母の日の花贈りは不動であり、カーネーションも長年の定番です。近年は色のバリエーションが一層豊富になり、生活者の多様化に応える形で進化を続けています。生産技術の向上により高付加価値化も進み、染め加工を施したカラフルな商品などはSNSの広がりとともに新たな魅力を発信しています。
お母さんは家族で一緒の時を過ごしたい。ただそれだけで充分だと考えている傾向がアンケート結果から見られます。しかし、感謝を伝える側にとっては形のある贈り物も重要であり、そのトップには引き続き花がランクインしています。家庭でも外食の場でも、花は空間をやさしく彩り、自然と笑顔を生み出します。他のサービスでは表せない、繊細でやわらかな感動を受け取る側・贈る側双方にもたらしてくれる存在――それが花の本質だと改めて感じています。
次は6月の父の日です。世の父親にもスポットライトが当たることを願っています。
さて、本日は趣味の話題も交えながら、仕事との共通点について触れたいと思います。筆者は自然風景写真の撮影が趣味です。写真には明確な正解があるわけではなく、自身の目に映った情景を明るく清々しいタッチにも、落ち着いた重厚感ある雰囲気にも、自分自身の感性で反映させることができます。上手な方は沢山いらっしゃり、アマチュアの方でも思わず見入ってしまう作品を撮影されますし、プロの方の一枚には「どうやってこんな写真が撮れるのだ?」と驚かされることもしばしばで、実に奥の深い分野です。
筆者は何をするにも「基本に忠実に」からスタートし、慣れてくると漸く応用が利くようになるスロースターターだと自負しております。写真は光の捉え方や構図、ピント、シャッターのタイミングが大切な要素ですが、画面を縦横それぞれ三分割して9コマに分け、その交点に主題を配置する「三分割構図」は、比較的バランスの良い写真を撮りやすい基本的な技法のひとつです。また、シャッタースピードを長くすることで、水の流れを絹のように柔らかく表現し、幻想的な風景を切り取ることが出来ます。
そうした基本を積み重ねる中で、徐々にそれっぽく、思い描いていた表現に近づけるようになってきました。しかしその一方で、気づけば承認欲求が膨らんでいる事に気づく瞬間があるのです。本来なら自身の目で見て感動し、どのように感じたか?を写真で表現出来ればそれだけで良いのが写真だと理解しておりました。意図を伝えるために構図や光の当て方、シャッタースピードなどの工夫があり、人それぞれ甘党もいれば辛党もいる。マイノリティーでも一部の人に納得頂けたら良いじゃないか!それがいつの間にか、どうやったら万人受けするか?を思考し、撮影している自分がいて、我に返る瞬間があります。
これは仕事も同様ではないでしょうか。多くの支持を得る商品は重要ですが、「花」という商材はそれだけではありません。地域に根差したものや、限られた方に支持される尖った商品もまた価値があります。ニッチな存在は当たり外れがあるかもしれませんが、非日常を演出する上で欠かせない必需品になり得ます。
筆者が入社した当時は時代が良かったと思います。リーマンショック直後の就職氷河期でしたが、生産量はしっかり維持され、生花店もまだ出店ラッシュの真っ只中でした。時には大きな失敗で出荷が止まることもあれば、価格が暴落した後に相場が急回復するなど、まさにジェットコースターのような取引も経験しましたが、業界全体に活気があり、どこか人の熱量に支えられた、アナログならではのダイナミックな取引が主流であったように思います。
それに対して現在は、まるで薄氷の上を歩くかのように、一つひとつの判断に慎重さが求められる環境へと変化してまいりました。大きな失敗が許されにくく、限られた幅の中で精度高く舵を取る、極めて緻密な取引が求められる時代になってきました。
今だからこそ感じる事は、勿論全てでは困りますが、勇気を出して人間性でやり取りする、相手の懐に飛び込むがむしゃらなやり取りが有って欲しいということです。没個性、マニュアルに沿った過不足の無い受け答え、多くを求め過ぎない適度な立ち振る舞いで終始85点を取りに行く安定感を優先するあまり、情熱が若干冷め始めているように感じる時があります。デジタル化が進み、AIが基盤となりつつある昨今、システムに置き換えられない、我々が有する唯一無二の強みを部分的に磨き続ける事が重要ではないでしょうか。安定を大切にしながらも、一部では思い切って挑戦してみる。トムソーヤのような遊び心を持ちながら、自分らしさを見つけていくことも大切だと考えております。多様性は他者だけではなく、自分自身の中にも持てるものです。
大田花きは組織で運営しておりますが、一人一人はそれぞれの強みを持つ「個人商店」です。各自の得意分野を伸ばしながら同時並行で組織力を高め、全方位でお役立ちできるように邁進してまいります。
Canon EOS 6D MarkⅡ/TAMRON SP 70-300mm f4-5.6 Di VC USD A030/ISO400/300mm/0.3ev/f5.6/1/125s
萩原 正臣 9:00
