を見る。これは勿論民間も協力するが、地方自治体、政治の大きな課題だ。そして何よりも、住民がそのつもりになってやっていかなければならない。

 日本は移民政策をとらないまま進んでいる。従ってDX化は勿論のこと、何よりも地域でバックアップすること、そして企業が利益は勿論だが、そこで働く人たちのより良い生活のために働き方を考え、そしてお給料を出せるように経営をすることに尽きるのではないか。まだまだ、昭和の古い考え方が残っている企業や業界、地域がある。北欧やヨーロッパ―を見習ってもう一度、働き方を見直していく必要がある。その為にも、2050年を「人口右肩下がり時代」の一つの目標に据え、ワークライフバランスを取りながら、良い人生が送れるように社会のしくみ、我々日本人の意識を変えていくことだ。政治家も自治体も、経営者も、そして何よりもそこで働く人と地域の人たちが意識を変えていく。これを2050年に向けてやっていくのだ。まずは2024年問題、1年繰り越しても2025年までを一つの通過点として目標にする。次にこのやり方で良かったかどうか、まだやり残していることがあるかどうかを考え、2030年までの目標に繋げていく。我々花き業界も、所得を上げていく算段をしなければならない。そして、物日があるので普段とは違った働き方をしなければならない時があるが、それでも上手に四半期(三ヵ月)毎に時間管理をして、ワークライフバランスを整えていく業界にしなければならない。

 日本の人口は確実に減っていく。そして、10万人未満の都市の中には、立ちいかなくなる都市も出てくる。しかし、人口が減少していく県や地域においても、人々の生活を豊かにするために、様々な社会インフラと同様、生鮮食料品花きの卸売市場は欠かせない。従って、ちょうど農協が広域合併するように、市や卸売市場も広域合併が必要だろう。出来れば、文化が共有出来るところと合併することだ。最後に、我々花き業界は、人に幸せになってもらう商売をしているので、この中で働く人が幸せに仕事や生活が出来なければ意味がない。このことを意識して経営を行うなり、合併なりをしていく必要がある。少なくともネットワーク化は必要だ。これは生産者も同様だ。是非とも社員、あるいは一緒に働くご家族のことを考えて、仕事や私生活を組み立てていってもらいたい。

 
 投稿者 磯村信夫  16:59