具体性と実行力

大田花き
 そろそろ関東も梅雨明け間近。本格的な夏の到来です。昨年に比べて涼しい日が続いており、生育がやや遅れ気味の品目も見受けられます。7月盆が終わり、次は全国区の8月盆が近づいてきました。過度な高温や干ばつに見舞われることなく、生産者の皆様が栽培管理しやすい環境が続き、花々が健やかに育ってくれることを願っております。お盆には帰省されたご家族やご親族が集い、新鮮な花々をご先祖様へ手向ける。そんな日本の夏らしい風景が、今年も各地で見られることを願ってやみません。

 また、少し前の七夕では、生活様式の変化により短い笹へのニーズが高まっていると伺いました。一方で、ある集合住宅では大きな笹と短冊を用意したところ、短冊の追加が必要になるほど多くの方に楽しんでいただけたそうです。少子高齢化や労働力不足が叫ばれる時代ではありますが、日本の未来を支えてくれる若い世代の活気や笑顔に触れ、「元気を分けていただいた気がしました!」と花店の方が話してくださいました。

 さて先日、弊社では役員会が開催され、いくつかの重要課題について議論を行いました。その中で、筆者自身が改めて考えさせられる場面がありました。

 代表執行役として社内をマネジメントする際には、誤解や思い込みを生まない指示・報告・連絡・相談を実践するよう努めております。しかし今回の役員会を振り返ると、自身の説明は熱意が先行し、連帯やシナジーといった抽象的な表現に頼る場面も少なくありませんでした。方向性は理解できるが、もう少し具体性が必要ではないかという取締役からの意見もいただき、自身の説明の在り方について改めて考える機会となりました。一生懸命説明しているつもりでも、相手が本当に知りたいことや懸念している点に、より的確に応えていく必要性を感じたところであります。

 組織の中で長く議論を重ねておりますと、いわゆる「阿吽の呼吸」が醸成されます。「恐らく●●さんはこう考えるだろうな?」と事前予測がなされ、見えない箇所を何点か確認すれば合意形成が図れるようなやり取り(プロセス)です。それは組織運営において大切な力である一方、責任の所在や期待する成果が曖昧になり、何となく決まり、何となく進んでしまうリスクを孕んでいます。計画やコスト、成果をできる限り定量化(数値化)し、誰が見ても納得できる形で示していくことの重要性を改めて認識いたしました。

 自社の売上や利益も重要ではありますが、それだけを追い求めていては持続可能な業界は実現できません。社外関係者と良好に議論し、環境の良化策を実行して行かなければなりません。筆者自身、九州大田花きでの経験を通じて、どんなに良い提案でも、提案の順番を誤ったり、相手がしっくりこなかったり、そもそも関係性が整わなければお取り組みが前進しない現実を経験してきました。

 数値で示せるものは徹底して数値化し、数値化しにくい事柄についても可能な限り可視化していく。最悪のシナリオも想定しながら計画を立て、メンバーが達成できる目標への道筋を示し、進捗を確認しながら改善を重ねていく。そのような地道な積み重ねによってこそ、組織は前進し、関係者の皆様からの期待と負託にお応えできるのだと、改めて肝に銘じた役員会でありました。花き業界を取り巻く課題は決して少なくありません。しかし課題が多いからこそ、生産者、市場、仲卸、生花店、物流事業者をはじめとする関係者の皆様と知恵を出し合い、花文化を次世代へ繋いでいくために、一歩ずつ着実に前進してまいりたいと考えております。

Canon EOS 6D MarkⅡ/TAMRON SP 70-300mm f4-5.6 Di VC USD A030/ISO800/70mm/-0.3ev/f7.1/1/125s

萩原 正臣 9:00