社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年09月19日

下半期10月からまたチャレンジ&ゴー


 4月を新年度としている会社にとって9月は上半期の締め。withコロナの状況で、ゴールデンウィークも夏休みもお盆も秋のシルバーウィークも過ごし、withコロナだが、あたかもコロナ後の新しい生活の仕方や目標に向け下半期から活動するぞと、現在は上半期にやり残した事や問題が出てきた事を解決し、次のステップに進む時となっている。

 大田花きにおいて、出荷者である荷主さんは、セリ前取引、セリ取引とも、今いくらで売られているかどうか、また誰がいくらで買ったかをインターネットで見ることができる。共選の産地では例えば、同じものを20個出したのに80円から65円で値段がつき、別々の人が買うという事もある。生産者はこの違いを、大田花きは販売代理店として本当に自分の事を想って値付けし、販売してくれたかどうかをチェックすることができるという事である。短期的なその時の高値という利益を追求するのか、中長期的な、即ち相場で言えばそのシーズン3ヶ月あるいは1年の期間の最大利益を追求して買参人に販売しているのか、そこをチェックしてもらう必要がある。こんな風だから、とある大手の出荷者からセリ前取引で、この買参人には売らないで欲しいと指示を受け、差別的取り扱いだからそれは困ったとしながらも、セリで買ってもらう様にお願いし、その出荷者にはセリだったら仕方がないですよね、と言って納得してもらう。実は、その人は量を買ってくれ安値になるが、これ以上安くならないように買ってもらっていたわけだ、そういうこともある。韓国のソウルの卸売市場(青果の方だが)でもこれと同じことはあると聞いている(安く売ろうとすると荷を引き上げる出荷者もいると云う)。

 こういう風にオープンにしているので、荷主さんは自分の荷を、大田花きを経由して取り扱ってくれている買参人が市場に来た時、大田花きではなく、日頃取り扱ってくれた人にちょっとした手土産を持ってきている。そしてうちの社員と一緒にそのお店に行って、今後の対策を練る。即ち、産地、市場、その小売店、というこのサプライチェーンであり、この小売店の店前を通る潜在顧客まで含め、どんなものを納品して、どういう風に売ってもらえばもっと量を売ってもらえるか、特別なものであったら、どれくらい高く売ってもらえるか、等を話し合う。一言で言うと、そのお店のお馴染みさんや潜在顧客に対して、我々が供給する花がバリューチェーン化しているかチェックし、価値があるとすればもっと価値の上がる売り方、売り方というと語弊があるがもっと買ってもらう様にするにはどうしたらいいのか、もちろんその店のお客さんのカスタマージャーニーについて、色々な事に手を打って一緒に話をし、店が繁盛する様にすること、そのことが、納品業者としてのサプライチェーンの担い手である荷主さんや大田花きの、延いては繁盛に繋がるのである。暑い時に冷たい飲み物をサービスする、喜んで飲んでくれる、その時に利益が出る。喜ばせた分だけの利益だ。喉が渇いているというのに、飲めないくらい熱い飲み物をサービスしたら、売上げは立ったが相手は喜ばないので、手を付けていない、売上げは立った、でも利益は出ない。車のスピードメーターやガソリンのゲージと同じ様に、売上げや利益は、その数値で我々仕事をするものに、役に立っているか、人を本当に幸せにしたかを教えてくれる。花き業界の目的は、花で人を幸せにすることだ。花を買って幸せになってもらうのだ。花き業界のお客様は唯一、小売店から花を買ってくれる生活者、その人だけである。その人を本当に喜ばせているのか。その人から花と交換にお金を頂いて、そのお金が小売店、仲卸、卸、系統農協、生産者、運送店、段ボール資材メーカー、農薬メーカー、種苗商へ行く。どのお金も元々は生活者のお金であり、花の代金である。だから色々な業態の小売店があるが、そこで頑張ってもらって花を売り、そのために我々は、マーケティングや流通している花や緑で小売店を支援する。一緒になって仕事する。

 この上半期、主だった生産者とその人の品物を扱ってくれている各カテゴリーの小売店が、大田花きからの取引額で当初推定した、顧客生涯価値に比準する取引額であったか、またその取引内容であったか、チェックする必要がある。もちろん店の方針で世相に振り回され、もう一度デフレに花も戻そうとする安値志向の業者も一部に出てきた。そのような人がサプライチェーンを一緒に組む相手としてその荷主さんに相応しいのか検討しなければならない。この様な見直しをこの9月中にやっていこうとしているのだ。生産者は諸物価値上がりでしかも地球温暖化で天候がおかしい、だから、考え方も同じような人々と組んでサプライチェーンを構成したいと考えている。そうでないと安定的な所得そして何より仕事上の生きがいが得られないと感じているからだ。 

 お金だけではないもっと大切なものがある、こう世の中は変わってきた。日本は経済的にも社会的にも暗い事が多く報じられていて、皆、自信が持てないでいる様だ。それは今の世相がどうなのか悪い事ばかり報道しているからで、だいたいが、ニュースと言うのはそういうものである。経済だけの問題を言うと、この30年来初めてと言ってもいいくらい、日本中の会社、そして地方自治体、国も併せて、設備投資が行われている。産業界30年来だと唱え、投資を明確にし、明らかに未来を作ろうとしているのだ。景気は、設備投資と個人消費で決まるから、日本は本当に景気が悪くなるのだろうか。僕は良くなると思っている。円安もアメリカや欧州の景気が退いてきたら、納まるところに納まる。1$140円以上というのは日本の経済からして本当に異常な事だ。もうしばし待たないと、円高の方向には振れない。でも、もう見通しはついている。確実に、特に実業家である我々は、見通しを持って仕事をしていく必要がある。

 最後に、花き業界をもっと良くしようと一般社団法人花の国日本協議会が設立された。そのサミットが10/28(金)に竹芝のアジュール竹芝で開催される。対面にて開催されるのは3年ぶりであるが、このサミットでは、更に花き業界を良くしていくためにどうしたらいいのか、これを考えるものである。皆様の多数のご参加をお待ちしています。


投稿者 磯村信夫 17:05