B品取扱いはこういう風に

大田花き
 今週は暦年で第39週目。彼岸のお中日も終わり、お月見や下半期に向けての人事異動、新しいポストへの昇格等、イベントも含めいくつか需要が期待出来る週だ。しかし、猛暑の影響で作柄が悪い。良い花を届けようとする我々業界の意志が、生活者まで届かない現実がある。そして先週の第38週は「敬老の日」、お彼岸の需要期だったが、「この品質では使えない」との買参人からの申し出が前年の60%も増加してしまった。

 返品の理由は「葉悪し」、「花シミ」、「腐り」、「変色」、「虫つき」…と多岐にわたるが、上位が今述べた5つである。6割増は大田花きでのことだが、日本全国100社以上の花市場も同様だったのではないだろうか。むしろ、大田花きの切花は共選共販の比率が多く、個人出荷もグループ出荷や起業家農家の方たちの出荷が多い。そして、輸入品も事前検品制度の整っている大手出荷者が殆どである。天候異変で栽培管理を適切に行うことが出来なかったことが大きな要因だろうが、取引の場においてもっと影響しているのが、事前情報に記載があるかどうかだ。「虫がついている」のか、「花にボトリチス菌が出ている」のか、「葉が白さび」なのか。「葉や花が焼けている」等々、事前情報である送り状に、B品の規格、どういった症状であるか。それが無い生産者がいる。そして、箱にも同様の注意書きが無い生産者がいる。この2つが、取引が成立しなくなってしまう原因の一つになっている。

 日本の花市場は事前情報をもとにセリ前取引をしている。そして、セリ取引も殆どのところは早朝6時ないし7時から、場合によっては、地方ではお昼ぐらいから現物セリを行う(なにわ花いちば様のように、夕方に行うところもある)。物日等の需要が旺盛な時には、7割も8割も、市場によっては9割以上もセリ前取引で取引が成立する。事前情報である送り状をもとに取引する訳だから、そこに何も記載が無ければ、市場担当者も買参人も普段の等階級どおりの価値の花として扱う。それが手元に来た時に情報と違うため市場へ問い合わせる。そこで返品をしたり、代替品を用意したりと、生産者も市場側も買参人も、多くのコストがかかってしまう。

 生産地におかれては、天候が悪い時ほど、栽培に手間暇かけてエネルギーを導入し、作ってくださっていることに大変感謝している。ただ、もし通常とは異なる品質のものを出荷される際は、事前情報の送り状に記載いただく、また、箱にも誰もが分かるよう記載いただきたい。日本中の花市場において、膨大なエネルギーが失われている。生産者様の正直な表示、メッセージによって多大な無駄が無くなる。是非とも生産者様におかれましては、もう一仕事加えていただき、的確な情報伝達をお願いする次第である。

 
 投稿者 磯村信夫  13:48