産地ウンチク探検隊 生産者が語る花に対する熱き思いをご紹介します。

2020年02月17日

vol.130 翠光園芸様【前編】:台湾 オンシジウム・アンスリウム


Vol.130でウンチク探検隊が上陸したのは、ウン探史上初めてのこの島!↓
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ってドコ??

もうどちらかお分かりですね。
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そう!初めてのタ・イ・ワ・ン❤
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ウンチク探検隊史上2回目の海外産地探検です!
台湾といえば、年間の平均気温約23℃という温暖な気候、はっきりとした四季の移り変わりを生かして温帯性の品目を豊富に生産する花き大産地の一つ。日本から近いという立地も有利に働き、その面積は九州の約8割でありながら、日本への花き輸入国ランキング第6位(2018年植物貿易統計)!
ほかの上位国は桁違いに面積が広い国ばかり。これだけでもいかに台湾における花き生産が盛んで日本に出荷されているかがよくわかります。

すごいのは数量が多いだけではありません。とりわけ近年においては品質も良く、高い市場評価を得ています。
そのような時流に乗った台湾の花がどのように生産されているか、いざ探検です!
GO!!

この度の台湾の花き生産地探検は、株式会社翠光トップライン様(文京区)のご協力により実現いたしました。以下、翠光トップライン様が営む数々の事業のうち、輸入花きブランドである「翠光園芸」様としてご紹介させていただきます。

訪れたのは以下の品目の生産者様です。

【前編】
・オンシジウム(太陽の子の育成者) 荘さん 台中市后里区
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・アンスリウム 顔さん 台南市下営区
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【後編】
・トルコギキョウ 林さん 嘉義県新港郷
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・レナンセラ、バンダなど 陳さん 屏東(ピントン)県竹田郷
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・グラジオラス 陳さん
  嘉義県六脚郷
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では早速前編第1号はオンシジウムの生産者荘さんから。

◆オンシジウム 「荘さんが引き起こした“黄色の奇跡”」
【基本情報】
・生産者 荘忠湧さん(以下「荘(ソウ)さん」
・場所 台中市后里区(こうり・く)
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・面積 合計1.6ヘクタール
・生産品目・品種 オンシジウム ‘太陽の子’ONLY!!
 オンシジウムの‘太陽の子’の育成者でもあり、日本で種苗登録している。
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・労働力 荘さんご夫妻と従業員5名

っていうか、早くもここで「えーーーーーッ!!!」(゚ロ゚;)エェッ!?《驚》

1品目ならまだしも、1品種のみを周年、しかも3つの等階級のみで生産される方って、国内ではまずありませんね。このようなパターンは荘さんならではかもしれませんね。なんだかいろいろと荘さんのお考えが根底にありそうです!

こちらが荘さんご夫妻。翠光園芸様とは20数年来のなが~いお付き合いをされています。
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仲良さそうでしょーーーー❤

こちらが翠光園芸の上条友美(かみじょう・ともみ)さん。
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お姉さまの上条秀美(かみじょう・ひでみ)さんが商栄実業という会社を台湾で経営し、台湾の生産者さんとの太いパイプ役を担っています。
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メインキャストをご紹介したところで、早速圃場を拝見しましょう^^


●生産圃場

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うわッ、ひんろ~い!w(゚o゚)w オオー!
この圃場だけで1ヘクタールくらいありそうです。

施設はベンチ栽培。
ベンチ栽培といってもよーくご覧ください!置いているわけではなく、パイプが2段になっていて、鉢をはめているイメージです。風が強い時でも鉢が倒れないようにしているのです。

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そのほか灌水システムや台車を動かすレールなどが施されていて、夏場の強い日差しを避けるために遮光カーテンは二重になっています。

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着生ランのオンシジウムの培地には、荘さんのところでは竹炭を使っています。
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「水はけが良いこと、細菌が発生しないこと、軽量なので作業性が良いということがメリットだよ」
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株の寿命は7年。
最初なこんなカワイイ姿をしています。
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最初の3年は出荷できる花を収穫できないので株を育てるための期間。
3年経ったバルブはこんなにぷっくりと艶々として健康的な姿をしています。
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出荷できる花を収穫できるのは、バルブの寿命7年のうち花を4年間。

「寿命が終わったら株を入れ替えるわけですが、圃場の3分の1ずつを入れ替えて、圃場全体の株の平均年齢がいつも同じになるようにしています。おじいちゃん株ばかりでも若い株ばかりでも、品質に偏りが出てきてしまうからね。」
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こういうノウハウも翠光園芸様や商栄様のアドバイスがあってこそのことなのだとか。プロデューサーとしての役割も果たしているのですね。

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あら・・・?こちらのストローは?
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圃場のいたるところにまとめて置いてあるのですが、なんだか日本でもどこかで見たことがあるような・・・s(・’・;)


むむむ( ・ὢ・ )
あ、思い出しました!そうです。このストローこそ、「あの」ストロー!!
ちょいと太めなタピオカのストローです。
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でも、なんで??なんでタピオカのストローがオンシジウムの圃場にあるのでしょうか。

「いや~、まさか。違うよ。
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こうして出たばかりの花芽にタピオカストローを挿すんだ。
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茎がまっすぐ伸びるようにするためだよ。タピオカストローは太めだからかぶせるのにちょうどいいんだ。」 なるほど、そうでしたか!太陽を求めて伸びるときに、葉を除けようとして茎が曲がることがあるので、それを防止するのです。
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足元を見れば、美しく広がる緑のじゅうたん。これは苔です。
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「この美しいじゅうたんがある生産者さんは、良い管理をされている証拠なんです。※個人的感想だけど」
と友美さん。
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「オンシジウムにとってちょうどいい湿度を維持できることこの苔が生え、苔があることで湿度をキープできているのです。」
なるほど、苔がオンシジウムにとって良い環境を整えてくれる役割を担っているのですね。
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うんわ~、もふもふっです:.。.:*゜( n´∀`)n゜*:.。.:*

2018年に太陽の子の生産を始めるまでは、オンシジウムの品種ハニーエンジェル1つを栽培していた荘さん。といっても、一般には同じ黄色いオンシジウムだけに、太陽の子とハニーエンジェルの区別はなかなかつきにくいと思うのですが、太陽の子の方が優位性があると思って切り替えたのですよね。どのようなところが違うのですか?

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1.「天使の羽根」が太陽の子の方が大きい
天使の羽根って??

わかりにくいのでズーム写真で解説します。これです、コレ。
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分解するとこんな感じ↓
そーいえば、小学校の時、菜の花の分解をしたことを思い出しました。花を分解して構造を知るっていい勉強になりますね。
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一方、ハニーエンジェルは天使の羽根が小さいのです。
ご参考↓
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分解するとこんな感じ。
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なるほど、天使の羽根に当たる部分が未発達で小さいですね。
太陽の子は天使の羽根が大きく発達していることで、黄色の面積を増やしていたのです。

2.花弁がハニーエンジェルより丸みを帯びている
なるほど、上の写真を見ると確かにそうですね。


3.切り込みが少ない
切り込み??
「これのことですよ」と友美さん。
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ここです↓
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4.花茎が短く、花が密に付いている
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花茎(かけい)とはココのこと↑
ココが短いので、花が密に付くので、このようにモリモリと立体的に見えるのです↓。
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5.“クビクイ”がいい仕事をしている
花クビ(花茎)が直線的に出ているのではなく、クイッと曲がって上を向いているのです。クビクイッと上を向いているので、クビクイ
ツボミの花茎を見るとわかりやすいのでこちらをご覧ください。↓
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クイッと花首が曲がっているのがお分かり頂けると思います。このことがさらに太陽の子の花姿を立体的に仕上げているのです。ぜひ今度、実際の太陽の子を手に取ってクビクイをご覧ください。


太陽の子の特徴と生産の様子をおわかりいただいたところで、今度は採花後に運ばれる選花場を拝見しましょう。


●選花場
台湾らしい素敵な模様が施されたドアですね。
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その中は・・・?

きちんと整理整頓されていて、しかも清潔です!さすが5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が行き届いている印象です。
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圃場から切ってきたオンシジウムは、まずは圃場で受けた熱を取るために冷蔵庫に入れ、栄養剤入りの水で水揚げです。
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このような専用ラックを使用します。花材同士がこすれ合うことなく、場所の効率を考えながら風通しよく水揚げできる便利な什器です。
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「水揚げ用の水はRO水(アールオー・すい)を使用しています」
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RO水とは逆浸透膜処理を施した水のことで、0.0001ミクロンの超微細孔の特殊なフィルターを通して極限まで不純物をろ過した水のことです。
「無菌ですし、このRO水を使うことで目詰まりをすることなく水を吸い上げられるようにする工夫のひとつです」
と荘さん。
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出荷後の日持ちにも大きく影響しているのですね。


こちらの治具は花をスリーブに入れるためのもの。
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こんな風にスリーブをはめて、筒の部分に花を入れると、花を傷めずにスリーブにインできるのです。



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ナイスアイデアですね。写真左は「荘さんが作る太陽の子」のための特別仕様。荘さんの太陽の子はとりわけボリュームが大きいだけに、こんなに大きなものが用意されているのです。通常のサイズの1.3-1.4倍くらいありそうです。

「荘さんだけの特別規格“特大”用です」
と友美さん。
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出荷までこのようなオンシジウム専用ラックに入れて、もう一度水揚げ。
その後は、こちらの「太陽の子」専用の出荷箱に入れて旅立ちます。
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箱に描かれている3本川は、生産者さまと商栄さまと翠光さまの3つを表し、緑色は翠光様の「翠(みどり)」を意味しています。
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●荘さん×オンシジウム生産 それぞれの10年
1996年 オンシジウムのゴアラムジーという品種の生産を始める
2006年 ハニーエンジェルに全面転換
荘さんはこの年にスポットレス(茶色の模様がない)のハニーエンジェルに賭けてみようと、圃場全面をハニーエンジェルに転換した第一人者なのです。ハニーエンジェルは、日本の種苗でハニードロップとメイフェアイエローエンジェルというスポットレスの美しい黄色の品種同志をかけ合わせた品種。両方の名前の一部を組み合せ「ハニーエンジェル」と命名されました。
「品質」×「見た目」×「露出度」という3つの要素が重なり、一気にマーケットに定着。

現在ではハニーエンジェルはオンシジウムの中で絶対的エース。大田花きに年間約220万本流通するオンシジウムの中で、180-190万本はハニーエンジェルなんですよ。かなり圧倒的でしょ♪

そのハニーエンジェルに目を付けて最初に全面転換をしたのが荘さんですから、先見の明があるというものです。
「ハニーを一目見たときに、きれいな黄色と微妙に混じるグリーンが本当に美しくてね、”コレ欲しい!“と思ってしまったんだよ。これに賭けたいと、私の心はこの時にもう決まっていたんだ」
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荘さんがハニーエンジェルで生産したことで、台湾の生産者さんが次々とハニーエンジェルの生産を開始。台湾国内産地も増え、台湾全体の花き産業にも大きく貢献。
日本の花きマーケットでも喜ばれ、現在では台湾からの年間出荷量が2,000万本を超えるまでになりました。

結果、台湾のハニーエンジェル生産者さんとそのご家族のQOL(Quality of Life=生活の質)と生産意欲の向上に繋がりました。 荘さんご自身は、圃場や施設、新品種の開発など未来に投資できるようになり、事業の車輪がうまく回るようになります。

もちろん翠光園芸さまもHAPPYという近江商人流「三方よし」を実現。ハニーエンジェルがひとつの時代を築き、台湾ではまさに“黄色の奇跡”と呼ばれています。

事業がうまく回ったことによって、荘さんが新しい品種の育成に取り組みます。すると2016年にハニーエンジェルの変異として生まれたのが「太陽の子」です。
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荘さんが育成者として登録しました。品種名は「太陽の光を燦々と浴びて育った子どもたち」という意味で、荘さんが命名しました。
ハニーエンジェル10本分の黄色を太陽の子は7本でカバーできるようになりました」
と友美さん。
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と翠光園芸様。「分枝性」「花付き」「花の付き方」、この3つが良いことで黄色専有面積が広くなったのです。まさに太陽の子は期待のルーキーなのです。

そんなことで、荘さんは今度は「太陽の子に賭ける!」と圃場を太陽の子に全面切り替え。現在、荘さんの圃場はぜ~んぶ太陽の子で埋め尽くされています↓
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●これからの10年
荘さん、およそ10年ごとに大きく事業の方向転換を図っていらっしゃるように思いますが、これからの10年はどのように進めていきたいと思われますか?

「次世代が農業を継いでくれるように魅力ある農業づくりと地域貢献をしていきたいと思っています」
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それはご自身の経営を若手に引き継ぐとかいうピンポイント的なお話ではなく、地域の農業、延いては台湾の産業をどう導いていくか、その土台を築くときだといいます。


●荘さん’s HISTORY
もともとは鉄鋼業で溶接のお仕事をされていた荘さん。鉄から花へ・・・そのきっかけは何かあったのでしょうか。

「私はもともと花が好きだったんだよ。それに、伯父が花の種苗関係の会社をしていたので、伯父に花の生産をしたいと相談したんだ。

このあたりだとユリの生産が盛んだから、ユリを作りたいと言ったら、“ユリよりオンシジウムがいいよ”とアドバイスをもらい、オンシジウムを始めたんだ。伯父がいたから花の仕事に切り替える不安が少なかったよ」

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ハニーエンジェルがヒットして生活が何か大きく変わりましたか?と伺うと
「土地を借りてさらに生産面積を増やせるようになった」
「あるいは太陽の子に全面切り替えできるようになった」
「未来に投資できるようになった」
などのお答え。

・・・素晴らしい!
でも車のサイズが大きくなったとか、毎日スペアリブを食べられるようになったとか、そういう回答を秘かに期待していたのですが・・・^ ^;
そんな答えを期待したウン探自身が恥ずかしくなってしまったほど。全く私欲的なところがなく、ひたすら台湾のオンシジウムの生産のことを考えていらっしゃるところが荘さんらしいですね。

荘さんの頭ン中って、こんな感じなんやろなー。
生活の足るを知り、誠実に仕事に情熱を燃やす荘さんは、オンシジウムドリームの体現者でもあったのです!
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◆荘さんの格言◆

・コレ!とアンテナが思ったが吉日!事業のフルモデルチェンジでオンシジウムドリームを実現せよ!
鉄から花へ、ゴアラムジーからハニーエンジェルへ、ハニーエンジェルから太陽の子へ、いつでも思い立ったら全面転換!

・頭の中は仕事とオンシジウムでいっぱい!
生活の足るを知り、仕事がうまくいったら将来への投資と地域貢献に役立てよう。

・台湾の花ビジネスは「鼎」で叶えよ!
荘さんは、翠光園芸さまと商栄さまとの関係を「鼎(かなえ)」に喩えます。鼎とは古代中国で使われた三本足の釜のこと。思い釜を支える三本足のように、三社で一つのビジネスを叶える信頼のパートナー同志なのです。
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・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

次は台南市でアンスリウムを生産出荷される安生(アンセイ)園芸様へ。
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こちらは社長の顔(がん)豊生さん(以下、顔さん)。
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■ 基本情報
場所 台南市下営(かえい)区
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設立 1996年
面積 合計約3ha
従業員 常勤8名、繁忙期はプラス8-10名臨時雇用
主な出荷先 オーストラリア、日本、香港、マカオ

■ 顔さんのアンスリウムはプリプリのツヤツヤ!?

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顔さんのアンスリウムは苞に艶があり、肉厚でプリプリしています。苞の脈も浮かび上がり、アンスリウムの生命力を感じさせるプリツヤ仕上げ。

「アンスリウムの株自体が元気で勢いがあるからなんですよ」(゚ー゚)(。_。)ウンウン
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と翠光園芸の友美さん。

ではどのように元気で勢いのがる株を管理されているのか、その秘密に迫りたいと思います!

・・・と思いきや、いざ圃場にお邪魔すると

「どーもすみません。ここから先は立ち入り禁止でお願いします」
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え?w( ̄▽ ̄;)w
おっとー??

台車が置いてあってこの先は立ち入り厳禁・・・
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あ?
う~んσ(゚・゚*)
なんで??

「アンスリウムはデリケートで品質管理にとても神経を使うんです。病気にかかりやすく、一度発生してしまうと圃場内に一気に広がって、止めるのは難しくなってしまうんだ」

私たちのような外からの訪問者は、デリケートなアンスリウムにウィルスなどの病菌を移してしまうといけないので、外から拝見するのみ。そういえば、以前中国雲南省のアンスリウムの圃場を小欄でご紹介させていただいたときも、不織布でできた白い服を全身にまとい、靴にも不織布のカバーをして、更に靴の裏を殺菌をして入場させていただいた記憶があります。(その時の記事はこちら)

そのくらいアンスリウムは病気にかかりやすくデリケートだということですね。

「だから1つの圃場の面積を0.2-0.3haくらいの小さな単位にしてあちこちで管理するんだ。もし病気が出てしまった場合は圃場丸ごと生産を中止できるようにするための対策なんだよ」
一つの圃場のサイズを大きくてもこのくらい↓に抑えて、病気の対策に備えます。
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また、1つの圃場の単位を小さくするのは、品種によって好む環境も異なるので、似たような条件の品種を集めて圃場ごとに栽培環境をコントロールするという目的もあります。

「品種によって主に照度、水分、肥料を調整しているんだ。
この圃場では、この3つの比較的揃っている3品種(トロピカル、チョコ、ミドリ)を一緒に生産しているんだよ」
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なるほど~。圃場を小さくして点在させるのはそのようなメリットもあったのですね。

培地にはもみ殻とバークを使用、プランター栽培を採用。これも病気の蔓延を防ぐための栽培方式です。
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株は一般的には7年使用しますが、6年目になってくると株も年をとって力がなくなり、生産性が低くなってくるので、顔さんは5年目くらいで株を入れ替えます。
若い株しか使わないということですね。 この辺りにも顔さんのアンスリウムに艶と厚みがある秘密があるようです。
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「肥料バランスも勢いのある株を作るポイントだよ。

そのためには各品種ごとにベストの肥料バランスを研究して施肥すること」
という顔さん。
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つまり、プリツヤのお肌のためにカスタマイズした基礎化粧品を調合するということですね。実は、顔さんがこの肥料バランスに拘るのも理由があるのです。それは後述したいと思います。「

■ 出荷場はグローバルスタンダード!★★★

収穫してきたアンスリウムは、出荷場で洗浄や予冷、燻蒸、選別、梱包などを行います。

冷蔵庫に入れる前にまずは苞を洗浄。粒子の細かい優しい水で汚れや虫を洗い落とします。
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次に予冷。2時間を目安に行います。
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アンスリウムの管理工程は一方通行。洗浄したら写真手前の入口から予冷庫へ。一度入れたらトラックに載せるまでもう外には出ません。(写真)あちら側の出口の先が選花場になっていて、花が逆流することはありません。品質管理の点から常に一方通行なのです。

あら・・・、えっと、床、濡れていませんか??
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「これはあえて床を濡らしているんだよ」
えー、どうして「(゚ペ)??

「予冷2時間のうちにこの部屋は結構乾燥するんだ。
乾燥しすぎると苞に力がなくなってしなしなになってしまう。湿気があったほうがパリッとするんだよ。だからあえて床には水を撒いて湿度を保っているんだ」
と顔さん。

出荷前の燻蒸もここで行います。
天井にある↓こちらから燻煙が出てきて燻蒸処理。
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「オーストラリアも日本も植物検疫が厳しいので(=きちんとしているという意味)、現地で虫が検出されないよう自国で虫を退治します。出荷先での燻蒸の代償は、コスト面からも品質劣化の点からも大きいからね」


特筆すべきは、安生園芸さまでは、オーストラリア向けの管理工程認証(フロリマーク)を取得されているということ。つまり、管理基準はグローバルスタンダードを満たしているということです。
こちらがその認定証↓
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予冷が終わったら一つ一つ選別をしながらスリーブに入れていきます。
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スッ、スゴイ!アンスリウムのノーズ用に穴が開いていて、そこに手際よくノーズを通していきます。
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足元の水キャップ(輸送中の保水対策)も切り花栄養剤入り。とりわけ水の蒸散が激しく、日持ちしにくい品種には、特別に日持ちを長くする栄養剤を追加しています。
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梱包はきれいに仕上げます。
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ユーザー目線で翠光園芸さまと一緒になって勘案し、現在はこのスタイルを採用。
「テープがどこに留めてあるかを見やすく、剥がしやすい紙テープを使います。
これまでは輸送中のダメージを防ぐためにガチガチに留めてしまう産地が多かったのですが、それでは日本のフローリストさんが開梱するときに大変ですし、花にストレスがかかってしまいます。場合によっては花を傷めてしまい、輸送中は大丈夫だったのに日本に到着してから花を傷めては意味がありません。そこで翠光さんが何種類もテープの粘度を研究した結果、ベストとして推奨しているこの紙テープを使っています。」

日本のフローリストやバイヤーさんからの意見を元に、アンスリウムを留めるテープは“テープを認識しやすい上に、剥がれにくく剥がしやすい”という究極の難題に挑んだ翠光園芸さんと台湾の生産者さんたち。
現在はお客様にとても喜ばれているそうです。

そのほか、ノーズが箱の蓋に当たらないよう緩衝剤を1枚入れたり、
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ホチキスの針がきちんと寝ているかなど、
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細かいところまで翠光園芸さまの基準に基づいて梱包が完成していきます。
このようなちょっとした心配りの積み重ねで、フローリストさんの中でも翠光さまのアンスリウムファンが増えるというものですね。
友美さん曰く、出荷規格はもともと現地にあったものを翠光園芸さまが日本マーケット向けに作り直し、今ではそれが台湾のスタンダードになったと。 翠光園芸さまが長い時間をかけて台湾の花き業界にコミットした業績は大きいですね。

ん、これはナンデスカ??
洗濯機のような小龍包蒸し器のような・・・(*゚・゚)ンッ?
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「保水キャップに水を充填する機械だよ」
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「栄養剤入りの水と空のキャップをここに入れると、遠心分離の原則でくるくると回ってあっという間に充填できるんだ」

あっという間って??

「この機械は30秒で400-500本。もっとサイズの小さいキャップなら700本できるよ」

ちょうどこのバケツ1つくらいが30秒で充填できてしまうのです。
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仮に500本として、1つあたり0.06秒・・・

本当にあッという間だ!
というか「あッ」すら言えないではないか、こりゃ。

顔さんの集荷場でも、キレイに整理整頓されていますね。
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さすが、国際認証をを取得されているだけありますね。


■ 顔さんとアンスリウムの出合い

工学部ご出身でエンジニアを目指していた顔さんですが、お父様が投資されたアンスリウムのビジネスを継ぐために、台湾でも有名な農業の大学に“夜学で”通い直し、必至に植物生理や肥料・生物についての勉強を重ねました。
顔さん、本当に努力家、勉強家でいらっしゃるのですねー。脱帽∑o(*’o’*)o ウオオォォォォ!!

工学エンジニアの知識を生かせるケースもあるのではないかと思いますが?
「そうだね。なにか施設管理システムに問題が出たときに専門業者さんを呼ばずに7-8割は自分で解決できてしまう」
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いままで勉強されていらしたことが全て生かされていますね!
とはいえ、本来はエンジニアになりたかったのだと思いますが、今のお仕事は楽しいですか?

「喜びと苦しみが半分半分かな(笑)!」

半分半分!?!w(゚o゚*)w

「最初の10年は資金で苦労したよ。
次の10年は苗で苦労した。
そして、この10年は人で苦労しているんだ」

最初の10年はビジネスを回し始める資金調達でご苦労があったと。
苗の苦労とは、マーケットに合った新しい苗や数量、欲しいものがすぐ手に入らない苦労がありました。オランダから仕入れる苗は世界中で取りっこになってしまうので、オンタイムに入手できなかったり、台湾の生産環境に合うかどうかなどの思考錯誤も必要でした。

人の苦労とはなんといっても人手不足。教育してもすぐに辞めてしまうし、定着せずに人手の確保が大変なのだそう。オンシジウムの荘さんと同じお悩みを抱えていらっしゃるようです。

では喜びは?
「あちこちの国に販路を開拓する際に、いろいろな人に出会えたこと。
それから苗に適合する肥料を科学的根拠に基づき試行錯誤の上、与えてみてとても良い結果を得られたときの達成感は何とも言えないなー」

アンスリウムの品種ごとに肥料の配合を変えるのは、プリツヤのお肌を作るために基礎化粧品を自分で調合することに似ていると顔さん。買ってくるのではなく自分で調合するするのです。さすが頭脳派の顔さんですね。

「マーケットの展開は早いし、アンスリウムの生産圃場も病気になればすぐ新しいところに移さなければならない。だから“3年後にどうしたいか”と、いつも3年後の自分と向き合って事業を考えているんだ。

たとえば品種の選定、マーケットの変化を見ながら次はどの品種を導入するか。
新しいマーケットの開拓も必要。A国のマーケットが低迷してきたら、次のB国でのマーケットを考えなくちゃだよね。あるいは、同じマーケットでも季節を変えてみたり。生産ながら3年後に備えて土地を探しておくとか」

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翠光園芸さま曰く、
「顔さんはね、頭もいいし、まじめで仕事に妥協がないんです。きめ細やかな心配りで、商品に安心感があります」
と絶賛。

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一方、顔さんは翠光園芸さまのことを
「何か質問をするといい加減な回答をせず、いつもきちんと調べて真摯な対応をしてくれる大切なパートナーです」
と信頼関係が構築されていることがわかります。


◆顔さん直伝!「良いアンスリウムの見分け方三箇条!」◆

1.苞の色が鮮やかで艶がある
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顔さんちの艶、スゴイですよ。ツヤツヤしすぎてまぶしいくらい。
もちろんワックスは塗っていません。ツヤツヤお肌、羨ましい限りです~。


2.ステムが美しい

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まっすぐに伸びていること。

3.ステムの切り口がキレイなこと

切り口の色が黒っぽく変色しているものは、古い証拠。きちんと殺菌処理されていれば、切り口はキレイに保たれます。


◆顔さんの格言◆

・プリツヤのアンスリウムを生産するには、
 1. 小さな面積で圃場を点在させ品種によって環境コントロール
 2. 若い株を使い、
 3. 品種によって最適な基礎化粧品を調合するべし!


・農業をするならイチから勉強!アンスリウムに適合する肥料は最適なものを自分で調合すべし!
・事業は3年後の自分と向き合いデザインすべし!
・梱包はユーザー目線で!
・オーストラリアの厳しい基準で品質管理しているので、うちのアンスリウムは虫いませーん!
・エンジニアを目指していたけど、アンスリウム生産が天職となりました。人生ってそんなものよね。でもエンジニアの知識もきちんと生かしています!


翠光園芸様の後編に続きます。

翠光園芸様のホームページはこちら。

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写真・文責:ないとういくこ@大田花き花の生活研究所