熊本では経済連主催の出荷反省会が開催され、筆者は分科会でアリウムの意見交換に参加いたしました。読者の皆さん、アリウムってご存じでしょうか?ユーラシアやアフリカ北部・北アメリカが原産の多年草で、ネギ科ネギ属の植物です。約700種類にも及ぶ野生種があるそうで、鑑賞用の園芸種としても近年バリエーションが増し、生花市場にも季節商材として出荷されています。ご存じない方は是非検索してみてください。
品種によって形状は様々で、茎が太くて紫色のまん丸頭が特徴的なギガンチウムや、少し小ぶりで茎も細く、生産者が細い茎を人為的にクネクネ曲げて固め、独創的な容姿の丹頂アリウムなど、定番品種から新規性有るマニアック品種まで様々です。
丹頂アリウムは、生け花やお稽古事の定番として長く親しまれてきました。現在も生け花需要が中核を支えていますが、近年では匠の手による「曲げ技術」が生み出す独特のフォルムが注目され、従来の用途にとどまらない新たな需要が広がっています。こうした美しさはジャパンブランドとして高く評価され、その価値は国内にとどまらず海外にも着実に広がっています。日本の美意識と職人技を体現する存在として、丹頂アリウムは今、世界で存在感を高めています。
商品にはライフサイクル(栄枯盛衰)があります。とりわけアリウムについては停滞期を乗り越えて、二周目のリバイバル期に差し掛かっている状態と言えそうです。生産量や出荷期間が限られ、栽培管理にも手間がかかる品目であることから、その労力と相場のバランスが、市場におけるニッチ性の要因にもなっているのかもしれません。
1980年代後半からスタートした熊本県のアリウム栽培は、まもなく半世紀を迎えます。その節目を前にした2025年1月30日、JA熊本経済連が「くまもと踊る丹頂」をGI認証に申請し、承認されました。
皆さん、GI制度をご存じでしょうか?
GIとはGeographical Indication(地理的表示)の略で、地域の自然的・人文的・社会的背景の中で培われた品質や社会的評価を有する産品の名称を、知的財産として保護する制度です。2014年に法制化され、2015年に施行されました。登録第一号は、青森県の「あおもりカシス」(2015年)。花では、鹿児島県・沖永良部島のテッポウユリをルーツとする「えらぶゆり」(2020年)、福島県・奥会津の昭和村を中心に生産される「昭和かすみ草」(2023年)が登録されています。3例目として、2025年1月に、熊本県内生産者の技術で生み出される「くまもと踊る丹頂」が加わりました。
GIは、国内では国がそのブランドを保証し、模倣品の排除を可能にする制度です。一方、国際的には、外交や交渉を通じてブランドとしての権利を広げ、認知度の向上や販売促進につながる信頼性の高い指標として機能します。価格や需要、品種そのものを守る制度ではありませんが、一定のブランド力を担保する「国のお墨付き」としての役割も担っています。こうした制度を背景に、産地の価値やストーリーを適切に伝えていくことが、今後ますます重要になります。
余談ですが、よく皆さんが耳にする商品でGI認証を取得しているものの一部を以下に触れてみたいと思います。
神戸ビーフ、夕張メロン、八女伝統本玉露、三輪素麵、下関ふく、特産松坂牛、米沢牛、前沢牛、八丁味噌、宮崎牛、くまもとあか牛、越前がに、いぶりがっこ、八代特産晩白柚、種子島安納いも、阿波尾鶏、長崎からすみ、仙台せり、揖保乃糸、ちんすこう、泉州水なす、等々、上記以外にも多数あり、国内外合わせて2026年3月25日現在で174の産品が登録されています。
(参考:農林水産省「地理的表示(GI)保護制度」)
(参考:地理的表示産品情報発信サイト)
Canon EOS 6D MarkⅡ/24-70mm F2.8 DG OS HSM|Art017/ISO1250/60mm/-2.3ev/f5.6/1/125s
萩原 正臣 9:00
