はじめて見たその日から数十年来変わらず、私にとって理想の家がある。
その家は、幼いころから家の間取りを見ることが一つの趣味である私が家に求める全ての要素が詰まっている。
その家の名は前川國男邸
現在日本経済新聞で連載中の”小さな家”でも取り上げられており、ファンのとても多い建築物なので、このブログを読まれている方の中にもご存じの方がいらっしゃるだろう。現在は東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」に移築され、実際に中に入ることもできる。
延べ床面積30坪ほどと大豪邸ではないけれど、吹き抜けや動線を考えつくした間取りが広さを感じさせ、天井いっぱいまで取られた窓からはから差し込む日の光。リビングと一体感をもって続く庭。おのずと花や緑を置きたくなる、おおらかさを感じさせる家なのだ。
建築から80年を過ぎてなお、そのデザインは全く色褪せず、和と洋が絶妙に調和されていてモダン。長く愛されるデザインとは、こんな必要にして十分であることを約束してくれるものなのかもしれない。
経営企画部 府中