社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年09月11日

業界人はマーケッター


 9月9日(土)は『重陽の節句』だった。ディスバッドマムの売れ具合は如何だっただろうか。「和」のブームを作った平成生まれや35歳前の人達に、ダリアと同様、「見たことがない、知らなかった」と言ってもらえるよう、まだ一部だが、『重陽の節句』でディスバッドマムを販売している店が出てきていた。しかしながら、本年は天候の具合で出荷量が前年よりも少なく、結果的に小売価格を押し上げてしまう形になったのが残念だった。値打ちのある菊だが、手軽に手に取ってもらえるよう、来年は生産地と一緒になって努力していきたい。

 『重陽の節句』が終わると、花き業界は「次は敬老の日、そして、お彼岸だ」と言う。しかし、「待ってください。その前に『コスモスの日』がありますよ」と、大田市場の仲卸さんで、『コスモスの日』を前面に出しながら、小売店に販促活動をしてもえるよう呼びかける展示販売をしている所がある。コスモスを敬愛している方にお贈りする、或いは、贈り合う。これが、14日の『コスモスの日』である。また、『敬老の日』も、お孫さんからおじいちゃん、おばあちゃんへの花のプレゼントとして、ポップや店づくりをしている所がある。人口動態から圧倒的に多いのは団塊世代、そして、団塊ジュニアだ。従って、花好きのこの世代のおかげで、『母の日』が活発になった。それと同時に、団塊ジュニアの子どもたちの数も多い。子どもたちが好きなガーベラや、あるいは、秋の草花。これらにカードを添えて、家に訪問して手渡すことが大切だ。ハッピーマンデーの連休に是非訪問して欲しい。心を表現する商品である花は、時代と共に変わってゆく各世代間の考え方、また、プレゼントの意味を、マーケティングをきちんと行い販売していかなければならない。

 東京人にとって月遅れの盆は、夏休みと実家の本家のお盆という認識の人が多いだろう。また、7月の東京盆は夏休み前だから、気になっていても他人任せになってしまいがちなのではないだろうか。そして、これからの秋の彼岸は、ご先祖様やお寺さんを想う、自分の代々続く家族の欠かせない儀式だと思っている筈だ。従って、東京・横浜の生活者に花を供給する弊社大田花きがとても大切にするのは、しみじみとした味わいのある、秋の諸行事なのである。


投稿者 磯村信夫 : 11:31

 追伸:卸売市場法改革の議論が煮詰まってきています。食文化や花飾り文化を大切にしていく地元で、元気に中間流通業者である卸売市場(卸・仲卸)の役割を果たすことが出来るよう、卸売市場法の整備をして頂きたいと思い、現在努力している所です。地域の人達の幸せは、地域に根差した文化的生活にあります。その生活に欠かせない生鮮食料品花きを、卸売市場は地域の生産者と共に供給したいと考えています。