学ぶ楽しさ

話題提供

国語の副教材である「国語便覧」が、品切れになるほど売れているという。きっかけは、2022年の改定版を制作する際に、従来の深掘りできる構成はそのままに、導入部にソーシャルゲーム界隈の話題を取り入れるなどの工夫を凝らしたことだった。その熱い想いを社内サイトで紹介したところ、ソーシャルゲームファンを中心に注目を集め、人気が広がったのだそうだ。

それから3年を経た2025年の現在も、多くのメディアに取り上げられ、人気は衰える気配を見せない。一部ファン層に留まらず、大人の「学び直し」として支持されていることが要因である。それを裏付けるように、国語便覧だけでなく、日本史や世界史の副教材も販売好調だ。

映画やアニメに至るまで、文学や歴史を題材にしたものは少なくない。日常の娯楽を楽しむ上でも、その背景を知っているかどうかで理解や感動の深さは大きく異なるはずだ。アートに親しむ人にとっても歴史認識は欠かせないし、旅先の観光名所を味わうときも同様だろう。

学ぶ内容は文学や歴史に限らない。新しい知識を得て、点と点が線でつながった瞬間の喜びは、年を重ねるほどに一層強く感じている。

「もっと若い頃に、この楽しさに気づいていれば」と思うこともある。けれど、学びに“早すぎる/遅すぎる”はない。むしろ、どれほどの経験を積んでも、人が自らの経験だけから学べることには限りがある。経験は振り返り、分析して初めて学びとなる。だからこそ、歴史や先達の知恵から学ぶべきことが多くあるのだ。

ありがたいことに、学び始めに年齢制限はない。学ぶ喜びは、いつだって今ここから始められる。

経営企画部 府中