Vol.141 上野緑風園様&安田洋ラン園様:徳島県 切花シンビジウム

みなさま!この度産地ウンチク探検隊に新隊員が加入いたしました(`・ω・´)ゞ!
今回は新隊員による初取材・初執筆でございます。
生産者さまの魅力を伝えられるよう頑張りますので、これからどうぞよろしくお願いいたします!

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今回ウン探の新隊員が訪れたのは徳島県。

名物阿波踊りの像はすっかりクリスマス仕様になっていました。

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あれ?様子は変わっているけどこの阿波踊りの像、見覚えがある…?

そうなんです。実は今年の4月にもシンビジウムの取材で徳島県を訪れていました。
その時の様子はこちら

じゃあ今回の目的は・・・?

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じゃじゃ~ん、もちろんシンビジウム☆

今回は徳島県シンビジウム取材の第2弾。実は12月こそシンビジウムの出荷の最盛期なんです!!

月別

しかも徳島県は春だけでなく、出荷量が最大になるこの時期も国内出荷シェアNo.1!

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大田花き営業担当のヒラカワ曰く「大田花きでトップクラスの品質。ブランドとして確立されています。」

大田花き元営業担当のキウチ曰く「見た瞬間良いものだって分かるよ。株の勢い、葉のツヤ、花がぐっと伸びていて元気が良いから!」

これは出荷数量もさることながら、良い品質の花を作るための秘訣があるに違いない…!
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ということで、徳島県シンビジウムの高品質の秘訣を探るべく今回は2軒の生産者さまを取材してきました。

1軒目:上野緑風園(うえのりょくふうえん)さま
阿波踊り空港から車で約50分。山と鮎喰川(あくいがわ)に囲まれた空気がきれいな名西郡神山町、こちらに「上野緑風園」さまがあります。

神山

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上野さんの圃場の近くを流れる鮎喰川。
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有限会社上野緑風園代表取締役の上野雅弘(うえの・まさひろ)さん。御年60歳の還暦を迎えました。

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■基本情報:有限会社上野緑風園さま
生産品目:シンビジウム(切花)
生産面積:約4,000 m2、ハウス約20棟
労働力:上野さん、社員さん1名、パートさん1名の合計3名

上野さんは上野緑風園の3代目。
昭和33年ごろに上野さんのおじいさまがナンテンや黄金ヒバ、イブキなどの花木を栽培したのが始まり。
上野緑風園という屋号は木々の間を風が抜けるような爽やかなイメージがしますよね。

シンビジウムの生産を始めたのはお父様の代で昭和40年頃、当時はスダチやブドウなどの果樹も栽培していました。昭和60年に跡を継いだ上野さんは今年で38年目、シンビジウム生産を専業にしていらっしゃいます。

「ここに建っているハウスは自分で建てたんですよ。昔、花木や果樹が植わっていた段々畑を平らにならしてね。」
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そのためハウスの大きさは少しずつ異なるのだそうです。

さっそくハウスの中を見せていただくと、
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手前から奥までおよそ25m。びしーーっとシンビジウムの鉢が整列しています。

いきなり鉢の中を見せてもらうと、根っこ、太くない(◎0◎)!?
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根の間から白い繊維のようなものがチラリ。

これは何ですか(・・)?

「ロックウールだよ。うちはチューブを鉢に挿して潅水(かんすい)していて、ロックウールだと水が広がりやすいし、病気が出にくい。植え替えの回数も少なくて済むんだ。」
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ロックウールとは鉱物から人工的に作られた繊維のこと。養分や水分の吸収力が高く、通気性や保水性にも優れた培地なのです。野菜ではトマトやパプリカ、花ではバラの栽培で使われています。

このように一鉢ずつに潅水用チューブが挿してあり、温度や気温によって水やりの回数を調節しています。
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なるほど、この培地で育てることで水や養分の吸収を高めて太い根になり、花に栄養が送られているというわけですね。

■大切なのは温度管理
上野さんが生産で一番気を遣うところは育苗。
フラスコに入れて苗を育てるのですが、
「温度管理が大切で18℃くらいが適温。日に当てすぎるのも良くないから、適度な遮光が必要なんだよ。」
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シンビジウムは苗を注文してから花が咲くまで4~5年かかります。
その間適切な温度・湿度・水の管理を行いながら大事に育てられます。
例えば上野さんの圃場では、冬の昼間は25℃、夜は15℃で暖房をかけて加温しています。

「加温機で暖めた空気をハウスの中に循環させるんだよ。」
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このようにハウス全体に温めた空気を循環させることで開花が促進されるのです。

でも温度管理で上野さんは大きな悩みのタネが。
「シンビジウムの生産にはこうやって暖房を使うので、油代で経費がすごくかかるんだ。燃油代は1Lあたり昔の約3~4倍、電気代も上がっていて…。」
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さらに、今上野さんが最も心を砕いていることは、人手不足。
3名で4,000 m2を管理するのは非常に大変なことでしょう。4,000 m2とはバレーボールのコート約25面分です。つまり、1名あたりコート8面以上の広さの管理を担っていることになるのです。
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それでも上野さんたち生産者様は、年内の最も需要がある12月に出荷できるように、夏には山上げを行います。山上げとは夏の高温期だけ高冷地に栽培場所を移して開花を促進する栽培方法。上野さんの場合は2tトラックで3週間かけて鉢を山に運びます。
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秋になったらまた全ての鉢を山から下ろし、冬になると暖房をかけて花が咲くよう管理します。
ちなみにハウスの中の地面に付いているこのパイプのようなものは、台車を入れるためのレーン。
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山上げするときに一鉢ずつハウスの外に運び出すのが大変なので、台車に載せて運び出しているのです。

「労力がかかる生産を3人で続けるのはなかなか厳しいんだよ。」

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一鉢ずつ肥料をやり、潅水用のチューブを挿し、茎がまっすぐに伸びるように誘引し、採花、選別、梱包作業、出荷作業と多くのことをたった3名でこなしているのです。

■きれいだと思うからこそ作りたい
上野さんの代名詞といえば、「スノーフレーク」!フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2013を受賞された品種です°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
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大輪で立体感のある見事な花付きとしっかりとした軸が素晴らしいです!

なぜスノーフレークを栽培し始めたのですか?
「きれいだったからね。」

33年前、シンビジウムの生産で有名なニュージーランドの農場に、お仲間とともに視察に行かれた上野さん。その農場主が経営をおやめになるので、1,000~2,000株、10品種ほどを引き取りました。そのうちの1つがスノーフレークでした。

ところが、じつは花は傷つきやすいし、新しい花芽も付きにくいのだとか(;’∀’)

とても作りにくいため、現在徳島県でスノーフレークを生産している人はほぼいません。
それでも上野さんが作り続けているのは、ズバリお客様の「欲しい!」というお声に応えるためです。

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現在生産している品種はいずれも色がきれいな上野さんのお気に入り。生産を始めた頃、色のきれいなシンビジウムに感動したんだそうです。
上野さんが自信をもって作っている花は本当に美しい姿です。
ブライダルや葬儀の仕事をしているお客様を中心に「大輪でしっかりした作りだ」と評価されています。
栄養と水分を十分に吸収し、適切な温度管理によって手間をかけて栽培される上野さんのシンビジウムは逸品中の逸品なのです。

品種名:スノーフレーク
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品種名:カポレンアイス
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品種名:ウェディング
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品種名:チェルシー
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品種名:ディープインパクト
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さて、2軒目は上野さんの神山町から車で50分ほどのところにある阿南市那賀川町の「安田洋ラン園」様へ。

安田洋ラン園代表の安田均(やすだ・ひとし)さん。59歳。
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安田さんの圃場は海抜2 m、海岸から約5 kmほどのところにあります。
那賀川

圃場の周りには建物がなく、夏も冬も1年中風がビュウビュウボーボーと吹き抜けるふきっさらしの場所にあるため、乾燥がハンパない!
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ですが、その分日当たりが良く日照量もハンパないのが特徴です。
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春に取材で訪れた、うず潮洋ラン園のシンビジウム生産者である小脇さんの圃場から10 kmもないくらいの場所ですが、栽培環境はまったく異なります。

■基本情報:安田洋ラン園さま
品目:シンビジウム(切花)
生産面積:約4,500 m2(バレーボールのコート約28面分)、山上げのハウス約1,500 m2
出荷量:約6万本(年内に約3万本を出荷)
労働力:安田さんと奥様、安田さんの妹さんの3名+繁忙期にはパートさん約4名

安田さんは長年、東京の某大手企業で営業職をされていました。

ところが、「新たなことに挑戦するのが楽しいんです。せっかく両親がハウスを持っていて、すでにハウスがある環境で栽培を始められる人は少ないんじゃないかと思いました。」と、45歳で心機一転。整った環境を利点に、ご両親の反対にもかかわらずシンビジウムの生産を継がれたのです。

生産を始めたころ、安田さんは奥様と一緒に県内多くのシンビジウムの圃場に足を運び、20年、30年と栽培を続けている先輩方の技術や情報を教えていただいたそう。

「阿波洋らん青年倶楽部の仲間が惜しげもなくいろいろと教えてくれました。45歳でまったくの未経験でも受け入れてくれる。懐が深いんです。」
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「阿波洋らん青年倶楽部」とは、個人出荷や団体出荷の垣根を越えて、シンビジウムのブランド力の向上のために活動している生産者様の団体です。
月に一度定例会を開いて情報交換をしたり、講師を呼んで栽培技術の講習会を開いたり、展示会を行ったりと精力的に活動されています。

徳島県の生産者さん、あたたかく心強いお仲間ですね (#^^#)
前半でご紹介した上野さんも阿波洋らん青年倶楽部のメンバーで一緒に活動されています。

■試してみるのが安田さん流
奥様:「生産を始めた当初は呪われているかと思いました…。」

の、のろわれている(‘Д’)!?一体何があったのでしょう??

「年末出荷の前に2年連続でハウスが倒壊したんですよ。爆弾低気圧が来て、風でバウンドしているハウスの下で傷ついていくシンビジウムを見ると切なかったですね。」
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えー!1年目から2年連続でハウスが倒壊!しかも年末の一番大事な出荷前に。花は傷ついてほぼ出荷できず。ショックのほどは計り知れません(;_:)

とても大きな被害ですが…この爆弾低気圧による風の影響こそ、安田さんの圃場がある場所の特徴を表しているのです。
安田さんの圃場は海の近く。そして平野のど真ん中にあるため、日当たりがバツグンに良く、冬至でも16時半近くまで直接ハウスに日が当ります。その分花はたくさん光合成して大きく育つのですが…。
周りに風をさえぎるものが何もないため、ビュウビュウボーボー吹き荒れる風の影響を大いに受けてしまうのです。
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しかも、

「水害にも襲われたんです。ハウスのこの辺まで水が入って。どこかから流れてきた1mくらいの鯉やナマズがハウスの中を泳いでいました(笑)」
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爆弾低気圧に続きそんなに大きな水害にも!
確かに毎年こんなに災害にあったら呪いを疑いたくもなります(; ・`д・´)

ところが、転んでもただじゃあ起きないのが安田さん。
「ハウスを建て直しました。それに4棟から5棟に増設したんですよ。壊れたおかげでハウスの仕組みや電気工事、水道工事も1年で覚えることができました。」
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「水害にあったときも3分の1くらい鉢を入れ替えることになりました。そこでいろんな品種を更新したんです。」
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落ち込む間もなく新しいことに挑戦するなんて相当な精神力の持ち主とお見受けしました(゜o゜)!

更新した品種はどうやって選ばれたのですか?

「青年倶楽部や市場との情報交換です。例えば年末に白の大輪が売れるらしいけど、まだ栽培している人は少ない。じゃあやってみようとか。山上げをしなくても年内に咲く品種があるらしいから、試してみようとか。もちろん、お蔵入りになった品種もたくさんありますけどね。」
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コミュニケーションで得た情報をもとに、まずは試してみるのが安田さん流。

こちらが栽培している品種の一部です。

品種名:冬のソナタ
安田さんの看板商品。年末に引き合いが強い大輪品種。取材時にはまだ蕾でクリーム色っぽかったのですが、
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完全に咲いて2-3日するとこのように真っ白になります。
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品種名:オータム こちらが山上げしなくても年内に咲く品種。
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品種名:クイーン
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品種名:タルト
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品種名:愛子さま
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品種名:ダンサー
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■適度な加湿と多めの潅水、多めの肥料
ハウスの中で写真を撮っていると…あっ、カメラのレンズが曇っちゃった。
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「うちの圃場は湿度が高めなんです。」

あれ?湿度って高めでも大丈夫なんでしょうか(‘_’)??

「安心してください。大丈夫ですよ!」
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みなさま、安田さんの圃場の特徴を思い出してください。
日当たりがバツグンに良く、風がビュウビュウボーボー吹く場所にあるということを。
つまり、他の生産者さんの圃場と異なり、極めて乾燥しやすい環境にあるのです。乾燥から花を守るためには、水やりだけでなく適切にハウスを加湿することが重要なのです。

「ですからハウスの中に水路があるんです。」

水路?一体どこに?キョロキョロ((。´・ω・)?

「この下にあります。」
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あっ、ほんとだ!しゃがんで鉢の棚の下を見ると、小川のように水が流れているではありませんか。

「ザリガニもいるんですよ。」
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え~っ!圃場内水路とザリガニの登場は18年に及ぶウン探史上初めてかも!
ここはビオトープかっ(*’▽’)!?

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「暖房でハウスを温めると水路の水が蒸発します。水蒸気を含んだ暖かい空気の中で植物が水を吸収することで乾燥を防いでいるんです。」

ふむふむ。まるで冬場に乾燥するお肌にミストで潤いを与えているかのようですね。
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肥料の量も安田さんの圃場ならでは。
「たまにガツンと大きく生長させたいときは肥料を多めに加えるんです。咲く直前にやると最後にこれで花が大きくなるんですよ。日照量が多い分、水も肥料も湿度も少し多めにしてバランスを取る。これがうちの特徴です。」

肥料をやるタイミング、水の量、湿度の調節は生産者さんによってそれぞれ。安田さんも圃場の環境に合うように適切に管理しているのです。

■大きな花を作りたい!
シンビジウムのバルブ(株の根元にある丸く大きく膨らんだ茎が変形した部分。水分や養分を蓄える役割をもっている)を見てみると、茶色のような灰色のような色になっているものがあります。

「これは去年花が咲いたバルブです。咲き終わった後のバルブの葉を切るんです。葉を切ったら光合成できなくなるので枯れてこのようになってしまう。」
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シンビジウムの株は10年以上もち、新しい花芽や葉芽が毎年上がってきます。
通常、古いバルブは新しいバルブに養分を送る役割があると言われているので、新しいバルブが十分に生長するまで残しておくのですが…。
安田さんはあえて、新しいバルブが生長中に古いバルブの葉を切って枯らしてしまう!

なぜ早々に葉を切ってしまうのですか?
そんなに早く葉を切ったら光合成できなくなって、新しいバルブに栄養を送れなくなるのではないでしょうか
(。´・ω・)?

「早めに古いバルブの葉を切るのは、新しいバルブの葉にしっかりと光を当てて光合成をさせるためです。古い葉を残していると、その葉が光をさえぎって新しい葉の光合成を妨げるでしょう?それに、葉がたくさんあると誘引するときに大変でお手入れもしにくい。」
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「バルブが生きている限り根も生きているんです。古い根があると、新しいバルブの根が育つスペースがなくなってしまう。古いものを枯らして、新しい根が伸びる場所を作るんです。」
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さらに、

「葉を切ったことで鉢の周りのスペースに空間ができたので、鉢の数を増やすこともできました。」

なんと!古いバルブの葉を早々に切ることで、
・新しいバルブの葉に光合成が集中し花芽や葉芽がしっかり育つ
・新しいバルブの根がよく張って水や養分を吸収する
・葉が少ない分、茎の誘引など作業がしやすくなる
・圃場に置ける鉢の数を増やすことができる

こんなにメリットがあるのですね。

確かにたくさん光合成をして養分を吸収した茎はしっかりとしています。
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でも、もし早めに古い葉を切ることで新しい花が付かなかったら・・・という心配もあったのでは?

「実はあまり深くは考えなかったのですが…、迷ったらやれ!と思ってやってみたんです。」

迷ったら試す。これが安田さん流。

この方法は本にも載っていません。
最初は他の生産者さんたちも今までに見たことがない手法は受け入れにくかったようなのですが、上手く作っている安田さんを見ると、「これはマネした方が良いだろう!」ということで、取り入れる生産者さんが徐々に広がっています。

1本1本をしっかりと光合成させ、肥料と水を多めにやり、適切に加湿することで栄養を集中させた見事な大輪の花を作っているのですね。
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「生産を始めてすぐの頃仲間の圃場を見学したときに、大輪の豪華なシンビジウムに魅せられたんです。これからも、やるならとことん大きな花を作りたいですね。」

■染めのシンビジウム
安田さんや上野さんが所属する阿波洋らん青年倶楽部の有志、「染め染めクラブ」では最近力を入れていることがあります。
それが、その名の通り「染めシンビジウム」。
染め展示会 (1)

カラフル!青や淡い水色もとてもきれいです。
こちらは今年の春に徳島県の企業様で行われたイベントで展示会をした時の様子。

シンビジウムは苗の注文から花が咲くまでに通常4~5年ほどかかるのですが、4~5年後の需要は予測しづらいですし、またハロウィンやクリスマスといったイベントごとなど短期間で需要が落ち着く色は生産者様にとって挑戦しにくいのが本音。
ということで、染めなら流行やイベントごとに合った色を表現できる!と本格的に染めに取組むために「染め染めクラブ」が発足したのです。

これはオータムという品種を赤色で染めた「ソメディープルージュ」
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オータムをオレンジ色で染めた「ソメディープオレンジ」
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赤ピンク色の品種オータムを使うことで流行りのくすんだニュアンスカラーを見事に表現しています。

注文するときに名前が分からなかったらお客様が困るため、染めたシンビジウムの名称を統一してカタログを作ろうという計画も考え中。

「品種によって染まり方が違うため、試していないことがたくさんあります。仲間にもたくさん教わってきたので、技術や経営についても対等に話ができるようになりたいと思っています。恩返ししたいですね。」

と笑顔で話す安田さん。まだまだ挑戦は尽きません。
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上野緑風園様&安田洋ラン園様の格言

・初心忘れるべからず。各々が目指す花を追求せよ
初めてシンビジウムを見たときの感動や思いを持ち続けているからこそ、一鉢一鉢に手間をかけて生産し、それぞれの理想形に近いシンビジウムを仕上げている!

・仲間との交流や情報交換を大事にせよ
個人、団体の垣根を越えて徳島県でシンビジウムの生産を盛り上げていこうという熱い思いと協力的な温かいお人柄を感じました。仲間や市場との情報交換で栽培技術を高め合っているのですね。

・迷ったらやるべし!
シンビジウムは年に1度しか花が咲きません。そのため迷ったら失敗をためらわず挑戦してみるのが吉。「失敗は高品質の母」なのです。

上野さんや安田さんはお互いの圃場の様子をご存じで、日ごろから交流されている様子がよく伝わってきました。仲間との情報交換が徳島県シンビジウムの品質と生産量の強みだと思います。クリスマス・年末年始にぜひ徳島県のシンビジウムをご利用ください。

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文責・写真 くらみつりか@大田花き花の生活研究所
※染めの展示会の写真は安田洋ラン園様にご提供いただきました。