社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2021年08月30日

「未来差異」と「他者差異」


 昨今、手数料問題について、透明感を高めようとする方向で世の中が動いている。保険やカード・電子決済、あるいはインターネット証券等、今までどこでどう儲けられているか分からずに消費者は利用していたが、今は明確にしていくべきという論調だ。

 大田花きの販売手数料は8%。他に荷受け・分荷等のための荷扱い料が1ケース50円、ないし、自動搬送機に載らないものは100円をいただいている。そして、大田花きは20年以上前からインターネットでセリ前取引、セリ取引で「自身の出荷物がいくらで誰に販売されているか」、取引状況を24時間配信しており、生産者が知ることが出来るサービスを提供している。生産者は大田花きの担当者と相談しながら、自身の出荷物を購入してくれる買い手の先のお客さんやお店の傾向に合わせ、来年の出荷に備えている。

 情報をオープンにしていくことは、バリューチェーンではなく、今盛んにいわれている「バリューサイクル」に入ってきているのではないか。この「バリューサイクル」は、双方向性のコミュニケーションを行うことによって生まれてくるのだ。透明性、そして、双方向性のコミュニケーション、これが今後の生き方としてとても大切になる。 

 サプライチェーンを構成するそれぞれの会社は、必ず、自社がどうありたいか、未来の夢や目標がある筈だ。また、同業者は何をしているか、どんな素晴らしい活躍をしているかを見てマネよう、あるいは、その上を目指そう等と思っている筈だ。前者が「未来差異」、後者が「他者差異」である。進化するため、生き残っていくためには、この「未来差異」と「他者差異」を意識して、差を埋める努力を日々行うことが必要だ。企業が存続するためには、生活者にモノやサービスを購入してもらわなければならない。生活者に届ける専門業者に使ってもらわなければならない。このことをベースに、消費者イン、そして、ユーザーインの順で考えれば、自分のサービスや製品がどうあるべきかが見えてくる。その方向を持って、前述した「未来差異」と「他者差異」を確認しながら、差を埋める努力を日々行っていくのである。

 お金を出してくれる人が、その業界の顧客である。その人に好まれることが必要だ。そしてそれは、一つの方向性を示している。その方向性で自分の夢、あるべき姿、商品等々をイメージし、同業他社でそのイメージを先行している企業との差異を埋めるべく努力をする。勝たなきゃ生き残っていけないからだ。DX、倫理的消費だけではない。基本はサステイナブルだが、天候まで含めて、これらを併せて行い生き残り繁栄していく。その為には「未来差異」と「他者差異」を明確にし、毎日コツコツ努力を積み重ねる。そして、少なくとも四半期に一度、立ち止まって見直す必要があるかどうかチェックし、前に進む。このリズムだ。


投稿者 磯村信夫 15:12