クルマの進化事例に花き業界も学ぶ(後編)

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 一時は夏を思わせる陽気が続いていましたが、その後は豪雨や突風、気温の低下もあり、服装選びに迷う時期となってまいりました。このような変わりやすい天候は「梅雨のはしり」とも呼ばれます。梅雨前線は、南からの暖かく湿った空気と、北側の比較的冷たい空気がぶつかることで形成され、その勢力バランスによって南北に移動します。そのため、この時期は雨の日・晴れの日がコロコロ訪れます。

一方、本格的な梅雨に入ると、前線が日本付近に停滞し、湿った空気が流れ込みやすくなるため、曇りや雨の日が長く続きます。今年の関東甲信の梅雨入りは、現時点では6月中旬頃との見方もあり、しばらくは天気の変化に注意が必要です。高気圧の勢力差やエルニーニョ・ラニーニャ現象、偏西風の蛇行などにより梅雨の長さは変化しますが、適度な降雨によって植物の生育が整い、その後も極端な気候とならないことを願うばかりです。

 さて、今回は先週に続き、EV戦略見直しの後編をお届けいたします。

環境負荷低減の観点から、EVは自動車業界の主流になると考えられてきました。なぜその戦略見直しが必要となったのでしょうか。

EUでは2035年以降の新車に対するCO2排出規制が打ち出され、米国や中国でもEV化が加速しました。2020年前後には各国政府による補助金や充電インフラ整備も進み、EVは一気に普及するとの見方が強まっていました。

しかし、2023年頃から状況に変化が見られます。EV需要の伸びは鈍化し、各国の政策や自動車メーカーの戦略にも見直しの動きが出てきました。その背景には、価格の高さ、充電インフラの不足、充電時間の長さ、航続距離への不安など、利用者側の現実的な課題があります。例えば筆者自身が購入を検討するとしても、ガソリンスタンドと同じ感覚で利用できる充電環境が整っていなければ、切り替えには不安を感じます。短時間で簡単に充電できること、長距離移動でも安心できること、日常生活の中で不便を感じないこと。こうした給油と同等の利便性が確保されなければ、消費者にとってはストレスとなります。

また、スマホのアップデートのようにソフトウェアで進化する車(SDV)の分野では、中国勢が先行しており、対抗するのが難しい状況に陥っている事も原因の一つのようです。ガソリン車・ハイブリッド車からEVへ大幅転換した結果、各国の政策方針に揺れ戻しが生じたり、ユーザーの需要が思うように拡大し続けなかったことが見直しの理由となっていそうです。

 この「理想と現実のギャップ」という構図は、私たち花き業界にも通じるものがあります。

花き業界では、2014年に花き振興法が制定され、国としても生産基盤の強化、流通改革、鮮度保持、需要創出、輸出促進などを後押ししてくれています。花き産業の健全な発展と、花き文化を通じた心豊かな国民生活の実現は、業界としても目指すべき大切な方向性です。

一方で、どれだけ花のある暮らしが良いものだとしても、実際の生活の中にはさまざまなハードルがあります。花の管理に手間がかかる、花瓶がない、共働き世帯では夏場に室温が高く花が長持ちしない、宅配で届けたいが運賃が負担になる、管理方法が分からない。こうした小さな不便を一つずつ減らしていかなければ、花を飾る習慣は広がりにくいのではないでしょうか。一つずつ減らしてまいりましょう。

 さらに、これまで花を飾る習慣のなかった方々に、花の価値を分かりやすく伝えていくことも重要です。花を眺めることでストレスが軽減され、生産性や幸福度が向上することは科学的にも示されています。また、花のある病室ではない病室に比べて回復が早まる傾向があるとのエビデンスもあります。こうした効果を「癒し」や「潤い」といった感覚的な表現にとどめず、科学的根拠に基づいて分かりやすく発信することが重要です。花のある暮らしの価値を広く伝え、より豊かな生活につなげていくことが求められていると考えています。

また、自動車業界におけるガソリン車規制のような大きな制度変化が花き業界で想定される状況にはありませんが、CO2排出削減やリユース・リデュース・リサイクルといった環境配慮への対応は、業界として取り組むべき重要な課題です。

加えて、トラックドライバー不足により、2030年には国内物流の約34%が担えなくなる可能性も指摘されており、安定した供給体制の維持に向けた対応も急務となっています。

 春彼岸、年度末の離任式や歓送迎会、母の日など、最近のイベントの盛り上がりを見ていると、花は嗜好品でありながら、必需品としての要素も確実に兼ね備えていると感じます。多くの種類を少しずつ楽しみたい方も、シンプルに素材の良さを味わいたい方もいらっしゃいます。こうした多様な期待に応え、どのご家庭にも花のある暮らしが少しずつ広がっていくよう、生産・物流・販売に関わる皆さまと連携しながら、安定流通と新たな需要づくりに取り組んでまいります。

Canon EOS 6D MarkⅡ/TAMRON SP 70-300mm f4-5.6 Di VC USD A030/ISO2000/300mm/-0.3ev/f5.6/1/160s

萩原 正臣 9:00