熊本を訪ねて

花き業界
 先週、熊本を訪問し、JA菊池花卉部会様総会への出席と、被災された生産者の皆様へお見舞いに伺いました。

 7月28日に発生した令和8年熊本地震により被災された皆様に、改めまして心よりお見舞い申し上げます。東京を拠点に熊本県産の花きを取り扱わせていただいている我々にできることは限られていますが、熊本の花をしっかりと流通させ、その魅力と復興への歩みを発信し続けたいと考えております。生花店様・生活者様におかれましても、ぜひご理解とご支援を賜れば幸いです。

 JA菊池花卉部会様の総会では、参集市場を代表してご挨拶する機会をいただきました。ご存じのように資材費や物流費、人件費の高騰が続いている中、生活者の消費意欲も決して強い状況ではありません。しかし業界全体を見渡せば、需要減少以上の速度で生産量の減少が進んでいます。だからこそ、生産・物流・販売が連携しながら、ここを維持していただき、生活者へ花のある暮らしを届け続けて欲しいとご依頼申し上げました。

 また、近年は家族葬化や婚礼需要の変化により業務需要が減少する一方、自宅で花を楽しむホームユースは着実に広がっています。それに伴い、丈が短くて構わない商品への需要も高まっています。今後は値頃感があり、日持ちするコストパフォーマンスの高い商品の流通へ徐々に舵を切っていきたいとお伝えしました。すぐに実現できる話ではありませんが、生産者の再生産を前提に、入数や長さ、採花本数、各種コストとの見合いの中で、歩留まりの良い仕組みを整えていく必要があると考えています。生産者が利益を確保でき、販売店も扱いやすく、生活者も気軽に花を楽しめる。そんな「三方良し」の取組みが不可欠であると捉えております。

 翌日には九州大田花きの取引先で10年前も被災され、ご自宅を建て直し、今回も至る所に亀裂が入ってしまった生産者のお見舞いに行ってまいりました。話を伺うと、梅雨明け以降、夕立すらない過酷な酷暑が続いているとのこと。いつも明るく元気な生産者も、「いつでも揺れているような感覚に襲われるんだよ」と厳しい心境を語られました。定植を待つばかりだったハウスも被災し、再び畝を立て直す作業が必要になったそうですが、70歳を超えるご夫婦は「前を向いて頑張っていくしかない。ただそれだけ」と笑顔でおっしゃっていました。

 お忙しいでしょうが、久方ぶりの訪問で少しでも気が紛れればと捉え、近況や九州の流通実態、生産を始めた頃の昔話など、お庭でとれたぶどうを頬張りながら2時間ほど談笑させていただきました。一方で、電気や水道がようやく復旧した苦労や、続く酷暑への不安も伺い、生産現場の厳しい現実を改めて実感いたしました。

 道中では震災の爪痕も目にしましたが、熊本の町は少しずつ日常を取り戻しているようにも感じました。我々にできることは多くありません。しかし、人と人とのつながりを大切にし、困った時には相談していただける存在であり続けたいと思います。ご縁を大切にしながら、いつかこの出来事が昔話として語られる日まで、誠心誠意努めてまいります。

Canon EOS 6D MarkⅡ/TAMRON SP 70-300mm f4-5.6 Di VC USD A030/ISO125/300mm/-0.7ev/f8/1/125s

萩原 正臣 9:00