Vol.146 ヤマキ花卉園様:千葉県 ヒマワリ

当コーナー「産地ウンチク探検隊!」はお陰様で21年目に突入いたしました!
これもひとえにいつもこのコーナーをご覧いただくみなさま、また取材にご協力くださる生産者さまのお陰と心より感謝申し上げます。ありとうございますm(_ _)m

ふと、21年目にして気づきました。国民的人気の花で夏を象徴するあの花、そう・・・「ヒマワリ」を特集した回数・・・

「1」

イチ?
えっ?1回(๑º口º๑; ; )?
なんとたったの1回しか、ヒマワリを特集していなかったのです!(その1回は2009年、JAいわみざわ情熱フラワー様でした)

ないわー(´-ω-`)
これは由々しき事態!お祝いしている場合ではぬぁ~い!

と、慌ててすっ飛んできたのは、大田市場から車で約1.5時間の千葉県館山市。房総半島のほぼ突端にあるヒマワリの生産者「ヤマキ花卉園」様です。

この辺↓

ゴルフをされる方には館山カントリークラブの辺りといったらピンとくる方もいらっしゃるかも。

館山市は房総半島の西側に位置し、気候も良く、日照量も多い地域。夏はサーフィンやダイビングなどが楽しめる人気のスポットとして知られています。

特に、ヤマキ花卉園さんから至近にある平砂浦(へいさうら)は初心者にも優しいサーフィンポイントとして名高いところ。

気象庁のデータを見ると、観測地点館山のここ30年の日照時間は、東京よりも多く、館山市がいかに日照量の多い地域か、この数字からだけでもお分かりいただけると思います。
(気象庁のデータを元に算出)

それだけに、農業生産、とりわけ花の生産が盛んで、館山市には花のトップブランドがたくさん!もともとヤマキ花卉園さんが所属されていた西岬(にしざき)共撰部会様や安房(あわ)農協神戸(かんべ)支店様など、共撰の老舗ブランドが誕生し、現在も変わらずご活躍されています。これらのブランド産地は共に地域を支え合いながら、日本の花産業を牽引しています。

花業界にとっては聖なる場所に、聖地巡礼を兼ねてウン探が訪問いたしました。
ナビゲーターは代表取締役の山田桂(やまだ・けい)さんです。

 

◆株式会社ヤマキ花卉園様 基本情報
・株式会社ヤマキ花卉園 代表取締役 山田桂さん
・生産品目 ヒマワリ、及びストック
夏場は主にヒマワリで、ヒマワリ生産がお休みの時はストックを生産

「ヤマキ花卉園様のご出荷スタイル」(大田花きへのご出荷を基に作成、本数ベース)

・ヒマワリの品種数 約20品種
・生産面積 約3,300坪(施設栽培)+露地1,500坪
=約4,800坪≒約16,000㎡
※サッカー場2.24個分くらい
・施設数 55棟
・従業員数:ご家族を除き周年で15名ほど、繁忙期にはさらにプラスで総勢20余名
・設立 2015年 現在の山田桂社長のお父様であり前社長の山田滋(やまだ・しげる)さんが設立
・URL https://www.yamakikakien.com/

★なぜヒマワリなのかって話

早速圃場をご案内いただきました。

圃場に入る前にふと感じました。これまでお邪魔した生産者さんで感じたことはありませんでしたが、何でしょうか。この言葉にできないけど“何かが違う”。

そして気づきました。

足元が砂。

砂感ハンパないくらい砂。スナッスナ。
これまで訪問させていただいたどの生産者さまよりも砂地です。

「この辺はね、海底が隆起してできた土地なんですよ。だからどこも全部砂地」

このヤマキ花卉園さんのある海岸線のあたりは、1703年12月31日(第5代将軍・徳川綱吉時代)に起きた大地震で隆起してできた土地なのだそう。つまり、300年くらい前までは海の底だったわけです。

「そうそう、だから貝殻も普通に含まれていて、pH値の偏りがあるんだよ。例えば、農業生産の適正がpH7だとすると、ここはアルカリ性pH9.0~以上が出たりすることもある」
ご参考までに小欄でご紹介した前回の君津市の榎本バラ園様の黒ぼく土とぜひ比べてみてください。
同じ千葉県でありながら、この土壌の差です。さらっさらで、しかもアルカリ性(。゚ω゚)
pH8でも相当アルカリ性に偏っているのに、pH9が出るって(•́∀•̀ฅ)
そうとう土壌改良にはご苦労があるでしょうに・・・

「その砂地を土壌改良せずにほぼそのまま使うんです」

そんなことって可能なのでしょうか。pH9とかですよ!?

「それができたのがヒマワリ。
この土地で生産の相性が良かったのがヒマワリだったというわけなんだ」

なるほど適地適作、アルカリ性でも問題なく育ち、砂地との相性が良かったのがヒマワリ。ヒマワリとの出合いは、まさに運命だったのです!その出合いはお父様の滋さんの時代にありました。

滋さんが35年ほど前この地でヒマワリの生産をスタート。

それはサンリッチシリーズが誕生したタイミングでした。その際、この西岬一帯の生産者様がサンリッチなら生産できそうだと地域のみなさんでヒマワリの生産をスタート。そのうちのお一人が滋さんだったというわけです。

ヒマワリの前から冬にはストックの生産をされていましたが、夏場にトルコギキョウ、カスミソウ、スターチスなど、いろいろやってみるとしっくりこなくてモヤモヤもやもや・・・( ˘•ω•˘ ).。oஇ

砂地なので、トルコギキョウやカスミソウなどボリュームが必要なものは、作りにくい土壌なのです。

「ボリュームを出すためには、肥料などの資材をいろいろ投入しないといけないので、作れるけど今度は生産コストが合わなくなってきますよね。ヒマワリは土づくりをすると肥料持ちが良くなって品質が落ちてしまうので、砂地がちょうどいいんです」

というわけで、山田社長は冬場のストック生産は、スプレータイプではなくアイアン(1本棒スタイル)に絞っています。スプレータイプはボリュームが求められますが、アイアンであればそれほどボリュームは求められません。

ん?でも同じ館山市内でも神戸(かんべ)の共撰のみなさんはトルコギキョウとストック(スプレー)を作っていらっしゃいますよねOo.(・-・`)??

山田社長「神戸はもともと田んぼだったところが多いんですよ。だから肥料持ちがいいところが多いので、スプレーも比較的作りやすいんです。だけど西岬はどこもだいたい砂地なので、ストックはアイアンに絞っているところが多いんですよ」

適地適作で、それぞれ土地に合っているものを作っているということなのですね。

「この条件でできる品目を一生懸命生産して増やしていくというのが、ウチの生きる道かなと思っているんだよ」

いや、それにしてもこの砂よ。

砂砂しすぎて、ヤマキさんの軽トラは四駆。

「四駆じゃないとタイヤが潜って出てこられないんですよ」
↓四駆の軽トラを停めて出てきた跡。

ヒマワリの生産圃場で砂風呂できるんじゃないかって、ウン探は思いました。

こちらがサーフィンやダイビングで有名という平砂浦(へいさうら)。ヤマキ花卉園さまの“ほぼ庭”とでもいえるくらいの至近距離にあります。無限砂地やね。

生活される方は、むしろこの砂にご苦労されることが多いのではないかと思いますが、生産者のみなさまは、よくヒマワリという品目に出合って、本当に立派な産業を築かれたものだなと感心してしまいます。

★華奢で黄色くて根が張らないほうがいい!?逆張りの常識
そんな砂地で生産するヒマワリの圃場はこのような様子です。

なんだか黄色っぽい葉がたら~んと下を向いて、透明になってしまいそうなほど茎葉の色も薄くて、大丈夫?ってほど華奢な感じですが・・・( ´・ω・)ノ“

「ヒマワリは茎は細くて青々としていないもの、葉っぱは大きいものより小さいものがいい。小さくて黄緑色がベストなんだ」

青々としていなくて黄色っぽくて、茎は細くて華奢で、葉は小さいもの正解ってこと?
通常の花づくりと逆な感じに聞こえますが・・・まさかの逆張りがヒマワリの常識?

ヒマワリは栄養が良くて青々と大きく育つと日持ちしないんだよ。
栄養は水と一緒に吸収するので、できるだけ水を切ることで栄養も切る。栄養失調気味に見えるかもしれないけど、そのように栽培することが強くて小輪、日持ちする良いヒマワリを作るコツなんだよ」

例えばですがご覧ください、この2本のヒマワリ!↓

これ同じ圃場で栽培した同じ品種のヒマワリです。頭の大きさも茎の太さ細さもまるで違います。一つは茎がスレンダーで色も黄色っぽくて(写真では白っぽく映っていますが)、葉の存在感は薄く、根の張り方もちょろちょろって感じ。

もう一つは青々として、茎もずっしりがっしり、葉の大きさもシソ葉のような印象です。根張りも立派!急に立派ですよ、コレ。これは肥料もよく吸いますわ。

んで、ウンチク探検隊をご愛読くださるみなさまへクイズです(σ´∀`)b
どちらのヒマワリが日持ちすると思いますか?

チチチチチチチチッ・・・thinking time・・・

もうおわかりですね!正解は、茎が細くて黄色いヒマワリの方なんです!

「ほら、持ってみても、しなりが全然違うんですよ。頭が重い分、しなってしまうんだよ」

( ゚д゚)ハッ!ほんとだ!!
青々と大きい方が、頭が重くなってしまい、茎も水分を含んでいるためかたわんでしまっているではありませんか!これでは切り花として使いにくいですよね。

「そうです。それに、青々と大きい方が花が散りやすく、茎も腐りやすいため日持ちも悪くなってしまう。水と肥料が多い方ががっしり育つけど、切り花には向いていないということ。ヒマワリはいかに根を張らせないかが勝負!

ヤマキさんのヒマワリは引っこ抜きますと、スルスルッと根っこの先の毛細血管のようなところまできれいに出てきます。

これが根の張りがいいと、根が途中でプチプチ切れたり、引っこ抜けなかったり。スルッと抜けるのは根張りが貧弱な証ですね←イイコト◎ホメています。

圃場の中で若干成長の差が出ているのは、例えば、雨水がハウスの側面から入ってきて、肥料を吸いやすくなってしまったとか、ストックの肥料が残ってしまったときなど、ちょっとした理由で肥料持ちが良くなってしまう部分があるため。

 

「でも、こうしていったん土の中の肥料を吸ってくれているので、次に播種した時は肥料がない状態で栽培できるんだ。
また、肥料が少ないヒマワリは、芯が小さくて花弁が長い傾向に、逆に肥料が多いと、芯が大きくて花弁が短い傾向になる

つまり、真ん中の黒目の部分が小さくきゅっと締まり、花弁が大きく開く傾向になるということ。
こんな感じ↓

(写真はヤマキさんのSNSより)

 

山田社長は、「美しいヒマワリ」を定義する際、芯と花弁の黄金バランスを重視しています。だれもが理由なく美しいと感じるヒマワリを追い求めます。
黄金バランスを叶えたこのヒマワリは、ヤマキさんのトレードマークといえるかもしれません。

ちなみにヤマキさんのロゴマークはこちら。

ヤマキ花卉園様を代表するヒマワリのデザインは、青が平砂浦の海をイメージし、自然の恵みへの敬意を表しています。柔らかな葉の形は人の手による丁寧なケアと、花一本一本を大切にする誠実さ、さらにヤマキさんから出荷された花が多くの人々の手を経てお客様のもとに届くことへの感謝を表しています。

★ヒマワリ生産は切り前が100%~出荷準備!
とまあ、生産についていろいろとレクチャーしていただきましたが、山田社長曰く、

「ヒマワリ生産は切り前がすべて」

※「切り前」とは?:切り花生産の場合、花の開花具合を見て、最適な収穫時期を判断すること。また、収穫時の花の開花ステージを「切り前」と呼びます。

山田社長はなにより切り前が最も重要とおっしゃいます。

その切り前の調整のために建設したのがこの出荷場(2019年設立)。

例えば、このくらいの堅さで切り前で収穫してきたものが、

 

こちらで出荷までの次のような工程が行われます。

1:脱葉(だっぱ)

2:選別(せんべつ)

3:結束(けっそく)

4:保管(冷蔵庫or常温)

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

1:脱葉処理
ヒマワリの茎は細く繊細なので、機械で脱葉するのは不可能ではないにしても、なかなか難しいことです。お線香を取り扱うイメージとでも言ったら伝わるでしょうか。何しろ切り花のヒマワリは、庭に生えているヒマワリとは別物。

「脱葉は人海戦術でいくしかないんです。でも脱葉を失敗すると茎の下の方まで繊維を引っ張ってしまったり、茎を折ってしまったり・・・そうなると商品になりませんから、丁寧に1本ずついくしかないんです。特に花の顔回りにある上の方の葉は、茎を優しく抑えて丁寧に取り除いていく必要があります」

わー、高い集中力が必要とされる作業ですね。この脱葉処理を多い人で1日に1,000本くらい行います。

茎の下の方の葉は数本を束ねて一気に取り除けますが、上の方がほっそい茎を折らないように、傷めないように、集中して一つずつ取り除かないといけないのです。手作業で何枚も何枚もです。

今年の母の日前は、ヤマキさんの総力を結集して、20人で17,000本/日を脱葉しました。17,000本のヒマワリを1本1本脱葉するって、気が遠くなる~(@ࡇ@;)

脱葉作業終了次第、裏のドアが開いて切り取った茎葉処分のため搬出。

あっという間に片付いて、ゴミも裏から搬出して作業場はきれいにゼロ地点に戻り、翌日の作業に向けた準備を整えます。

排水溝もあり、自然に水が流れ出るようになっています。

作業場の清掃・清潔が効率的に徹底できるようしくみが整えられているのです。

2:選別
脱葉処理が終了すると、今度は選別作業です。秀品(一級品)と良品(その次)とに選別しています。

どこを見ていらっしゃるのでしょうか。
「葉や茎です。

葉茎の緑色が濃いと良品になりやすいのでそれを見ています。色が濃いと柔らかくなりがちで日持ちしません」

そうそう、ヒマワリは逆張り。葉は黄色くて小さい方が◎、茎は華奢な方が◎でした。

3:結束
選別が終わったら10本束に結束して、スリーブに入れて出荷用バケツに。

4:冷蔵庫へ
温度10℃の冷蔵庫に入れて、開花を抑えつつ出荷まで管理します。

この冷蔵庫・・・ていうかもはや冷蔵室というほど大きいのですが、ここも2019年に出荷場とともに設計、設立されました。通常の冷蔵庫では湿気がたまりやすいので、冷蔵庫といえども湿度が上がらないように専用のヒートポンプ2台完備。

「でも、何でもかんでも10℃の冷蔵庫に入れているわけではないんだよ」

ヤマキさんは切り前や天候、出荷日によって保管温度を変えています。
「理想は市場到着時に五分咲き」
五分咲きってこのくらい↓

「とはいえ、どうしても大きい輪のものは咲きやすいですし、切りそびれてしまったものは開花が進んでいたり、いつも理想を実現できるとは限らないけど、できるだけ理想に近づけるように調整しているんです」

とはいえ、一筋縄でいかないのが「市場着時五分咲き」セオリー。調整は困難を極めます。考慮すべき要素は、天気(及び天気予報)、気温、湿度、出荷日までの時間、品種の性質(同じ切前でも、開きやすいものとそうでないものがある)など、総合的に環境や品種特性を加味して、ヒマワリの表情とにらめっこ。

 

例えば取材訪問日は、曇天で最高気温が20℃くらいの月曜日だったので、少し甘め(つぼみゆるめ)で収穫。市場販売日は2日後の水曜日なので咲き進まないよう10度の冷蔵庫で保管するといった具合に、切り前を調整していくのです。

あるいは、暑い時期や花を切らない日があると、咲きすぎを防ぐために、花を早めの段階(固め)で切ることがあります。この場合、少し花を咲かせてから出荷する必要があるため、10℃の冷蔵庫ではなく、この常温の環境で管理します↓

常温といってもエアコンと扇風機完備。

花シミが出ないように、空気を常に動かして、温度も湿度もコントロールしています。

こちらが切り前確認表。これで切り前の緩め固めの確認をして、従業員さんに指示を出します。

山田社長曰く、「ヒマワリは切り前との闘い」

咲きすぎはボツ、固すぎのツボミはすぐに使えずクレームの対象になりかねません。ヒマワリ出荷の難しさがここにあります。
「花弁が開いてしまったら輸送中に傷つきやすくなってしまうでしょ。これだけ固くても市場に着くころには、きちんと開花しています」

ヒマワリの開花をいかに読むか、それが勝負どころです。

ちなみに、こちらはヤマキさんのユニフォーム。明るくて素敵なデザインですね。

笑顔が素敵な美人さんばかりで、本当は写真掲載させていただきたかったところですが、美人すぎて芸能プロダクションにスカウトされると、山田社長が困ってしまうのでやむなく割愛。

★自称「日本一顔の広い◎◎!?」
山田社長は、お父様の滋さんが共撰からご出荷されていたこともあり、ご実家で生産に携わり始めた2013年は、西岬の共撰に入ってヒマワリを出荷していました。

「その時は、従業員は3-4人だったんですよ。残業も多かったし、なかなかパートさんを募集しても来てもらえなかったりね」

そこを変えようと思ったのが山田社長。

「まずは人に来てもらわないと事業として持続性がないから、どうすれば安定して従業員さんに来てもらえるかを考えました」

考えつつ2年ほど共撰からご出荷。2015年に共撰から独立して株式会社を設立。2019年には前述の出荷場も建設しました。
ところが、2019年に「令和元年房総半島台風」が襲来。この台風は、関東地方に上陸したものとしては観測史上最強クラスの勢力で、千葉県を中心に甚大な被害をもたらし、激甚災害に指定されたほど、房総半島一体に大きな爪痕を残していった台風です。

「この台風襲来で資金繰りの大切さを痛感して、経営を学ぶようになったんですよ。それ以来ずっと勉強していますよ」

いまや従業員さんは繁忙期でも基本残業なし!(朝は基本早いとはいえ)
すごい!優良企業ですね。
社長室に飾ってある従業員さんの全員集合写真↓

残業が多くて人が来なかったとおっしゃっていたのに、すごいですね!いまや20人以上の雇用があり、離職率も比較的低いといいます。
そして経営者11年目の今年、どのようなことに注力されていますか?

「自分がいなくても、会社がまわるように仕組みを整えています。
万が一、自分になにかあったとしても、これまで私自身がやっていたことも一つ一つの作業を細かく分けて出来る人を増やして、さらに栽培もデータで記録・共有しているので大丈夫」

山田社長、経営はどこで学ばれたのですか。

「他業種の経営者セミナーがあって、そのようなセミナーに参加しつつ人脈も広げて、いろいろな人から学ばせてもらっているよ。
最近はセミナーに参加して学ぶ側から、セミナーを企画する側としてあちこち奔走しているよ。つい先日も、セミナー開催実行委員長として500人規模の人が集まるセミナーを企画したり。人に会いに行って学びを得ることが重要だからね」

とりわけ、35歳以下の若手生産者を集めて行う勉強会を「35会(サンゴーカイ)」と名付けて、若手の学びの機会を創出しつつ、ご自身の交流を広めています。ヒマワリだけでもなく、農業だけでもない視座の高さを持ち合わせていらっしゃいます。

「自称、“30代で一番顔が広い生産者!”です」

おうちで生産される前は何をされていたのでしょうか。
「大田花きにいました。大田花きで4か月して、2か月仲卸の大森花卉さんで研修しました」
ではその前はどのようなお仕事をされていましたか。

「大学生でした」

そんなにお若いのでしたか?
「34歳です」

えーΣ(oдΟ;)まさかの展開!視座の高さと貫禄から、そんなにお若いと思いませんでした。ビジネス界のいろんな方とお会いされているからこそ、この落ち着きと貫禄でしょうか。いやもう皆さんが山田社長とお会いしたらわかります。風格と存在感が一段上。いやもう全然上。このしっかりとした体躯も理由の一つでしょうか。

「中学の時から農業やると決めていましたが、サッカーに集中していて、日体大に行ったんですよ」

山田社長は日本体育大学体育学部体育学科卒・・・ってゴリゴリの体育会系じゃないっすかー。そしてサッカー部。ポジションはセンターバック(ディフェンス)。

「“俺にツイテコイ”タイプではなく、全体を観察しつつ、こうしてください、あーしてみませんかと指示を出して、全体をよくしていきたいタイプですね」

さらに在学中は、もし農業をやらないことになったら教師になろうと教員免許を取得。
サッカーのポジション、会社の経営、もしかしたら体育教官だったかも・・・なんていう共通点を考えると、全体を見ながら指示を出して、組織全体を最適化に導くのが山田社長の強みなのかもしれません。

経営理念はこちら。

有言実行の山田社長は、「人を大切にして~」の経営理念の通り、なんと2月14日のフラワーバレンタインには従業員のみなさんに花束をプレゼント!しかも社長自らお手渡しで♡

(写真はヤマキ花卉園様のfacebookより)

facebookの写真には「社長に大事にされています」とコメントが添えられています。さらには、体育会系の山田社長が若潮マラソンに参加されたときには「山田桂社長、ガンバレ」と横断幕が張られたり。

山田社長、愛されていますな~!.゚+.(´∀`*).+゚.

そんな様子はヤマキ花卉園様のfacebookInstagramでご覧いただけます。

山田社長曰く、良くしていきたいのは会社だけでなく、業界全体だと。

「明るく行こうよ!物日はお祭り!明るくなければ後継者もできないし、産業の持続性もない。楽しくやる方法を探しましょう。」


★最後にこぼれ話★

なぜ山田さんなのに「ヤマキ」花卉園さんというお名前なのでしょうか。

それは「喜平(きへい)」という屋号に由来しています。その昔、野菜を出荷するのに「ヤマキ」という屋号を使っていたそうです。

というのも、ヤマキさんのこの地域では山口さん、山崎さんなど、山●さんという苗字が多く、山田さんだけでも何軒もあり、山田さん違いも日常茶飯事。
そこで、独立するときにブランド化の重要性も考慮して、喜平という屋号と山田を合わせて「ヤマキ」としました。明るくて素敵な響きですね。

★山田社長から生活者のみなさまへメッセージ
「ヒマワリに限らず、花を生活に取り入れて、楽しんでいただきたいと思います。
多くの花は“癒し”になりますが、ヒマワリは(癒しよりも)“元気が出る花”として皆さんを励ましてくれると思うんですよね。ですから、ぜひ元気が出る花ヒマワリも上手に活用してください」

“自分の機嫌は自分でとる”時代。ぜひ自分のご機嫌取りにヒマワリを活用していただきたいと思います。

★ヤマキ花卉園様の格言
・ヒマワリは切り前が100%。「市場着五分咲き」を目指すべし!
・ヒマワリ生産はいかに肥料と水を切って、根を張らせないかが勝負。逆張りの法則で、日持ち抜群のヒマワリを出荷すべし!
・適地適作が大原則!砂感ハンパなく、アルカリ性のこの地でも生産できるベストな品目こそ、ヒマワリであった~!
・経営は人が働きたい、継ぎたいと思える仕組みを整えるコトが重要なり。
・みんな明るくいきましょ!業界をよくしていきましょ!

illust2960
文責・写真:内藤育子@大田花き花の生活研究所一部の写真は、ヤマキ花卉園様にご提供いただきました。