社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2023年11月06日

もっと、若い人たちの価値観とニーズを基に作りかえる


 この三連休は暖かかったので、行楽に出かけられた方、近所の公園を散歩された方も多かっただろう。私の住む大田区大森、近隣の品川区にも、いくつもの素晴らしい公園がある。暖かいので半袖で出かけると、公園の花壇はまさに花盛りだった。また、小さなお子さんをつれた若いご夫婦が多いことに気づく。大田区や品川区では、小さなお子さんが泥んこになったり、跳ねたり跳んだりかけたり出来るようにしながらも、木や花の植栽にも気を配っているようだ。都市部にあっても、花もあり緑豊かで、子どもが伸び伸びと出来て、更に四季の移り変わりも楽しめる。このような公園の大切さをつくづく感じた次第である。世界を見ると、例えばドイツでは、出来るだけ100万人以上の都市を作らないような都市計画を進めてきたし、特に北ヨーロッパでは、都市部の公園をとても大切にしている。日本でも、少なくても私の身の回りの大田区や品川区では実現されてきている。公園の花壇も手入れが行き届いているところが殆どだ。中にはボランティアで花壇を作ってくれているところもある。ボランティアの方が立てたらしき立て札を見るたびに、心が温かくなっていく。あとは、水辺や運河等の水回りをどう発展させるかだ。子どもたちは勿論、大人も楽しめるような(ちょっとジョギングしたりお散歩したり、サイクリングしたり出来る)場所が必要だと思う。

 11月に入ってからここ大森でも、菊類が咲くようになってきた。市場では10月下旬から菊類、特に白菊の相場が下がっている。かなり多くの市場では、仕事花や仏花が需要の中心になって相場を形成している。そのため、これらの花が潤沢に出回ると、全体の相場が落ち着く。本日は11月6日、「いいマムの日」だ。ディスバッド菊やスプレー菊のニュアンスカラーのものは人気となっていた。

 さて、少子高齢化、人手不足の日本において、①付加価値をつけること、②生産性を上げること。この2つで、生産者も生花店も今の物価高を乗り切っていかなければならない。そして更に、本年の冬は2015年のような記録的な暖冬になる可能性があるとの予報もある。このことを考慮に入れて、今から花の栽培、販売の作戦を練って取組むことが必要だ。また、コロナ中から年配者の花き需要が減り、ミレニアル世代・Z世代の若い人たちの需要の割合が多くなった。都市部で相場を引っ張っているのは、若い人たちが好きな花、買いたいと思う花である。それ以外の花は、コロナ以前より需要が減っている。その為、今までと同じ量が出回れば相場が下がる。このように市場の相場はなっている。価値観は多様化しているが、花飾りだけでなく、食文化、SDGsに関わること等も、まさにこの世代の価値観が中心になっていることを考慮して、生産者は品種選定を、生花店は販売する花やデザインを検討しなければならない。

 今年のアメリカの西海岸は、あまり暑くなかったそうだ。天候異変で作柄が悪く、収穫量が少ないと生産者の方々、消費者は嘆いている。そして日本人で西海岸に住んでいて、仕事で日本を行き来している知人たちが、異口同音に次のように話していた。「日本でも天候異変が起きているのに、日本の生産者さんの技術が高いため、今の程度の品質劣化や収穫量減少で済んでいる。スーパーで購入する野菜や果物、花もとてもみずみずしい。技術だけでなく、日本の生産者さんの良いものを作ろうとする意欲や気配りは本当に素晴らしい」と。この技術や意欲で、若い人たちの価値観とニーズを基につくりかえていって欲しい。



 投稿者 磯村信夫  15:45