日常での香り~秋の始まり~

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10月末の東京は雨の日が多く、金木犀の香りが漂っていた季節も、あっという間に過ぎていきましたね。家の前で咲いていた金木犀を見かけるたび、「あ、秋が来たな~」と感じていましたが、今ではすっかり花も落ちてしまって寂しいです。あの甘くやさしい香りには、心をふっと癒してくれる不思議な力があるように思います。

私にとって金木犀は、小学生の頃の登下校を思い出す香りです。校門の前に植えられていて、風にのって香ってくるたびに、懐かしい気持ちになりました。一方で母は、「この香りはトイレの匂い」としか言いません。昔は芳香剤としてよく使われていたそうです。

同じ香りでも、感じ方が人それぞれなのは“記憶と匂いの結びつき”が深いからなのかもしれません。

以前、香水専門店で「印象を強く残したい相手には、見た目とのギャップがある香りをつけるといい」と聞いたことがあります。人の脳は、予想通りの香りよりも意外な香りのほうを鮮明に覚えるのだそうです。

ギャップとは少し違うかもしれませんが、初めて出会った香り(旅先のホテルや海外の街や屋台の匂い)って、いつまでも記憶に残っている気がしませんか?
特別な日には香水や花束を“香りの記憶”として意識して選ぶのも素敵な贈り物になりそうですね。

P.S.
金木犀の香水が出回る時期、私も持っていますが、やっぱり本物の香りにはかなわないなと毎年思ってしまいます。もうしばらく、香りの余韻を楽しみたかったです。

情報システム本部 杉浦