年末麻雀〜キリのいいときなんかこない〜

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先日8月の休市日がありました。
休市前のすっかり片付いた市場内を見て思い出した話を書いてみようと思います。
20年ほど前、私が入社して3年目くらいだった頃の話です。
年末の止市の日。1年最後のセリが終わり、競り場では分荷も大掃除もすっかり終わっていた午後のことでした。
当時私が所属していた加工部門は、まだ繁忙期最後の追い込みの真っただ中でした。
加工は荷受、荷捌き、分荷の後工程にあたるため、他の部門よりも遅いタイミングで作業のピークがやってくるのです。
必死に作業を進めていると、総務の方から電話がかかってきました。
「もうそろそろロッカー室の鍵を閉めるので、荷物だけ持ち出しておいてくださいね」
わざわざ連絡をくれたのです。
もうそんな時間か、と思いながらも、
「キリのいいところまで済ませてからロッカー室に行こう」
と思ってしまいました。
ですが、まだまだ作業は山積みです。
結局「キリのいいタイミング」など訪れず、ロッカー室へ向かうのが遅れてしまいました。
そして、ロッカー室はすでに施錠されていました。
ロッカーの中には家の鍵と携帯電話が入っています。年始に開けてもらえるのは4日ほど後。
「4日間、家に帰らず過ごせるだろうか」
そんなことを考えました。
手元には防寒具と現金3,000円。
「明日から実家に帰ると連絡していたけれど、帰省は3,000円じゃ無理だな、諦めよう」
「現場事務所はまだ開いているから、そこで過ごせば暖は取れるし寝起きもできる」
「3,000円あれば食費と銭湯代くらいは何とかなるかもしれない」
「案外どうにかなるかも」
そんな考えが頭の中を駆け巡りました。
しかし、ふと気付きました。
「帰れなくなったと実家に連絡したいけれど携帯電話もロッカーの中だ。公衆電話からかけるしかないな」
ところが、家族の携帯番号を暗記していません。
どうしたものかと思いながら、とりあえず作業場へ戻りました。
この話をすると、当時の上司がこう言いました。
「Hさん(役員)なら鍵を持っているから、借りれば開けられるんじゃないか」
「もう会社にはいないだろうけど、今夜は大森で麻雀大会に参加しているはずだから、作業が終わったら借りに行けばいいよ」
「ありがとうございます! 行ってきます」
ところが、大森へ行くのに便利な自転車の鍵もロッカーの中でした。
作業が終わってから徒歩で大森と会社を往復かぁ、1時間はかかるよな、大変だなと思っていると、
「パートのKさんを駅まで車で送るから、ついでに一緒に送ってあげるよ」
と上司が言ってくれました。
後光が差して見えました。
夜になり、ようやく作業が終了。
上司に送ってもらい、大森の麻雀会場へ向かいました。
扉を開けると、少し煙草の煙が漂う室内で、上席の方々が麻雀に興じています。
1年の業務と年末繁忙期をやり切った後の達成感、疲労感、そして安堵感が入り混じったような空気が流れていました。
「こんな光景は一生に一度しか見られないだろうな」
そう思いました。
Hさんに事情を説明し、無事に鍵を借りることができました。
会社へ戻るのも、また上司が送ってくれました。
真っ暗で静まり返った会社の中でロッカーを開け、ようやく荷物を取り出せました。
今度は鍵を返しに再び大森へ。
再び麻雀会場の扉を開き、「一生に一度しか見られない」と思った光景をもう一度目にしながら、Hさんへ鍵を返しました。
上司とHさんには感謝してもしきれません。
恩を無駄にしてしまいましたが、わざわざ連絡をしてくれた総務の方にも大感謝です。
そして、「キリのいい時になったら」ではなく、すぐに同僚へ一声かけて行動しなければならなかったな、と深く反省しました。
そんなことを考えながら、その年の仕事納めを迎えました。
翌日には無事に帰省できました。
これからお彼岸繁忙期や年末繁忙期がやってきますが、コツコツ準備をして、最後の追い込みを少しでも改善できたらいいなと思います。
そして繁忙期には「キリのいい時なんか来ない」ということを忘れずに業務に当たっていこうと思います。
ロジスティック本部
小原