社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年03月02日

こんな時こそ、本来の仕事に徹すること。


 新型コロナウィルスの対応策に追われている。パンデミックに近い様相を呈しているので、まずは自分自身がかからないよう注意しなければならない。大田花きであれば、韓国の卸売市場のように、社員が感染して休業になってしまわないようにすることが、まずもって大切だ。そして、今までと同様、サプライチェーンの中核として卸売市場を運営していくのだから、需要減の現状を直視しながらも、どうすれば、この世に生まれてきた青果や魚が、捨てられることなく生活者に食べてもらえるか。また、花が飾ってもらえるか。ここに邁進すべきである。なにせ、卸売市場は青果や魚、花で、生活者に健康で美味しく、楽しく豊かに、「生きていてよかった」とその自然を味わってもらい、幸せになってもらう仕事だからだ。

 こんな想いを強くさせたのは、2月最終の木曜日、柔道の男子日本代表の井上康生監督が、オリンピック代表選手の発表会見で見せた、毅然とした顔であった。井上監督は「今はギリギリで落ちた選手たちの顔しか思い浮かばない状況です」と、落ちた選手の名前を一人一人読み上げ、涙が頬を伝った。そして、ひと呼吸し、「こんな場所で一番やってはいけないこと。申し訳ありません」と詫びた後、ぴしゃりと言った。「選手はプレッシャーを感じながら戦う。我々も同じ思いをもって、責任をもって戦わなければいけません」。遠くを見つめる目には炎があり、戦う男の顔がそこにはあった。本来のことをやりきる。そこに至るまでに様々な思いがあるだろう。我々、卸売市場は、天の恵みのものを、生きる上で欠かせない糧として、すなわち、肉体と精神の健康や幸せの糧として、応分の値段をつけて取引し流通させる。今の足元の需要、卒業式の謝恩会や各種イベントが少なくなっても、生鮮食料品花きは貯蔵して長期間保存しておくことは出来ない。現状、予定していた需要が無くなったといえども、人々は生活をしている。個人的な需要、家庭需要しかないとしても、漬物やドライフラワーの需要まで探して、とにかく、捨てることなく青果や魚、花きを供給すべきであろう。それが、責任をもってやるべきことである。
 
 市が開けるよう、社内やお取引先で新型肺炎にかからないよう注意する。そして、本来の仕事を徹底する。まずはホワイトデーの時まで、この心構えでやっていきたい。
 
 
投稿者 磯村信夫 11:08