Vol.144 花百姓ツムラ様:長野県 トルコギキョウ

新幹線を降りたウンチク探検隊隊員を迎えてくれたのは、馬に乗ったこちらの人物。

右手をグッと掲げる姿はなんだか強そう!だけど…どなた??

「日本一の兵」(ひのもといち の つわもの)と言われるほどに名高い戦国時代の武将、真田幸村!と、真田軍が身に着けていたと言われる赤い鎧。

真田幸村は、徳川軍が豊臣軍を滅ぼした大坂の陣に豊臣方として参戦し、徳川家康をあと一歩のところまで追い詰めた勇猛果敢な人物です。

ここはそんな真田氏発祥の地、長野県上田市。

 

上田駅の周辺には、真田氏の家紋である六文銭(六連銭)のマークがたくさん見られます。

バス停の下や、

時計の下にも六文銭。ちなみにこの六文銭は、三途の川の渡し賃として棺の中に入れるもので、「武士が戦いに挑んでは生きて帰れぬもの」という強い意志を表しているのだそうです。

いやそれにしても、あっついな~😵💦 取材に訪れた日の気温は、写真の温度計の通り35℃。早く涼しい「菅平(すがだいら)高原」に行かなくちゃ!

え、なぜ菅平高原かって? それは、今回取材させていただいた生産者さま「花百姓ツムラ」の津村さまが、トルコギキョウを生産されていらっしゃるからなのです!

お待たせしました、よーやく本編!ご覧ください、このフリフリで美しいトルコギキョウ!!

トルコギキョウは周年流通していますが、その旬は夏で、最も流通量が多いのが9月です(大田花き2023年度)。

そしてこの夏の時期に流通量がダントツ多いのが長野県。その数およそ70万本!

津村さんのトルコギキョウは、「大田花きでもトップクラスの品質、花持ちをほこり、花の立体感やパンチ力がある!」と営業担当から太鼓判を押され、さらに仲卸さんからも、「ボリューム感があって見栄えが良くて、人気抜群ですよ。夏のトルコギキョウと言えばツムツム(津村さん)!」とお墨付き。

こんなに推されているなんて、津村さんのトルコギキョウの品質の良さにはどんな秘密が隠されているのでしょうか!?今回はその秘密を探りに行ってきました。

花百姓ツムラさまのある菅平高原までは、東京駅から上田駅まで新幹線で1時間30分。上田駅からは車で40分ほどの距離にあります。

どんどん山道を登って、標高は1,257mに到達!

さらにもう少し登って行くと、ご覧ください。青い空に広がる山と畑の高原風景。風が気持ちよくてすがすがしいナ~~!

菅平(すがだいら)だけに!!

・・・・・・・、はいっ!今ので気温が10℃下がりました🥶

なんと菅平高原は8月の真っ昼間でも気温は25℃。

夏でもこの涼しさなので、夏はラグビーやサッカー、陸上、冬はスキーなど様々なスポーツの合宿場としても有名です。取材に訪れた日もラガーマンたちが練習に励んでいました。

そして!大変長らくお待たせしました。真田幸村のように、はたまたラガーマンのようにがっしりと強そうで、しかもとてもお優しい、こちらの方こそ「花百姓ツムラ」の津村和正(つむら・かずまさ)さんです。

腕を組んでいるだけなのに、前腕の筋肉ががクッキリ!日々のお仕事の賜物でしょうか。

■基本情報:花百姓ツムラさま

場所:長野県上田市菅平高原

生産品目:トルコギキョウ(メイン)、ブプレウルム、シャクヤク、アスチルベ、アマランサス、レタス(野菜)

生産面積:トルコギキョウのみで約800坪強。大きめハウスが5棟と小さめハウスが4棟(25 mプール6~7面分の広さ)

年間生産本数:トルコギキョウ約3.6万本

出荷時期:6月から10月まで(トルコギキョウは8月から9月)

労働力:ご家族と時期によってお手伝いの方、合計5名

標高:約1,300 m

 

早速ハウスへ案内していただきました。5棟のトルコギキョウハウスは苗を植える時期をずらすことで、8月出荷と9月出荷に調整しています。

それにしても、菅平高原は空気がきれいで涼しいですね。

「そうだね。ここはおそらく日本のトルコギキョウの生産地の中で、一番標高が高いかもしれないね。涼しいところでゆっくりと育つから、その分締まった花になる。良い花は私が作るんじゃなくて、菅平の気候が作っているんですよ。私はまだまだですよ。」

と、いきなり品質の良さの秘密を教えてくださると同時に謙虚な姿勢のツムラさん。農業を始められて14-15年目だそうですが、

「まだ小学生みたいなものだから。もっと良いものを作りたいね。」

真摯にトルコギキョウの生産に向き合っている方だとお見受けしました。

ハウスの中を見せていただくと…

トルコギキョウがびしーーーっときれいに整列しています。それにハウスながーーーーいっ!奥が見えません。

「ハウスは長いもので70 m、短いもので60 mくらいだよ。長く作ることで、妻面(ドアを設置する面)の部品を減らして、できるだけコストを削減できる。建てた当時の農協の技術員の方が教えてくれたんだ。」

このハウスを建てた場所は、もともと津村さんのご両親が野菜を育てていた畑だったのだそう。そのまま野菜にはしなかったのでしょうか?

「私も子どもが生まれてね、農業で食べていくなら、野菜だともっと畑の面積が必要だと思ったんだ。それにウン千万円もするトラクターも必要だから、コストがかかるなぁと思って。それで他に何ができるかと考えたときに、ふっと思いついたのが花だったんだ。」

なるほど、花ならトラクターは必要なく、ご両親から受け継いだ畑で栽培を始めることができたのですね。

どうしてトルコギキョウを選んだのですか?

「単価が高いからと思ってね。花を作り始めたころ、いろいろ選択肢があったんだ。まず初心者はカーネーション、トルコギキョウ、スターチス。カーネーションは芽かきがあるから敬遠したけど、トルコギキョウを始めてみたらトルコギキョウも芽かきがあったんだ…(笑)」

この芽かきこそ、品質の良さの秘訣であり、一方で津村さんが最も心を砕くことなのです。

★高品質の花の4つのワケ

その① 潅水管理

だいぶ土が乾いているように見えますね。

「そうだね。花が咲くようになると水を切るんだよ。すると花首が硬く締まった良い花ができる。水をやりすぎると花首が柔らかくなって曲がってしまう。大体花を切り始める1週間以上前から水を止めるんだよ。」

圃場の花はどれも大きく、かつまっすぐに伸びています。水を切ることでしっかりと締まった茎が花を支えているのからなのですね。

その② 温度管理

「温度も大事で菅平の昼夜の寒暖差が良いみたいなんだ。この時期(8月中旬)夜は低くて14℃、昼間のハウスの中が40℃くらい。」

畝に刺した温度計を見ると、外気は約40℃、地温は33℃を示しています。

普通、真夏にハウスに入ると、まるでサウナ状態。入るだけで汗だくだく状態になってしまいます。

しか~し!津村さんのハウスは、側面のビニールを開放することで風が通り、40℃とはいえ、立っている分には汗もかかず、なんだか涼しいのです。

「できるだけ涼しくしたいんだ。品種にもよるけど、暑けりゃ暑いほど早く育って丈が短くなってしまうからね。」

植物は絶えず呼吸を行い、成長に必要なエネルギーを消費しています。昼間は光合成をすることでエネルギー源を生成する一方、夜に光合成は行いません。夜間の気温が高いと呼吸量が増えるため、消費するエネルギー量も増えてしまいます。でも、津村さんのハウスは夜間の気温が低いので、エネルギーの消費量が少なく、その分花の成長や開花にエネルギーを使うことができるのです。

その③ 日照量の管理

「日の光で葉や花が焼けてしまうことがあるんだ。日に焼けると葉が縮れてしまったりね。だから、寒冷紗(かんれいしゃ)をしているんだよ。でも、あまり日陰にしすぎると今度は蕾が育たないんだ。」

寒冷紗とは、強い日差しや冷気、害虫などから作物を守るために使われる農業用被膜資材です。

「このNFカシスという品種は、日に当てると花弁がさらに濃い色が出るんだけど、当てすぎると日に焼けるからバランスが難しいよね。」

品種によって発色の仕方や、成長するサイズは様々なので、品種一つひとつの特性を見極めながら、潅水や日照量を調整するのです。

これら水、温度、日照量の管理をするための立役者が、マルチシートと呼ばれる畝を覆う白いシート。白だけでなく黒いマルチシートもあって、マルチの色で効果が変わってくるのだそう。

「白いマルチシートは、熱を吸収しすぎないから地温を極端に高く上げないようにできるんだ。ほかにも水分の蒸発を防ぐことで、水を切ってもある程度保水できたり、雑草防除したりする役割があるよ。黒いマルチシートだと熱を吸収するから、ここで使うのは白。8月、9月になってくると日中の気温が高くなるけど、土がなるべく熱を吸収しないようにね。」

マルチシートはまさにマルチな活躍しているのですね~。

ちなみに、このマルチシートに空いた大きな穴と小さな穴。これらはドリルを使い、全て手作業で開けていくのだそうです。

え~!等間隔だし最初から開いているものだと思っていました…。

「もともと穴が開いているものもあるんだけど、コスト削減のためだね。」

簡単におっしゃいますが、苗一つにつき大きい穴一つなので、大きな穴だけで4万個近く。小さな穴も含めると、100万個くらいありそう!苗を植える前の準備から途方もない作業ですな…😲ですがそれ以上に途方もなく、津村さんが最も心を砕いているのが芽かきと摘蕾。

芽かき・摘雷とは、必要な枝や花に養分を送るために、不要な脇芽や蕾を取り除くこと。草姿を整え、過密に伴う害虫の発生を抑制する効果もあります。この作業をするからこそ、ボリュームのある大きな花に育つのです!!

その④ 芽かき・摘蕾

津村さんのトルコギキョウの特徴は、枝1本につき1つの花を付け、それ以外の蕾は取り除く「コサージュ仕立て」と呼ばれる仕立て方です。一輪に栄養を集中させることで、より大きく日持ちも良い花に育ちます。

そもそもトルコギキョウ業界における「コサージュ」は、長野県の育種家である中曽根 健(なかそね・けん)氏が育種したフリンジ咲き品種(NFシリーズ)を、長野県の株式会社フラワースピリットさんが最高のパフォーマンスで育て上げるために提案、定義した「コサージュ仕立て」によって作られたもの。つまり「フリンジ咲の八重大輪トルコギキョウ」の総称です。花弁の縁が波打つようにフリフリして、ボリューム感のある豪華な品種です。

津村さんはこのNFシリーズ(コサージュ仕立て)をメインに生産・出荷しています。

「理想としては、4輪大きな花を残したいんだよ。だからまず段取としては、枝を4本にしておけば楽だね。枝が5本も6本もついていると、その分脇芽もいっぱい出てくるからね。」

実際にパキパキと不要な蕾を取りながら説明してくださる津村さん。

「それで枝を取って4本にすると、今度は取ったところから脇芽が出てくるから、その脇芽を取っていくんだ。なるべく大きい蕾を残して1輪にするんだよ。」

苗1本ごとにそれぞれの生育状況を見ながら、不要な脇芽や蕾を取っていくのですから、枝だけでなく、骨も折れますね…🦴

1つのハウスだけで苗は約6,000本。そのハウスが5棟以上。芽かき・摘雷はとってもとっても根気のいる作業なのです。しかも!植える苗には大きいものから小さいものまであり、サイズが必ずしも均一ではありません。そのため同じ環境で育っても成長速度にバラつきがあるのだとか。

「そろそろ蕾を取ろうか~と思っても、成長度によって蕾を取るにはまだ小さい場合もあるから、同時に全部の苗の蕾を整理できるわけではないんだよ。」

それに!脇芽を取っても、成長するとまた脇芽が出てきます。取っては脇芽が出て、また取っては脇芽が出て…と1本の苗に少なくとも5回以上は手を入れているのです。

「出荷の時期は摘雷に追われてるよ。一年の中で今が一番忙しい。蕾を取らないと栄養が花に行かなくなって小さくなってしまう。できるだけ大きな花を作りたいから、早く無駄なものは取りたいんだけど、それくらい手をかけないと良いものはできないんだよ。」

非常に根気のいる仕立て方で大変ではありますが、とても大事な工程です。

余分な脇芽や蕾は早く取り除き、1輪の花に集中して栄養を蓄えさせることが、ボリュームのある花を咲かせる秘訣なんですね!理解の悪い隊員にも根気強く教えていただきありがとうございます!

ずっとかがみながら作業をするのは大変なので、タイヤ付きの椅子に座って移動しながら蕾を取っていきます。

Before ⇓⇓ 整理する前はこのようにたくさん蕾が付いていますが、

After ⇓⇓ 蕾を取った後はとってもすっきり~!✨花を咲かせる大きな蕾だけを残しています。

津村さんが育てるトルコギキョウ全体のうち、コサージュは約90%を占めています。

このように仕立てが大変なコサージュを作っているのはなぜですか🤔?

それはズバリ!「ボリューム感やゴージャスさ、他の花と違う魅力をもっているからね」😊

コサージュのトルコギキョウに魅了された津村さん。生産仲間にコサージュの生みの親、中曽根さんを紹介してもらい、アドバイスをいただいたのだそう。

「中曽根さんは花を作るだけでなくて開発もするでしょ。なかなかできないよね。神様みたいな存在だよ。中曽根さんみたいに作るのはなかなか難しいけど、良いものができたときは嬉しいね。」

細かく手入れを行うことで、大きく、美しく、日持ちのよい花を栽培されている津村さんの花は、市場で高く評価されています。

★品種構成

品種構成はどのように決めているのですか?

「好みだよ」(即答)

「一番は白がベース。それから作ってみて作りやすいものや良かったもの。各メーカーの展示会で展示されている花を見て選んだり、あとは、みんなが言う花の形が良いね、とかフリンジが強いねというものも選ぶようにしてるよ。」

まずは津村さんの好み。その中でご家族の意見も取り入れているんですね。

白色は結婚式やお葬式で欠かせない色ですし、他にも可愛らしい色合いが多くて品種を選ぶセンスも素敵です!

「私はセンスが良いわけじゃないから、みんなの意見を取り入れています。自分で選んだ品種はあまりニーズがなかったりするんだよ(笑)」

「時期によっては、暑いとピンクの気分ではないとか、紫が良いとか、秋になると茶系が良いとか、いろいろな要望があるから、それに合わせて考えてもいるんだよ。ピンクもいろいろあるでしょ?暑いと濃いめのピンクはあまり売れないんだけど、ブライダルでは濃いピンクも欲しがる。だから売れ筋も考えながら選んでいるんだ。」

津村さんの育てるトルコギキョウの品種数は少なくとも10以上。毎年20%ほどは新しい品種を取り入れ、最近人気の色やマーケットの要望を考えながら、絶えず新陳代謝を図っているのです。

品種名:NFメロディ ⇓⇓⇓

品種名:NFラベンダー ⇓⇓⇓ 人気のラベンダーカラー。NFラベンダーシリーズにはタイプが1-8型まであり、少しずつ色の淡さが異なります。需要に合わせて3段階のラベンダー品種を導入しています。

品種名:NFマンゴー ⇓⇓⇓

品種名:NFカシス ⇓⇓⇓ こちらが日照量によって花弁の色を調整している品種

品種名:NFアッシュ ⇓⇓⇓ 流行りのアンティークカラーを導入

品種名:NFケイト ⇓⇓⇓ 新しい品種。今は咲き始めなので緑っぽいのですが、さらに展開すると薄いピンクになります。

品種名:NFシュガーホワイト ⇓⇓⇓ こちらが津村さんのお気に入り。

「こぉんなに白くて形も色もきれいな品種があるのか!ってね。ずっと作っているけど、どんどん改良されて枝が増えて作りやすくなったよ。」😄

★出荷のこだわり

8月~9月にかけてトルコギキョウはどんどん花が咲いてくるので、日々、芽かき・摘雷⇒採花⇒下葉取り・長さ調整・水揚げ⇒箱詰めに追われています。

こちらが選花場に持ち込まれた花

不要な下葉を手際よく取り除きます。

作業台のカラフル線はペンキで塗った長さの印。この線に沿って長さを揃えます。

花弁が傷つかないように透明のフラワースリーブをかぶせて、

出荷まで抗菌剤と栄養剤が入った水に入れて保管しておきます。フラワースリーブに書いてある線は色別に輪数を示しています。緑色の線が4輪、青色の線が3輪。市場には輪数ごとに区別して出荷するので、箱詰めの時に間違えないようにするためです。

そして花を詰める箱がこちら!

ツムラさんの箱であることは一目瞭然。よ~く見ると、黒文字の「ツムラ」の奥が透けて見えるのが分かりますか?そう、これインクではなく穴が空いているのです!

「この名前の字抜きはこだわりだよ。通気性が良いようにね。抗菌剤と栄養剤入りの水に入れて出荷するんだ。」😉

最後まで品質に配慮された津村さんのトルコギキョウ。おかげでこの暑い夏にもかかわらず、津村さんのトルコギキョウは隊員の事務所で2週間以上花首が曲がることなく、きれいに咲き続けてくれました。

飾り始めて12日目

飾り始めて2週間以上経ってもなお、萎れることなく咲き続け、空間を明るく、心を癒してくれました。

秋の涼しい季節になってくると、抗菌剤・栄養剤入りの水に生けておくことで、津村さんの家では1か月近く花が持つこともあるのだそう。

「どんどん買ってもらえたら嬉しいです。抗菌剤、栄養剤入りの水に生けたら、あまり水替えしなくても良いですし。でも、花が長持ちする方が売れない気もするけどね(笑)」

いえいえ、花持ちは花を買ううえでとても!超!重要視されている項目です!生活者の心を癒し、ながーーーく楽しませてくれる津村さんのトルコギキョウ。そこには津村さんの日々の細かな管理と根気強いお人柄が隠されていたのでした。

★おまけ① 津村さんはスキー学校の校長先生だった!

津村さんが子どもの頃の遊びといえばスキーだったのだそう。

「歩けるようになると、スキー板を履かされていたよ。」

なんと早ーい!😲それって1歳~2歳くらいですよね??もはやスキーの英才教育を受けている感じですね。

幼いころからの経験を活かし、大人になってもスキーを続けたいと思った津村さんは、春~秋は農業、冬はスキー学校の校長先生とハイブリッドな生活していらっしゃいます。

「1年中花をやっていると大変かも(笑)気持ちが切り替わって良いね。」

しかしスキー学校の校長先生をされてきたからこそ、教え方がお上手で、丁寧に根気強く教えてくださったのかということ、そしてたくましい筋肉をされていることに納得しました。お忙しい中本当にありがとうございました!

 

★おまけ② トルコギキョウの花は合弁花だった

津村さんのトルコギキョウはボリューム感がスゴイのですが、花弁はいったい何枚あるのかと気になった隊員は花を分解してみることに。

品種名:NFピンクフラッシュ

 

すると、トルコギキョウはこのように花弁がつながっている合弁花であることを知ったのです!(一部切れてしまいましたが)

そういえば、トルコギキョウの花弁が散る姿って見たことなかったなぁ。

合弁花は、花弁組織と花弁の間の組織がどちらも伸びたことで、もともとは離れていた隣り合う花弁が癒着してできたと考えられています。そのため数え方は1枚ではなく、もともとの枚数で数えるのだそうです。トルコギキョウの花弁の分かれ目を見ると5枚に見えますね。

写真が見えづらくすみませんが、5枚の花弁が3層になって、フリンジの効いた花弁が立体感とボリューム感を生み出していたのですね。

※ちなみに写真下段の紫色のトルコギキョウはディーンという品種で、他の生産者様のトルコギキョウです。

以上、おまけでした。

【花百姓ツムラ・津村和正さまの格言】

・菅平の涼しい気候を十分に活用せよ!

標高およそ1,300 mの涼しい環境で十分にエネルギーを溜めて育ったトルコギキョウは、花持ち抜群!長期間楽しむことができます。

・いえいえ、菅平の気候だけではありません!根気強い管理が高品質の秘訣!

気候条件を上手く活用しながら、温度、潅水、日照量、芽かき・摘雷と、品種によっても異なる生育を根気強く手をかけながら育てることによって、花首が硬く締まり、ボリュームも発色も良いトルコギキョウを作っています。

・マーケットが求める品種を、マーケットが求める品質で作ろう!

津村さんはトルコギキョウ全体のうち、20%は新品種をテスト的に導入しながら、マーケットの需要に応えようとされています。トルコギキョウの中でもコサージュをメインに手間暇をかけて作った津村さんの花は、バイヤーさんからも日持ちやかわいらしさが高評価です。

・春から秋は農業、冬はスキーのハイブリッドスタイルでいこう!

その季節でしかできない仕事を組み合わせ、農業とスキーの先生をされている津村さん。2つの違う仕事をすることで、それぞれの仕事に良い刺激を与え合うこともあるのかもしれません。

 

素晴らしい品質のトルコギキョウ生産の裏には、地の利を上手く活用するだけでなく、津村さんの丁寧な管理と根気強さが隠されていました。新陳代謝を図りながら選びぬかれた品種はどれも美しくセンス抜群。高い高い山の上からやってきた、暑い夏でもなが~く楽しめる津村さんのトルコギキョウ、ぜひご利用ください★

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文責・写真 くらみつ・りか@大田花き花の生活研究所