社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年02月07日

目指そう20億円花き市場


 北京冬季五輪が開催されている。スキーは今でも続けているスポーツなので、五輪選手のレベルの高さには、舌を巻くというよりも、むしろ、人間の可能性の大きさやそのレベルまで能力を引き上げた努力、恐ろしさというか、何か近寄りがたいものを見ることができる。何でもそうだが、よく知れば知るほど、人間の可能性は無限だとも思えてくる。ただ単に、観客として見て喜んだり拍手を送ったりすることができない。北京冬季五輪のそれぞれの競技は、どの選手にしても、よくここまでやってこられたと拍手を送りたいし、背景にあるドラマを想像すると胸が詰まる思いになってくる。

 節分が終わり、立春となって色々な花が日の長さとともに出荷されてきた。まん延防止策でイベント等の需要は冷え込んでいるものの、個人需要はしっかりしており、チェーン展開しているお店や街の小売店でも、オシャレで素敵と感じるお店は気を吐いている。それらのお店が利用している花市場の業績も明暗がはっきりしてきた。今は、普段の買い物もリアルとネットを併用する形になってきている。花も同様でリアルとサブスクを併用している人も多くある。 

 さて、そのようなお店がどこの市場を利用しているかだが、このコロナ禍での元気度を見ていると、それなりに地域で当てにされている花市場はどこかがわかってきた。それは、まさに地元に役立っている市場である。地元の生活者と小売店をとても大切にし、地元産地を最優先で取り組んでいる。地元に役立とうとしているところはいずれも強い。地元をポイントに、もう一度、市場流通全体を見渡して、どこの市場が地域の社会インフラとして機能しているのかを見極めることにしよう。もし、売上を落としていたり、収支が赤字になっていたりするところがあるとすれば、そこは、黒字で売り上げが減っていないところと統合しよう。現在の取扱高ではない。卸売市場が存続するかどうかというのは、そこの卸売会社が現在行っているビジネスモデルが地元に役立っており、今後とも生き残っていけることだ。中央市場にしても地方市場にしても、卸売会社がなくなるのは、その卸売会社が自己資本割れになったり、赤字を垂れ流したりしているからだ。ビジネスモデルが古く、地域の役に立っていないとみるべきなのだ。健康な市場と合併して、早めに数を調整していかないと、結局集荷力が弱まる。買付けしても地元の為に品揃えして、市場が回るように出来ていないといけない。そうでないと、その地域の生活者は気に入った花が買えずに、他地域から運賃込みの小売価格で花を買わなければならない。それが明確に見えている。

 今後ともコロナは、色々な変異株が出てきて風邪のレベルになるのはもう少し先なので、卸売会社は今のうちに地域で合併や吸収、廃業も含め、インフラを整える話をしておく必要がある。東京の周りでいうと、千葉・埼玉では2025年までどの体制でいくかどうかの方針ができているという。しかし神奈川はまだ方向性が見えない。以前埼玉県がやってくれたように県が方針を打ち出していくことは現在では考えられない。民間で行うとすれば、人口密度と地域経済力そして既存の花市場の経営の健全性と成長力に伴う集荷力の推定などから海側に一つ 山側に一つ30億円取扱規模の花市場が必要である。しかし今はまだ一部市場を除いては大多数の花市場は毎年力が弱くなっているのが現状だ。繰り返すが、それは地元の生活者と小売店に期待されていないからだ。こういう場所が関東地方周辺にはまだある。難しいことを承知で言うが、一都六県、静岡、長野、新潟の地元市場は早く体制を決めて、2025年度を新しいスタートにしてもらいたい。


投稿者 磯村信夫 17:25