社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2021年01月25日

来期予算、人事施策を決めるタイミング


 先週、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を「やる・やらない」問題がニュースで報じられた。結局、IOCや東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が最初から言っているように、「とにかくやる」で落ち着いた。ビクトリーブーケは勿論のこと、関連イベントや会場で花き装飾を行えば、テレビやネットを通じて世界の人たちが見てくれる。日本の好感度が今まで以上に上がるし、花き類の輸出もより円滑になり、また額も増やせるのではないかと期待している。  

 今年のキーワードは「ワクチン」だ。いつのタイミングでワクチン効果が出て、コロナが一定段階にとどまるか。これによって、人が集まる場所での花の需要が大きく左右される。現在の見通しでは、2021年度はまだまだ影響を受ける。そして2022年度は、小売や供給サイドがコロナ禍以前の水準まで供給出来ると仮定すれば、経済は急回復するだろう。しかし、コロナ禍以前の経済状況に戻っていくのは2024年度、ないし2025年度になるのではと予想されている。

 さて、そこで来期で決めなければならないことは、花き業界全体での雇用問題である。皆さんの会社では、どのような仕事の割り振りがなされているだろうか。動画配信サービス会社のNetflix(ネットフリックス)では、現業系職種とクリエイティブ系職種で、職種を分けて人材採用や給与水準を決めているそうだ。どんなに優秀な人がいても、現業系職種では二人前は出来ても三人前は一人では出来ない。一方、クリエイティブ系職種であれば、優秀な人は平均の何倍も何十倍もの成果を上げる。従い、現業系職種については、報酬を相場の中央付近に設定し、クリエイティブ職種の優秀な人には、破格の成果報酬を与えるという。まだまだ厳しいことが予想される2021年度は、花き業界でもこの職種分けのような、社員それぞれのベストなポジションの人員配置、また、人事予算の組み方を行い、全体の効率化に繋げていくことも一つの方策ではないだろうか。

 ただし、その際に注意しなければならないことは、協調性のある人をしっかり採用していくということだ。仕事はチームプレーで行う。スポーツの組織と同様だ。会社のパーパスを、それぞれの分野で協調しながら進めていく必要がある。また、この協調性がチーム員にあるかどうかで、チーム全体のパフォーマンス大きな影響を及ぼす。パフォーマンスの高い人たちが集うと、お互いに刺激し合い、ますます成果が上がる。しかし、パフォーマンスの低い人が一人いるだけで、少なくともそのチームは30%~40%も全体のパフォーマンスが下がるという研究結果もある。「この程度で良いのだ」と全体の士気が下がったり、怠けがちになるのだという。

 なぜこのような話を申し上げているかといえば、厳しい状況が続く中で、花き業界でも職種によっては仕事が無い、そして、会社によっては人員整理をするところが出ている。コロナが収束し、経済が回復基調になるその時まで、雇用を出来るだけ守りつつ、どう見通しを立てて人事計画、賃金計画を立てるかがとても大切だからだ。そして、一番伝えたいことは、農業も流通業も、もちろん、小売業も、仕事をするのは生身の「人」だ。いくらDXといっても、人によって行われ、パフォーマンスも人によって違う。人員整理は慎重に、そして変革期の今、2024、5年を睨み、自社、または自身の仕事を変革し、生産増、流通増、販売数量増に向けた準備を花き業界全体で取り組んでいきたい。

 
投稿者 磯村信夫 13:15