かねてよりコラムでも触れております通り、筆者は写真撮影を趣味としております。自然の中での撮影は、被写体そのものだけでなく、そこへ至るまでの道のりで自然との触れあいや小さな発見も含め、貴重な体験を楽しんでいます。
なかでも魅力的な被写体の一つが「水」です。滝や湧き水、静寂の湖面など、いずれも自然の織りなす芸術作品です。これをどう切り取り、臨場感を伝えるか。いつまでたっても未熟ですが、そんなことを考えながらファインダーを覗く時間は、何よりの癒しでもあります。
水辺での撮影は安全に配慮しつつ川に入ったり岩を渡ったり、都会の日常生活では味わう事の出来ない貴重な体験の連続です。そこで活躍してきたのが携帯性に優れた長靴です。ただし、軽さゆえに靴底が薄く、山道では疲労が蓄積しやすくて、撮影前に消耗してしまうことも少なくありませんでした。
そこで一念発起し、登山用品で知られるMont-bellの旗艦店に足を運んでみました。靴底の厚い堅牢な長靴を探してみたものの、期待する商品の取り扱いはありませんでした。ふと店内を見渡すと、壁一面にトレッキングシューズが整然と並び、安価なものから高価格帯のものまで、形状・用途ともに幅広く展開されております。一見しただけではその違いが分からず、「一度しっかり伺ってみよう」と思い、店員の方にお声がけいたしました。
すると、価格の違いは単なる優劣ではなく、想定される利用環境の厳しさに応じたものだということでした。「用途に適したギアを選ぶことが何より重要です」と、穏やかな笑顔で丁寧にご説明いただいたのが印象に残っております。具体的には、比較的手に取りやすいモデルはローカットで軽量、街中でも使いやすい仕様が中心とのこと。一方で価格帯が上がるにつれて靴底は硬さと厚みを増し、グリップ力や足首のサポート性も向上し、長時間の歩行や山道での安定性も高まってくるそうです。さらに上位モデルになると、アルプス山脈のような厳しい環境にも対応し、防水透湿素材によって水にも強く、快適性にも配慮されているようでした。
店員の方から使用用途を尋ねられたため、御岳山ロックガーデンのような、ハイキング気分で歩ける山での使用であることや、時折浅い水辺にも入ること、また従来の長靴ではなかなかしっくりくるものが見つかっていない旨をお伝えしました。すると、半防水仕様のハイカット型トレッキングシューズをご提案いただきました。実際に履いてみるとフィット感が非常に良く、歩いた際の安定感も抜群で、その場で購入を決断いたしました。前々回にコラムでお話した蛍撮影で初めて使ってみましたが、未だかつてない履き心地ではありませんか!求めていた靴底の硬さに加え、蒸れも感じにくく、大変満足のいく一足でした。
今回の経験を通じて感じたのは、プロとしてニーズを的確に捉える情報収集力と、それに見合った提案を行うことの重要性です。接客においても、無理に勧めるのではなく、自然な対話の中から導き出された提案を「もしよかったら試してみませんか?無理はなさらないでくださいね」といった姿勢で、終始安心感のあるやり取りであったことが印象に残っております。山を知り、商品知識を携えた専門家が言うのなら良さそうだ!と心底感じました。商売を超えた無私の精神が、店員さんの立ち振る舞いだけでなく、店舗の雰囲気、企業ブランド全体からも伝わってまいりました。装着している感覚もないぐらい、ユーザーに馴染んだ自然な生活を届けたいという想いが、優しく伝わってくるように思えました。
企業ごとの特徴もあるとは思いますが、そうした空気感をまとったブランドの一つであると、改めて感じた次第であり、尚一層ファンになり、心が生き生きするような今回のトレッキングシューズとの出会いでありました。
皆様におかれましても、それぞれの生活に寄り添う、長く使えるアイテムに巡り合えると良いですね。
Canon EOS 6D MarkⅡ/24-70mm F2.8 DG OS HSM|Art017/ISO1250/24mm/-1.3ev/f9/1/160s
萩原 正臣 9:00
