社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年03月06日

コロナ後の新しいフェーズに入っている。あなたのやるべきことは


 タイにバンコック大田花きというグループ会社がある。前国王のプロジェクトのうちの一つであるゴールデントライアングル傍でのタイ国内少数民族による麻薬から蕎麦やクルクマなどを作り安定した生活をしてもらおうというものに参加して仕事をするためと、以前のタクシン政権下で花市場をしようとするために作った会社だ。そこからの連絡によるとEUから入ってくる肥料の価格が下がっていて、バンコック大田花きが取り扱う肥料は良いものなのに売れなくて困っているというのだ。EUはウクライナを支援するため小麦などの農産物と肥料の資源などを関税を下げて輸入できるようにした。穀物価格がEUで下がっているのは日農新聞にも報じられているのでご存じの方も多いだろうが肥料も溢れてしまっているのである。ロシアから輸入され難くなった天然ガスのためにエネルギー価格が高騰しこの冬施設栽培の面積を減らしたところがほとんどである。そうなると肥料は余る。それがASEANにまわってきているのだ。

 この様に日本の中の事だけに目を向けていては結局安定した収益を得る事ができない。コロナ明けで次の時代に進もうとしているわけだから今までとは一段違った考え方をしなければならないのである。

 そういえば、2024年のトラック運転手さんの働き方改革で新規の生産者や産地が増えてきた。大田市場には主要産地からのトラック便が今後共安定して行き来することが確実であるからだ。荷が集まってくるのでコロナ後新しい時代に向けて需要が活発になってきた各業態の花の小売店は、首都圏といわれる千葉埼玉東京神奈川だけでなく300km内の大手の小売店や卸売市場(卸・仲卸)の会社も新規登録をする人たちが増えてきた。一方足元の東京ではご高齢でやめる小売店も目立つ。

 ではどんな企業が今後共花き産業の中で必要なのか。基本に忠実な産地、運送店、卸売市場、小売店がひとつのサプライチェーンを組み、やっていけば、状況変化に柔軟に対応でき、花き産業の発展に繋がる。大切なことは、安定したサプライチェーンの組み合わせであり、構成するそれぞれが特化した機能を持つという事だ。その会社同士が組んで地域の生活者に花を届ける。こういうことなのである。ではその基本とは。個人の生産者、農協の花き部会或いは生産会社ではマーケッターがいる事。次いで育種家ブリーダーがいること、良い関係の種苗会社がいること。3番目に、それをどのように効率的に作ったら良いか試験研究機関があること。4番目には苗木供給が的確にできる事。そして5番目は施設とノウハウをもった働き者の生産者がいること。6番目、収穫、用途に合わせた選別規格化し、上場単位に整えて出荷物をつくることが出来ること。花き市場協会が国の補助事業を利用し、定めた規格箱を使って欲しい。保冷し運びやすい1・1パレットまたは台車輸送に合わせた出荷形態をとって消費地に低温輸送できること。卸売市場であれば保冷のストックヤードと保冷の荷受け場や荷捌き場などが広くある所で且つ物流手段が空、海、鉄道、高速道路網、などが整っているところ、特に地元以外の場所ならばそういう卸売市場の立地が好ましい。卸売市場ではマーケティング、ロジスティック(保冷倉庫も含む)、情報システム、そして財務の健全化、特にキャッシュフローの健全化のところ。そして小売店は各カテゴリーの仕事、専門店チェーン(セレクトショップ的)、小売店、商店街や町の小売商、量販店、その納品業者の花束加工業者、サブスクリプションの業者、それ以外は仲卸、地方卸売市場、これらそれぞれの特性が異なるのでいずれも地域に密着した或いは、差別化ができるようマーケティングマインドを持ち、経営能力が高く赤字にならないだけの力を持つ会社である事。これが基本でここに当てはめて考える。例えば産地に関して言えば、どんな能力が足りないか、弱いかをチェックしそこを高める。卸売市場についても小売業についてもそれは同様で、特に自分の事をわかってもらう情報発信については、これはマーケティングのうちの一つに入れているが、とても大切である。この人たちがサプライチェーンを組んで、他のサプライチェーンと競争して消費者に花を買ってもらおうとしているわけである。サプライチェーンで組んでそれぞれ競争している数が多ければ多いほど競争が激しく構成員である産地も市場も小売りも勉強しなければならないから消費者に訴える力、提案する力が強くなっていき、それが花き業界の発展に繋がる。そうヨーロッパではやってきたのである。日本もそうしなければならない。たまたま大田花きはラッキーなことに大田市場にあるから今時荷物が他よりも潤沢に集まり、買参人も増えているということがある。他はマイナスになっていくのが自然だ。でも人口が減っても花の消費は飾る場所が増えるので減らさないで済む。よって、今マイナスの状況になっている各所ではどうプラスにさせる事ができるかどうか、この基本をチェックしてみて頂きたいと思う。

 



投稿者 磯村信夫  17:14